量的交互作用が起こる場合|【統計学・統計解析講義応用】
量的交互作用が起こる場合
治療が,ある疾患をもつ特定の患者にとって有益である場合,それらの治療は一般的にその疾患をもつ多くの患者にとって有益である.
しかしながら,治療は一般的に,患者の病態の重症度に応じて異なる絶対的利益(differential absolute benefit)をもたらす.
同様の相対的効果がある治療を施す場合,その治療がより大きなリスクの患者に適用されるときに,救うことができる,あるいは避けることができるイベントの数は大きくなる.
この概念の例として,著しい左心室機能不全の患者に対するアンギオテンシン変換酵素阻害薬の効果が大きいほど.前壁梗塞の患者に対する血栓溶解療法の便益がより大きく,若い患者と比較して高齢の患者に対するバイパス術の便益が大きい,ということがある.
この評価方法は,しばしば,臨床的に集団を特定するために収集する方法と同様であり,したがって,データを確認したり記録したりする追加のコストは少なくなる.
同じ原則は,害にもなる.複数の併存疾患(comorbidity)をもつ高齢患者や腎機能障害をもつ患者は,しばしば,有害な薬物作用の高いリスクをもっている.
もしこれらの患者が臨床試験から除外されると,治療が医療現場で用いられるようになったときに,真のリスクを知ることはできず,現在市販後の評価方法を通して正確なリスクを評価することは,不可能ではないにしろ,難しいだろう。
意図しない生物学的対象が起こる場合
治療は,変更できる病態生理学の経路または対象(target)を見つけることにより,そして完全なヒトに含まれていないモデルを用いる概念を利用することにより,適切に開発されている.
すべての良い方向性にもかかわらず,提案された治療は,しばしば治療が発見されたものとは異なるメカニズムによって働くかもしれない.
あるいは,治療は全く異なるシステムに影響を与えるかもしれない.
1つの例は,心筋梗塞に対する血栓溶解療法で.これは冠状動脈血栓症モデルを用いて開発された.
残念ながら,この治療もまた.頭蓋内血管に影響を与える.心不全に対する変力療法は心機能の測定方法を用いて開発されたが,心機能を明らかに改善するこれらの薬剤の多くは,おそらく神経ホルモン系の有害な作用を通して,また,死亡率の増加を引き起こす.
糖尿病治療のいくつかの新しい薬剤は,グルコースの取り込み経路を変えるために開発されたが,肝細胞への予期しない効果に直面した.フェンテルミンとフェンフルラミンの組み合わせの心臓弁への効果は予期されなかった.
筋壊死(myonecrosis)との主要な問題により,セリバスタチン(cerivastatin)は市場からの撤退を余儀なくされ,広範囲にわたる議論の結果,何十億ドルもの売り上げを誇った複数のCOX-2阻害薬が撤退することになった.
より最近では,実際に広く使われていて,臨床診療のガイドラインを適用し.かつ観察研究に基づいた薬剤の評価をしているにもかかわらず,一連の臨床試験において,より高い用最のエリスロポエチン(erythropoietin)の有害事象が見つかった.
実際.2011年6月になってFDAは,何年も経つのに,エリスロポエチンの適切な投与方法がわからないと認めた.
これらの例は,少ない患者数においてバイオマーカーや推測している代替評価項目に頼るよりは,治療を一般に公開する前に,患者の広い集団における治療を評価することの社会的必要性を指摘している.
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