信頼度:1つの部品が故障しない確率|並列システムによる冗長設計【統計学・統計解析講義基礎】

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信頼度:1つの部品が故障しない確率|並列システムによる冗長設計【統計学・統計解析講義基礎】
1つの部品が故障しない確率(信頼度)が0.90のコンピューターを3台用意しておけば、3台ともすべて故障する確率は(1−0.90)の3乗の0.001で信頼度は1−0.001=0.999となる。このような並列システムによる冗長設計は重要であるが、部品の故障が互いに独立に生じる必要がある


目次  信頼度:1つの部品が故障しない確率|並列システムによる冗長設計【統計学・統計解析講義基礎】

 

信頼度:1つの部品が故障しない確率

 

航空機ボーイング747の部品の数、スペースシャトルの部品の数はいくつでしょうか。

 

747は200万点、新型の747-400は300万点、スペースシャトルでは600万点の部品が使われています。

 

今、複数の部品からなるシステムがあり、このうちどれか1つでも故障すればシステムの機能が果たせない(故障)とき、このシステムを直列システムといいます。

 

仮に、3つの部品からなるシステムで、1つの部品が故障しない確率(これを信頼度といいます)が0.90であれば、システム全体が故障しない確率は0.90×0.90×0.90=0.729となります。

 

シャトルの600万個の部品がかりに3000個のユニットを構成し、各ユニットの信頼度が0.9999(これをフォーナインと呼びます)であっても、システム全体としては0.9999の3000乗の約0.7となってしまいます。

 

10回の飛行のうち平均して7回しか成功しないわけです。

 

あなたは、このシャトルに乗る気にはならないでしょう。

 

並列システムによる冗長設計

 

そこで誕生したのが、冗長設計(冗長とは「よけいなもの」を意味しますが、有用な「よけい」は余裕に通じます)です。

 

同じ機能をもつ部品を2つ以上用意してシステムに組み込み、それらがすべて故障したときのみシステムの機能が果たせず、少なくとも1つが正常であれば大丈夫であるようにする方法です。

 

例えば、図のように信頼度0.90のコンピューターを3台用意しておけば、3台ともすべて故障する確率は(1−0.90)の3乗の0.001ですから、信頼度は1−0.001=0.999となります。

 

このようなシステムを並列システムといいます。

 

1960年代のアポロ計画(月に人類を立たせる)の成功の秘訣はこの「冗長設計」、実績のある部品のみを用いる「実績主義」、そして同時に2箇所の設計を変えない「保守的設計」のおかげによるものです。

 

実際アポロ計画では、4台のコンピューターを用意していました。

 

新幹線の「みどりの窓口」では3台のコンピューターを用意し、また予約状態を記録したファイルは瞬時にもう1台のハードディスクに記憶されるバックアップ体制が敷かれています。

 

これを二重化システムといいます。

 

あなたも今すぐ大事なファイルのバックアップをとるように!

 

 

逆に直列システムをうまく使い、システムの機能遂行をより確実にする方法があります。

 

本州と四国を結ぶ瀬戸大橋には、橋の強度を保つ部材の上に、それより強度の低い部材を置き、これに電流を流しています。

 

もし、亀裂が入るなどの異常が起こったときには、初めに強度の低い部材が破壊し、それによって電流が流れなくなり、異常診断が可能になります。

 

マーキュリーおよびジェミニ人間宇宙飛行計画では、2台のコンピューターのアウトプットが一致しなければ、次のステップへは進まないツインシステムを採用しました。

 

すなわち、これによりアウトプットが一致しないときどちらかが故障したことがわかり、より精度の高い運行がなされます。

 

冗長設計の落とし穴

 

なお、冗長システムの採用にあたっては、次のことに気をつける必要があります。

 

図2の並列システムにおける3つともが故障する確率(1−0.90)3=0.001 の計算が成立する前提条件です。

 

このためには、3つの部品の故障が互いに独立に生じる必要があります

 

ある1つの原因により3つともが同時に故障しては、この計算は成立しません。

 

すなわち「独立に事象が生じる」ことが前提になります。

 

1985年8月12日、東京発大阪行きのJAL123便が御巣鷹山にて墜落炎上し、500名以上の犠牲者が出ました。

 

この飛行機には4系統の制御系が冗長系として使われていたにもかかわらず、すべての制御系が問題となった圧力隔壁を経由しており、圧力隔壁の破壊により、4つとも制御不能になってしまいました。

 

このような原因を共通原因故障といいます。

 

このような故障に対しては、FMEAを駆使することにより、事前検討が可能となります。

 

 

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