マルチメソッド評価の例【統計解析講義応用】

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マルチメソッド評価の例|【統計学・統計解析講義応用】

マルチメソッド評価の例【統計解析講義応用】


目次  マルチメソッド評価の例【統計解析講義応用】

 

 

マルチメソッド評価の例

 

ベッカーは,メキシコシティ郊外で催された,コミュニティ規模での健康フェアを評価する際に,質的データと量的データを収集した.

 

共同研究チームは,健康フェアの計画と実施についての質的情報と,フェアのアウトカムについての量的情報を集めた.

 

研究者は,双方のデータをもちいて,プログラムの反復と改善のための提案を作成した,

 

調査

 

看護研究者が現在使用しているデータ収集法で,もっともよくみられるものは,構造化された自記式質問紙法である.

 

研究者は,調査で標本の協力をいったん得たならば,当初の回答者からなる下位集団から徹底的なデータを集めやすい立場にある.

 

質的構成部分には,徹底的な個人面接または集団面接,または病院やナーシングホームといった自然環境での非構造的観察という方法がある.

 

実用的な観点からみて,同時に2つのタイプのデータを収集できれば十分である.

 

たとえば,研究者は,調査回答者の下位標本に対して,同じ日に,構造化質問紙法と徹底的な面接を実施できよう.

 

研究によっては,この手順がうまく機能する可能性がある.

 

しかし,2段階(反復)による方法には,2つの特徴的な利点がある.

 

まず,第2段階のデータ収集を量的データの収集と分析が終わるまで延期できる場合,研究者は,得た結果についての理由をより深く探究する好機に恵まれることになる.

 

このことは,量的分析により研究者の仮説が確証できなかった場合,または結果になんらかの矛盾がある場合には,とくに有益であると思われる.

 

第2段階の回答者は,いいかえれば,研究者がアウトカムを解釈する助けとなる情報提供者として利用できる.

 

反復法をもちいる2番目の理由は,研究者が,第2段階に有用な下位標本を選ぶために,第1段階で得た情報を利用できることにある.

 

たとえば,調査研究をしている現象について精通している人々,「典型的な」事例を示している人々,または主要構成概念とは正反対の立場にある人々といった,ある特徴を備えた情報提供者を選ぶために,第1段階で得たデータを利用しようとすることもある.

 

調査後の質的研究の例

 

ウィルソンとウィリアムズは,イギリスでのコミュニティ・ナースの電話相談に関する3段階の研究を行った.

 

第1段階は,コミュニティ・ナースへの郵送質問紙法による全国調査である.

 

第2段階は,14人の調査回答者の下位集団への徹底的な面接であり,電話相談でのナースの体験について徹底的に探索した,

 

第3段階は,電話サービスを利用した被面接者の事例から,クライエントの調査を行った.

 

エスノグラフィー

 

エスノグラフィーによる研究には,データ収集に複数の方法をもちいてきた長年の歴史がある.

 

通常,フィールド・スタディでもちいる手法によって,質的な観察のノート,徹底的な面接,そして日記や手紙のようなナラティブな文書といった,質的分析が可能な大量のデータがもたらされる.

 

エスノグラファーたちは,場合によっては,質的データ収集において,従来に比べてより大きな標本,またはより代表的な標本から,さらに構造化した情報を収集し,それらから恩恵を得る,

 

2次データは,調査の構造化自記式質問紙や,定量化できる記録のなかにあるだろう.

 

たとえば,フィールドワークがスラム地区の家庭内暴力に焦点をあてている場合は,統計学的分析が可能なデータを収集するために,警察記録や病院記録を利用できよう.

 

フィールドワークが進むにつれて,エスノグラファーたちは通常,研究している文化について,相当な洞察力を得る.

 

研究者たちは,こうした知識をもちいて,構造化されたデータ収集方法を通じて,さらに体系的な精査を必要とするような仮説を立てることができる.

 

その一方で,コミュニティや組織の特徴についての記述的情報を集めるために,研究の量的部分をもちいることができ,それにより質的分析結果をより広い文脈において理解できよう.

 

いずれの場合でも,コミュニティへの参加許可やその成員の信頼や協力をすでに得ているので,エスノグラファーたちは,調査または記録抽出活動を追求するための理想的立場にあると思われる.

 

 

マルチメソッドによるエスノグラフィーの例

 

クラークは,米国の都市のラテンアメリカ系コミュニティで,子どものためのヘルスサービスを利用するメキシコ系の母親の体験に焦点をあてたエスノグラフィーを行った.

 

複数の面接と参与観察によって,徹底的なエスノグラフィーのデータを収集し,さらに子どもの医療記録から量的情報を集め,分析した(例:救急部門を訪れた回数,小児健康診査を訪れた回数).

 

質的データと量的データを,単一の研究で融合する研究をデザインする利点を強調してきた.

 

われわれは,このような統合によって看護科学が発展する可能性は大きく,比較的にまだ未開発の状態にあると考えている.

 

また,問題のレベルからみて,ほとんどすべての研究のトピックが本質的にマルチメソッドであることから,ここで提起されたような統合への努力は不可欠であるとも考えている.

 

それにもかかわらず,質的データと量的データを単一の研究で収集することを制約するような障害があることがわかっている.
もっとも顕著なものを,以下にあげよう.

 

・認識論的偏り:質的研究者と量的研究者は,世界やそれを理解する方法について,異なった前提で研究を行っていることが多い.強硬な純粋主義的見解の研究者は,これらの前提を必然的に相容れない考えとみなすだろう.しかし,博士号を取得しているナースについての調査によると,この種の極端な見解は,看護研究者のあいだでは例外的である.

 

・費用:質的データと量的データを収集したい研究者たちが直面する大きな障害は,マルチメソッド・リサーチがたいてい,費用がかかることである.研究活動を助成する機関は,マルチメソッド・デザインによる貢献について「知識を備える」必要があるだろう.統合によって数多くの実質的利点がもたらされるだけでなく,質的データと量的データを単一の研究で融合することは,同一のトピックについて2つの研究プロジェクトを個別に行うよりも,実際に費用が安く効率がよい,ということにも同意できる.

 

・研究者の訓練:ほとんどの研究者たちは,質的研究方法または量的研究方法のどちらかに重きをおいた,大学院レベルの訓練を受けている.

 

したがって,研究者の技能がマルチメソッド・リサーチの障害となるかもしれない.

 

しかし,研究のあらゆる段階を,たった1人の研究者で行わなければならないということはない.

 

研究者どうしの協力は,マルチメソッド・アプローチをもちいることを決める重要な副産物となるだろう.

 

このような協力によって,研究方法と研究者の観点の双方で,トライアンギュレーションをもちいる機会が実現する.

 

マルチメソッド・リサーチを行う可能性を検討しているのであれば,あなたと協同して,あなたの研究技能を補ってくれるような技能をもつ人を探してみよう.

 

共通の問題に取り組む2つ(もしくはそれ以上)の頭脳をもつことは,たいていの場合,有益である.

 

これは,方法が多様な場合はとくにあてはまる.

 

第一線の質的研究者たちが,第一線の量的研究者であることはまずないし,逆の場合も同様である.

 

あなたができうるかぎりのことを行い,才能の異なる人物とアイデアを出しあうことが,通常は賢明である.

 

・分析の課題:マルチメソッド・リサーチを行うことには多くの利点があるにもかかわらず,有効なデータ分析の統合が困難を要する作業であることも,やはり事実である.
研究者は,数値とナラティプデータをどうすれば最善の方法で結合できるのか,また,不一致や矛盾する分析結果をどのように解明し,解釈するのかといった問題に直面するだろう.

 

しかしこうした難問に取り組むことで,研究している現象について,より精錬された概念化を得られるだろう.

 

・出版の偏り:雑誌によっては,質的研究を明確に選好するものもあれば,量的研究に傾倒するものもある.

 

このため,マルチメソッド・リサーチの多くの利点に先だって,質的研究結果と量的研究結果を個別に記述する必要があるだろうかと,研究者が懸念することもあるだろう.

 

しかし,出版の偏りは10年前に比べて,今日ではほとんど目につかなくなっている.

 

研究のための主要な看護雑誌のすべてが質的研究と量的研究を掲載し,しだいに,マルチメソッドの研究報告を出版するようになっている.

 

結論として,マルチメソッド・リサーチにはさまざまな障害があるが,看護専門職が関心をもつ諸問題に取り組むために,質的データと量的データを同時にもちいることが,強力な方法論的方略であると考える.

 

われわれは,看護研究者たちが,これらの障害に対応する手段を発展させるだろうことを確信している.

 

マルチメソッドの研究例を提示し,その方法の利点を示し,そのような統合がさまざまなかたちで適用されていることを説明した.別の2つの例について,ここでかなり詳細に説明しよう.

 

 

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