文献レビューを書く【統計解析講義応用】

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文献レビューを書く|【統計学・統計解析講義応用】

文献レビューを書く【統計解析講義応用】


目次  文献レビューを書く【統計解析講義応用】

 

 

文献レビューを書く

 

文献レビューの執筆には多くのステップがある.

 

資料となりそうな情報源を特定したのちに,リファレンスの場所を探し,関連あるものを選別する必要がある.

 

リファレンスを選別する

 

文献検索によって見つけたリファレンスは,選別する必要がある.第1の選別基準は,このリファレンスは簡単に入手できるのか,というまったく実際的なものである.

 

たとえば,学位論文の抄録は簡単に手に入るが,論文の全文はそうではない.

 

または,読者が読めない言語で書かれているリファレンスもある.

 

第2の選別基準は,そのリファレンスと自分の研究との関連である.

 

通常(いつもではないが),抄録を読めば推測できる.

 

抄録が手に入らないときは,タイトルから関連性を推測することになろう.

 

批判的に統合されたレビューの場合,第3の基準は,研究の方法論的基準,つまり,研究から生まれるエビデンスの質である.

 

要約しノートを記録する

 

その文書が自分の研究に関連があると判断したならば,全体の内容を慎重に批判的視点から読み,その報告の不備や隙間について,ノートをとったりよく見る必要がある重要な資料を確認する.

 

論文のコピーを使って,重要な情報に印をつけたり,アンダーラインを引いて作業することは有用である.

 

論文のコピーを使った場合も,ノートをとり,報告の利点や限界について要約を書くことをすすめる.

 

系統だった方法で情報を記録するには,形式の整ったプロトコルが助けになることが多い.

 

レビューを整理する

 

情報の整理は,レビューを古く際の重要な作業である.

 

トピックについての文献が広範な場合は,要約表を書くことをすすめる.

 

表には,著者,研究のタイプ(質的か量的か),標本,デザイン,データ収集方法,主要な研究結果などを項目にした欄をつくる.

 

こうした表があれば,ざっと概観しただけで大量の情報について理解できる.

 

要約表の例

 

エイバークロンビー〔Abercrombie, 2001〕は,Pap塗抹テストが異常であった者のフォローアップを改善する方略についての研究をレビューした.

 

そのレビューには,9つの研究をまとめた表がある.

 

項目は,著者と日付,標本の大きさ(サイズ).目的,デザイン/介入,結果である,

 

レビューを書く場合,たいていは概要(アウトライン)から始めるのが役に立つ.

 

レビューが長く複雑な場合には,概要を書くことが有益であろうし,短いレビューでは,概要を記憶にとどめておくだけで十分であろう.

 

重要な点は,書きはじめる前に構想を練ることである.

 

そうすれば,提示する文章が,意味のある,わかりやすい流れとなる.

 

まとまりのなさは,学生が初めて研究文献レビューを晝こうとする際によくみられる弱点である.

 

整理の細目はトピックによって異なるが,全体の目標は,提示する文章が論理的で,有意義にまとまっており,トピックについて何かわかっていて何がわかっていないか,結論を導くように,レビューを構成することである.

 

レビューを整理する際の重要な原則は,いくつかの研究を同じ群にまとめたり,比較する方法を見つけだすことである,

 

たとえば,類似した結果を出した研究と,逆に,矛盾した結果であったり結論がはっきりしない研究とを対比して,なぜ一致しないのか,きちんと分析することもできよう.

 

また,類似した方法で主要な変数を操作した研究を,同じ群にまとめたいかもしれない.

 

主要な特徴によって研究結果がさまざまである場合は(例:研究結果が異なる場合,女性を対象とする研究と男性を対象とする研究を比較する),研究の環境や標本の性質に合わせてテーマを構成するレビューもあろう.

 

研究レビューは,質的研究を行うことにやや似ており,重要なテーマを探さなくてはならない.

 

主なトピックとその提示の仕方の順番が決まれば,ノートを順にレビューする.

 

これは,先に読んだ資料の想起に役立つだけでなく,特定のリファレンスが概要のどこに(またはすべてに)あてはまるかを判断する下準備となるだろう.

 

あるリファレンスがどこにもあてはまらないように思えるなら,概要を訂正するか,またはそのリファレンスを廃棄する必要があろう.

 

この時点で,文献レビューの過程でもっともむずかしい作業を終了するだろう.

 

しかし,この過程が完了するのは,報告の草稿を書き,編集を終えたときである.

 

 

文献レビューの内容

 

研究文献レビューを書く際には,トピックについての最新知識の状況を客観的によく整理して要約し,読者に提示しなくてはならない.

 

文献レビューは,一連の引用や一連の抄録であってはならない.

 

中心的な作業は,研究者が行ったことを単に記述することではなく,エビデンスを要約し批判的に評価して,トピックについての最新知識の状況を明らかにすることである.
レビューは,文献の一貫性と矛盾の双方を指摘し,その矛盾に対して可能な説明(例:概念化やデータ収集方法の相違)を提示しなければならない.

 

重要な研究は詳細に記述する必要があるが,すべてのリファレンスを広範に網羅する必要はない(とくにページ数に制限がある場合).

 

類似の研究結果でそれほど重要ではない報告は,まとめて要約してよい.

 

文献は,自分の言葉で要約しなくてはならない.

 

レビューは,研究全体における蓄積された重要性に貢献する検討材料を示すものでなければならない.

 

さまざまな文書からの引用をつなぎ合わせただけでは,既存の研究を消化し理解したとはいえない.

 

レビューは,可能なかぎり客観的でなければならない.個人的な価値観や勘と相反する研究も除外すべきではない.

 

ある研究結果が他の研究結果と矛盾するという理由で,その研究を意図的に無視すべきではない.

 

矛盾する結果を分析し,それを支持するエビデンスを客観的に評価しよう.

 

文献レビューは,トピックについての最新知見の要約をもって締めくくるべきである.

 

要約は,研究結果をまとめ,それらがどれほど信用できるかを示す.

 

また,研究されていない隙間や領域を記さなくてはならない.

 

このように,要約には,トピックに関するエビデンスの広範さと明解性(依存性)についての批判的判断が必要である.

 

新たな研究の一環として文献レビューを行う場合,この批判的な要約は,研究の必要性を示すとともに,どのような仮説がその文脈のなかで立てられたかを明確に示すものでなければならない.

 

研究報告(もしくは研究提案書)の文献レビューは.通常,その問題や関連する介入(介入がある場合)についてわかっている情報だけでなく,その問題がどれほど多くみられるかについての情報も述べる.

 

研究報告や研究提案書では,著者は,新しい研究のための「立件(build a case)」をしようとしている.

 

研究方法の技能を身につけるまでは,最新知見のレビューを書く立場に立ったとは認められない.

 

文献レビューのスタイル

 

初めて文献レビューを書こうとする学生は,レビューの標準的なスタイルにあわせるのに苦労することが多い.

 

たとえば,学生は,経験的研究が決定的であると誤解することが多く,研究結果を批判や留保することなく受け入れてしまうことがある.

 

いかなる仮説も理論も,経験的検証によって立証も反証もできない,またいかなる研究設問も,ただ1つの研究で確定的に答えを得ることはない,ということに留意すべきである.

 

どの研究にもある程度の限界があるが,その程度は,研究者の方法論的判断に影響される.

 

もちろん,理論と仮説は確定的には立証も反証もされえないという事実は,エビデンスを軽視したり,われわれが出会うすべてのアイデアを疑ってかからなければならないということを意味するものではない.

 

とくに,結果が反復されている場合はそうである.

 

この問題は,ある程度,意味論的な性質のものである.

 

つまり,仮説は立証されないが,研究結果によって支持される.

 

理論は確証されないが,その妥当性を示す相当数のエビデンスがあるならば,暫定的に受け入れられる.

 

研究結果を記述するとき,以下のように,結果の暫定性を示す文章を一般にもちいる.

 

・いくつかの研究によってわかったことは

 

・これまでのところ結果が示唆することは

 

・注目すべき研究の結果が示すことは

 

・仮説によって支持されたデータは…

 

・‥・という確かなエビデンスがあるようである

 

関連するスタイル上の問題は,レビュー初心者の場合,自分自身またはほかの人々の意見をレビューに差しはさむという傾向がみられることである.

 

レビューに意見を入れるのは慎重であるべきであり,それらの出典を明示すべきである.

 

レビューをする者の意見は,研究の質を評価するとき以外は,レビューに入れてはならない.

 

 

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