臨床データの品質管理強化で信頼性アップを目指す!【ChatGPT統計解析】
施設内の品質管理は幅広く実施されていますが、臨床データに関する品質管理はまだ十分ではありません。医師の治療は個々の患者に合わせた柔軟な対応が求められるため、標準化が難しい一方、近年ではEBMに基づく治療ガイドラインの導入が進んでいます。カルテ記載の標準化にはSOAP形式が普及していますが、品質管理には課題が残ります。臨床検査の測定は標準化されていますが、検体の取り違えや欠測データの管理が問題です。新GCPの施行により治験手順が改善され、モニタリングや監査体制の強化が進んでいますが、品質保証の体制は欧米に比べて遅れています。今後はプロセスからの品質管理を強化し、信頼性の高いデータ提供を目指すことが求められます。
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施設における品質管理
施設においても様々な分野で広く品質管理は行われています。
しかしながら、臨床データに関しては品質管理という概念はまだ一般的になっていないのが現状です。
これは、治療においては標準化、規格化というようなものが広く認められているものではないという現状に起因します。
元来、医師による治療は患者の状態に応じて柔軟に対応されるべきもので、マニュアルなどにより画一化された形態で対応できるということは極めて少ないと考えられてきたためです。
ただ、最近ではEBM(Evidence Based Medicine:科学的根拠に基づく医療)が脚光を浴びるようになり、学会などが主導してある疾患に対する治療のガイドラインというようなものを作成されるようになってきています。
やはり、ある疾患の治療に対して、医学の進歩に見合った標準的な指針は必要であると認識されるようになったということでしょう。
患者も決して画一的な治療を望むわけではありませんが、常に最新の情報に基づいた適正な標準的治療法が明確に示された上で、個別の患者に最適の治療を受けさせることができる方が安心です。
このため、どのような治療を行って、どのくらいの期間が必要と考えられるかというようなことを示すスケジュール表として「クリティカルパス(Critical Path)」というものも導入されるようになってきています。
臨床試験データの原資料として必須であるカルテに関しては、記載方法について施設内にマニュアルがあります。
施設内の全ての医師が同じ書き方をするというような状況にはなっておらず、医局や診療科単位で記載方法が経験的に統一されている場合が多いようです。
この記載方法についていえば、一例として問題志向型(POS:Problem Oriented System)の記載方法であるSOAP(Subject:自覚的症状、Object:他覚的症状、Assessment:評価、Plan:方針)が知られていますが、これまでは広く使われてきたとは言い難いです。
しかしながら、電子カルテの導入が拡大されているのに伴い、SOAPを標準的に用いるようになってきているようです。
ただし、品質管理を実現するためには用語の統一や定義の曖昧さという問題も残っており、単に記載方法が標準化されただけでは解決できません。
また、カルテは医師が自分で気がついたことを記録するものであるため、書き間違いなどを検証することは難しいことも品質管理の観点からは課題であると考えられます。
レセプト請求のためなどを目的として、カルテの確認が行われることがありますが、これでは医療行為の本質的な妥当性を確認するという意味では不十分です。
やはり、臨床データの正しさを保証することを目的とした品質管理を行うという意味では、指導医師とでも言うべき十分な経験を積んだ医師による確認などといった手法で対応すべきです。
しかしながら、現実にそこまでの対応を行える状況というのは非常に限られており、予め設定しておいた標準的治療法を基準にして、行われた医療行為をレビューするということが現実的な方法であると思われます。
一方、臨床検査データに関しては、測定そのものについての施設内での品質管理は進んでいるといえます。
外部精度保証としてCAP(Colleague of American Pathologists)と呼ばれる米国臨床病理医協会の認定を受けている施設も多くなっています。
また、日本医師会や日本臨床衛星検査技師会でも精度管理調査が実施されていますが、これらは調査であり認定というものではありません。
このように一般に測定される項目に関しては、検査手順の標準化や定期的に使用する機器のバリデーションなどがきちんと実施されており、施設内での測定結果報告書作成までの一連の流れが品質管理されていると言えます。
これは、外注処理による測定の場合でも同様であり、測定に関する信頼性は高いといえます。
しかしながら、測定そのものではなく、検体の取り違えにより異なる患者のデータが混入したりすることや、測定結果報告書が確実にその患者のカルテに添付される保証がないことなどの人為的なミスに対する方策については十分であるとはいえません。
こうした一連の流れとしての誤りを防ぐ管理体制の構築が臨床検査データの品質管理のために必要なことです。
このほかにデータの欠損という問題が考えられます。
これは、予定された検査時期に予定された検査項目が実施されていなかったというようなことです。
たとえば、投与開始後2週目と4週目に体重と血圧を測定することがプロトコルでは求められていたはずなのに、2週目には血圧だけが測定されていたような場合や、4週目ではなく5週目に体重と血圧が測定されていたような場合です。
すでにその時点を過ぎている場合には、遡ってデータを収集することが不可能であり、その時点のその項目については、欠測データとして取り扱わなくてはならなくなります。
このような欠測データが発生する要因としては、検査オーダーのし忘れや患者の来院日の都合や体の状態などといった様々なケースが考えられます。
もしも、あまりに多くの医学的な理由によらない欠測データが含まれている場合には、臨床試験データとしての質はもちろんのこと、臨床試験そのものの質にも疑問が生じる可能性があります。
このようなデータの欠損についてはプロトコルに基づいてどの時期に何を検査しなければならないかを、チェックリストを用いながらオーダリングを行うというようなプロセス管理体制が構築されていれば、十分に防ぐことが可能であると考えられます。
新GCP施行以後、治験の実施手順の関しては施設内に治験事務局、治験管理室というような部門が設置され、標準業務手順書なども整備されてきており、プロセス管理という意味で品質管理に繋がる体制が構築されています。
しかしながら、これらの部門が基本的にカバーしている範囲としては、臨床試験の手続きに関しる事項に限定されている場合が多いです。
臨床データの品質管理については、先に述べたような課題を含めた種々の課題が残されており、今後に向けて検討されていかなければならない事項でしょう。
これらについては、臨床研究コーディネーター(CRC)による解決を目指すことが現実的です。
施設での品質保証も、品質管理がきちんと行われていないと困難です。
しかしながら、先に述べたように臨床データの品質管理が完璧に行われているとは言い難いのが実状です。
このため、臨床データから作成される臨床試験データも、品質管理が完璧であると断言することは難しいです。
そこで、治験では答申GCPにおいて直接閲覧と呼ばれる原資料との整合性確認(SDV:Source Data Verification)を行うことが求められています。
直接閲覧とは、治験の評価をする上で重要な記録や報告を調査、分析、確認し複写することです。
直接閲覧を行ういかなる者(例えば、規制当局並びに治験依頼者のモニター及び監査担当者)も、被験者の身元及び治験依頼者に帰属する情報に関する秘密の保全を図るため、あらゆる妥当な予防措置を講じなければなりません。
本当は、直接閲覧では単に整合性確認ということだけが期待されているのではなく、評価をする上で重要な記録や報告を調査、分析することも行わなければなりません。
すなわち、医療行為として適切な措置が取られていたのか、あるいは臨床検査値変動の状況からはこんな有害事象が考えられるのではないかというようなことも確認すべきことです。
しかしながら、高度に医学的な専門知識を持たない限り、このようなことまでを直接閲覧を行う際に検討を行うことは事実上困難です。
もしも、第三者である医師による直接閲覧を含めた症例報告書のレビューが行われることができれば、その意義は極めて大きいです。
一般的には、この直接閲覧においては、症例報告書との整合性という意味で臨床試験データに誤りがないことを確認し、品質管理はさておき、少なくとも目的である品質保証だけは実現しようということになります。
このため、この整合性確認は、あくまでも英語にあるようにベリフィケーションであることを認識しておかなければなりません。
すなわり、一回の整合性確認により問題が見つからなかったからといって、今後も問題の発生する可能性が低いことを保証できているわけではないのです。
また、医師主導型の臨床試験などにおいては、モニターによるモニタリングという活動を含んでいることが少ないため、このような直接閲覧を実施することは困難であり、いかにして臨床試験データと臨床試験そのものの実施に関する品質保証を行うかということが課題になります。
施設においても、臨床実施の手順と臨床試験データの最終的な確認と品質保証のために、臨床試験を依頼する側からの監査の受け入れなども行われるようになっており、施設での臨床試験に対する取り組み体制も大きく変わりつつあります。
特に臨床試験の実施手順については新GCP施行以後の数年間で大幅に改善されていると言えます。
ただ、欧米に比べるとまだまだ改善していかなければならない点も多いと思われます。
今後は、臨床試験データに対して、今まで以上に効率的で本質的な品質保証を行うためにも、品質管理というプロセスからの保証を実現すべく体制の充実が期待されます。
施設における品質管理は、多岐にわたる分野で実施されており、医療や臨床試験においても重要なテーマとなっています。しかしながら、臨床データの品質管理はまだ十分に普及しているとは言い難いのが現状です。医療の現場では、標準化や規格化が難しく、医師による治療は患者ごとに異なる状態や症状に応じた柔軟な対応が必要とされるため、マニュアルに基づく画一的な対応が適さないとされてきました。そのため、品質管理の概念が治療において浸透するのが遅れた背景があります。しかし、近年ではEBM(科学的根拠に基づく医療)の考え方が重視されるようになり、各学会が疾患ごとの治療ガイドラインを策定し、標準的な指針の提供が進んでいます。こうしたガイドラインの整備により、患者ごとに最適な治療を提供するための基盤が整いつつあり、医療の進歩に沿った標準的な治療を提供することが求められるようになってきました。患者自身も個別に最適化された治療を望む一方で、常に最新のエビデンスに基づく治療が提供されることへの安心感を重視しています。この流れの中で、治療スケジュールを視覚的に示す「クリティカルパス」が導入され、どのような治療をどの期間で実施するかを明確にする取り組みも広がっています。臨床試験データの正確性を担保するためには、カルテの適切な記載が不可欠です。しかし、施設内の医師が統一した記載方法を使用しているとは限らず、医局や診療科ごとに経験的に異なる記載が行われることが多いのが実情です。これに対して、問題志向型の記録手法であるSOAP形式(主観的症状、自覚的症状、評価、治療計画)は一例として知られていますが、広く普及しているとは言い難い状況でした。ただし、電子カルテの導入が進む中で、SOAP形式の標準化が進展しつつありますが、それだけでは品質管理の課題が完全に解決されるわけではありません。記録の用語や定義の統一が不十分であれば、記載の標準化だけでは限界があり、誤記や解釈の違いが生じる可能性があります。さらに、カルテは医師が自らの判断で記録するものであるため、内容の誤りを検証することが難しく、品質管理上の課題とされています。カルテの内容はレセプト請求の際に確認されますが、これはあくまで事務的な確認であり、医療行為の本質的な妥当性の確認には不十分です。そのため、品質管理を徹底するためには、経験豊富な医師による指導やチェックが必要とされますが、現実的には限られたリソースの中での対応には課題があります。こうした背景から、事前に設定された標準的な治療法に基づいて医療行為をレビューする方法が、実際的な対応策として採用されるケースが多いと考えられます。一方で、臨床検査データの品質管理については、測定自体の精度を確保する取り組みが進んでいます。施設内での測定機器のバリデーションや検査手順の標準化が行われ、測定結果の信頼性が担保されています。また、米国のCAP(臨床病理医協会)による認定を受けた施設も増加しており、日本国内でも日本医師会や臨床衛星検査技師会による精度管理調査が実施されています。ただし、これらの調査は認定ではなく、あくまで検査の信頼性を評価するための調査にとどまります。さらに、測定自体の精度が高くても、検体の取り違えや測定結果の誤配付などの人為的ミスへの対策が十分ではないことも問題です。こうしたミスを防ぐためには、検体の管理体制の強化が必要であり、プロトコルに基づいたオーダーの確認やチェックリストを用いた管理体制の整備が求められます。また、検査の実施時期において予定された検査が行われなかった場合、そのデータは欠測データとして扱われることになります。例えば、プロトコルで投与開始後2週目と4週目に体重と血圧の測定が求められていたにもかかわらず、2週目に血圧のみが測定され、4週目ではなく5週目に両方が測定された場合などが考えられます。こうした欠測データは後から補完することができないため、臨床試験の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。欠測データの原因には、検査のオーダー忘れや患者の来院スケジュールの都合、体調不良などが含まれますが、医学的理由に基づかない欠測が多発する場合、臨床試験全体の信頼性が疑われることになります。こうした問題を防ぐためには、プロセス管理体制を整備し、オーダリングや検査の実施を適切に管理することが重要です。新GCPの施行以降、治験における手順や管理体制は大幅に改善され、治験事務局や治験管理室といった部門の設置が進み、標準業務手順書が整備されています。しかしながら、これらの部門がカバーする範囲は臨床試験の手続きに限定されることが多く、臨床データの品質管理にはなお課題が残っています。今後は、臨床研究コーディネーター(CRC)の活用によって、これらの課題の解決を目指すことが現実的な対応策と考えられます。臨床データの品質管理が十分でない場合、臨床試験データの信頼性も低下する可能性があり、治験においてもデータの整合性を確認するための直接閲覧(SDV:Source Data Verification)が求められています。直接閲覧とは、治験の評価に必要な記録や報告を調査し、分析、確認する作業であり、規制当局や治験依頼者のモニター、監査担当者が実施します。これらの関係者は、被験者のプライバシーを守りつつ、重要な記録を確認するための措置を講じる必要があります。直接閲覧では、単にデータの整合性を確認するだけでなく、記録や報告の分析を通じて医療行為の妥当性や有害事象の可能性を評価することも求められます。しかし、高度な医学的知識を持たない限り、こうした評価を行うことは難しいため、経験豊富な第三者の医師によるレビューが重要となります。臨床試験のデータとその実施手順が適切であることを確認するために、依頼者からの監査を受け入れる体制も整えられつつあります。特に新GCPの施行以降、治験の実施手順は大きく改善されてきましたが、欧米に比べるとまだ改善の余地があると考えられます。今後は、より効率的かつ本質的な品質保証を実現するために、プロセスとしての品質管理を強化することが重要です。これにより、信頼性の高い臨床試験データを提供し、医療の発展に貢献できる体制の充実が期待されます。
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