調査における母集団の推定|【統計学・統計解析講義応用】
調査における母集団の推定
平成20年12月に、厚生労働省は、糖尿病が強く疑われる人は約890万人、糖尿病の可能性が否定できない人は約1,320万人、合わせて2,210万人と推定されたと発表しました。
この数字はどうやって算出したのでしょうか。
実は、この数値は標本から母集団を推定した結果です。
標本として用いたのは、平成19年国民健康・栄養調査の結果です。
国民健康・栄養調査とは、健康増進法に基づき、毎年11月に無作為抽出した6,000世帯および当該世帯の1歳以上の世帯員約18,000人を対象として、身長・体重・血液検査・問診などの身体状況調査と、食事内容等に関する栄養摂取状況調査、運動・休養・飲酒などの生活習慣調査を行うものです。
糖尿病が強く疑われる人の基準としては、ヘモグロビンA1cの値が6.1%以上、または、質問票で「現在糖尿病の治療を受けている」と答えた人です。
糖尿病の可能性を否定できない人の基準としては、ヘモグロビンA1cの値が5.6%以上、6.1%未満の人のうち、質問票で「現在糖尿病の治療を受けている」と答えた人を除いた人です。
この解析対象となったのは、20歳代以上の男女で、ヘモグロビンA1cの測定値がある4,003名です。
それに質問票の結果を合わせて、20歳代以上の男女で、男女別、年齢階級別に分けた結果に対して、平成19年10月1日現在の20歳以上人口1億400万人を乗じて推計したものです。
国であっても、国民全員を対象とした調査を行うことは困難であるため、そこから無作為に抽出した標本を対象に調査を行い、国民全員での状況を推計するのです。
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