量的研究のデザイン|【統計学・統計解析講義応用】
量的研究のデザイン
研究デザインには、研究者が的確で解釈可能なエビデンスを得るためにもちいる基本的な方略が詳しく示されている。
研究デザインは、とくに量的研究において、研究者が下すもっとも重要な方法論上の決定のいくつかに基づいている。
したがって、研究プロジェクトに着手する際に、デザインの選択肢を理解することは重要である。
研究をしている場合は、研究デザインについて、たくさんの重要な決定をする必要がある。
これらの決定は、研究結果の全体としての信用性に影響を及ぼすだろう。
その決定が研究助成を受けられるかどうか(研究のために経済的支援を求められている場合)に影響を与えることもあるだろう。
それゆえ、これらの決定には、多大な配慮と考慮がなされるべきである。
量的研究デザインの諸側面
研究問題に取り組むための全体的な計画には、種々の論点が含まれ、それらの論点はすべて、研究が生み出すエビデンスの質とかかわっている。
介入
基本となるデザインの決定には、研究参加者に対する研究者の役割が関係する。
看護研究者が、ある特定の介入の効果を検証しようとする研究もある(たとえば、乳房の自己検査をすすめる革新的プログラム)、こうした実験研究では、研究者は、介入を導入するという積極的な役割を果たす。
非実験研究では、研究者は介入せずに、自然に生じるままに現象を観察する。
選択肢として、多くの実験研究デザインと非実験研究デザインがある。
比較
大部分の研究では、研究者は、結果を解釈する際のコンテクストとするために、比較をする。
よく使われる比較のタイプには以下のようなものがある。
1.2つ以上の集団(グループ、群間)の比較:たとえば、妊娠中絶による情緒的影響について研究したいとする。このために、われわれは、中絶を受けた女性の情緒状態と、意図しない妊娠で出産した女性の情緒状態を比較できよう。
2.2つ以上の時点での1つの集団の状態の比較:たとえば、術前のストレスを減じることを意図した新しい手法を導入する前と後での、患者のストレスのレベルを査定したいという場合がある。または、ケア提供の体験の初期と後期での、AIDS患者のケア提供者のコーピングプロセスを比較しようという場合もある。
3.異なる状況下での1つの集団の状態の比較:たとえば、2つの異なる種類の運動をしている人の心拍数を比較したい、ということがある。
4.相対的順序付けに基づいた比較:たとえば、がん患者の痛みのレベルと、希望の度合いとには関係があるという仮説を立てた場合、痛みのレベルが高い患者は、痛みのレベルが低い患者よりも希望をもっていないのかどうかを問うこともあろう。この研究設問は、両方の変数に対して、高いと低いという、異なる順序づけによる比較を含んでいる。
5.他の研究との比較:研究者は、ときには統計学的手法を用いて、自分の結果を、他の研究の結果と直接に比較することもある。この種類の比較は、他の種類の比較の代わりというより、補足として行うのがふつうである。量的研究では、この方法は、広く認められている方法(例:血圧測定、または抑うつの標準的測定の得点)で従属変数を測定する場合に、とくに有用である。
関連記事