出てきた数値に直感を働かせる|不適切な計算をしていないかチェック【統計学・統計解析講義基礎】
パソコンを使っていると、データを入力すればすぐに答えが出てしまうので、いまとり扱っている問題に対して不適切な計算をしていても、気づかないことがある。そのような場合出てきた数値に直感を働かせることが大切。たとえば回帰分析で回帰直線を求めたら、散布図上にその直線を目分量でいいので引いてみて、おかしな数値が出ていないかをチェックする
出てきた数値に直感を働かせる
現実の実務におけるデータ解析では、パソコンと統計ソフトウェアを使って計算するのが普通です。
とくに、多変量解析は計算量が非常に多いため、多変量解析がほんとうに実用になってきたのは、パソコンや統計ソフトウェアが安い値段で使えるようになった、ごく近年のことです。
しかし、パソコンを使っていると、データを入力すればすぐに答えが出てしまうので、いまとり扱っている問題に対して不適切な計算をしていても、気づかないことがあります。
たとえば、説明変数の間に多重共線性が生じているのに気づかすにデータを入力すると、無意味な回帰方程式が求められているのにもかかわらず、それに気づかないことがあるので、十分に注意する必要があるのです。
これは、そのような失敗の典型的な例です。
こういう失敗をできるだけ防ぐには、計算をしたときに、出てきた数値がおかしな値でないか、すこし「直感」を働かせてみる必要があります。
不適切な計算をしていないかチェック
たとえば回帰分析で回帰直線を求めたら、散布図上にその直線を目分量でいいので引いてみるだけで、おかしな数値が出ていないかをチェックすることができます。
何年か前、ある大学で、入試の点数の集計が何年にもわたって間違っていた、という事件がありました。
この事件が発覚したきっかけは、自分の点数の開示を求めた人が、「ある科目の点数が2倍されて集計されているはずなのに、その点数が奇数である」ことに気づいたことでした。
こういう「直感」は、コンピューターが普及すればするほど、かえって重要になってくると思います。
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