デザインと研究のエビデンス【統計解析講義応用】

デザインと研究のエビデンス【統計解析講義応用】 | 統計解析 - ChatGPT・Python・エクセルを使った講義で最速マスター

セミナー詳細                    解析ご相談                    LINEでお友達

デザインと研究のエビデンス|【統計学・統計解析講義応用】

デザインと研究のエビデンス【統計解析講義応用】


目次  デザインと研究のエビデンス【統計解析講義応用】

 

 

デザインと研究のエビデンス

 

看護実践のエビデンスは,記述研究,相関研究,実験研究に依拠している.質的研究から得られた記述など,豊かな記述から論理が発展して知識が広がることが多い.

 

記述研究は,健康に関連する状態や行動の性質,強さ,罹患率を記録するのにとても有益であり,効果的な介入の開発に重要である.記述理論の開発に役立つ記述研究の価値は,とくに高い.

 

相関研究は,知識基盤開発の次の段階で着手されることが多い.

 

探索的後ろ向き研究は,より厳密なケース・コントロール研究,および前向き研究の下地を整える.

 

知識基盤が構築されるに従って,概念モデルが開発され,パス解析デザインやその他の非実験的な理論検証方略をもちいて検証する.

 

こうした研究によって,どのように介入を構築するか,誰がそれからもっとも利益を得るか,そしていつ始めるのが最適か,ということについて手がかりを得ることができる.

 

そして,次の重要な段階は,健康のアウトカムを改善する介入の開発である.

 

介入をデザインし,初期に検証する際には,パイロット・スタディ(pilot study)〔実行可能性研究(feasibility study)ともいう〕の実施が適切であることが多い.

 

介入を厳格に実験検証するには時間がかかる.

 

したがって,大規模な研究の実行可能性をみきわめ,予定している方法に見込みがあるかどうかを確定するために,小規模の検証から始めることが有用な場合が多い.
実行可能性は,さまざまな点から査定する.クライエントやスタッフが介入を受け入れることができるか,介入にいくらかかるか,介入を臨床環境へと容易に統合できるか,といった点を考慮する.パイロット・スタディによって,介入の成否の可能性や,介入の強化方法,変更方法についての手がかりが得られる.

 

パイロット・スタディは,方法論的な指針(例:十分な検証に必要な標本の大きさや,対象を募集するための方略を決定する際の)も提供する.

 

パイロット・スタディは,小規模研究と同じではない.「パイロット・スタディ」という用語は,より大きな標本を使わない研究者の言い訳として誤用されてきた〔King, 2001〕.

 

パイロット・スタディの目的は,研究仮説を検証することではなく,より大きな研究を準備するために,プロトコル.データ収集用具,標本募集方法,その他,研究の諸側面を検証することにある.

 

パイロットスタディの例

 

ザスト〔Zust, 2000〕は,抑うつの被暴力女性への,20週にわたる認知療法介入の効果を検証するという大規模な実験を将来行うにあたって,その実行可能性を探索するパイロット・スタディを説明している.

 

パイロットテストは,田舎に住む18人の女性を標本とし,実験的な前後デザインをもちいた.その結果,拡大して介入の検証を行うことが支持された.

 

記述研究から厳格な実験研究へとエビデンスを積み重ねていくことは,因果関係を明らかにするデザインの能力に関連しており,そのデザインは連続体で考えられる.
真の実験デザインがその連続体の一端であり,記述研究が,対する一端である.

 

・研究デザインは,研究設問に答えるための研究者の全体的計画である.量的研究では,デザインは,介入があるかどうか,比較の性質,外生変数をコントロールするための方法,データ収集のタイミングと場所,対象者に提供すべき情報を示す.

 

・対象間デザインは,いくつかの異なる人々の集団を比較し,同じ対象を比較する対象内デザインと対照をなす.

 

・横断的デザインは,ある一定の時点でデータを収集するものであり,縦断的デザインは長期にわたって複数の時点でデータを収集するものである.

 

・経時的な傾向や変化,発達の研究にもちいる縦断的研究には,傾向研究(同じ母集団から異なる標本を抽出して,複数の時点でデータを収集する)やパネル研究,追跡研究(同じ対象から複数,データを収集する)がある.

 

・縦断的研究は,一般に費用と時間がかかり,自然減(時間の経過とともに研究参加者を失う)のリスクにさらされるが,きわめて貴重な情報を得られる.

 

・実験には,操作(研究者が処理または介入を導入して独立変数を操作する),コントロール(介入を施さず,実験群と比較するためのコントロール群を利用することを含む),および無作為化または無作為割り付け〔実験に着手する時点で,グループ(群)を均等にするよう,対象を実験群とコントロール群に無作為に割り付ける〕が含まれる.

 

・無作為割り付けは,コイン投げや乱数表をもちいるなど,すべての対象がどのグループにも平等のチャンスで割り付けられるような方法で行う.無作為化は,研究結果に影響しうるすべての特性に関し,グループを均等化するうえで,もっとも信頼できる方法である.

 

・事後テストのみデザイン(または事後のみデザイン)は,実験処理の導入後に,1回だけデータを収集する.

 

・事前事後テスト(または前後)デザインでは,実験操作の前後でデータを収集するので,変化を分析できる.

 

・要因デザインは,2つ以上の変数を同時に操作し,研究者が主効果(実験的に操作された変数から得られる効果)と交互作用効果(処理の組み合わせによって得られる効果)の両者を検証できる.

 

・乱塊法では,操作できないブロック変数(性別のように)のレベルが異なるグループに,対象を無作為に割り付ける.

 

・クロスオーバー・デザイン(反復測定デザイン)では,研究対象は複数の実験条件に曝琳され,対象が自分自身のコントロール群となる.

 

・研究者は,コントロール群をさまざまな条件に曝露できる.その条件とは,実験処理をしない,代替的な処理を行う,プラシーボまたは見せかけの介入を行う,標準的処理を行う,処理の量を変える,処理を遅らせる,などである.

 

・真の実験は,他のどのような種類の研究方法に比べても,因果関係を推論するための基準にもっとも適しているということから,科学の理想であると多くの人々が考えている.

 

・準実験デザインは操作を行うが,比較群または無作為化を欠いている.準実験では,これらの欠いた要素を補うために,コントロール方略を導入する.対照的に,前実験デザインはそのような安全策を施さない.

 

・不等価コントロール群前後デザインでは,無作為割り付けをせずにつくられた比較群をもちい,当初のグループの均等性を査定するために,処理前のデータを収集する.

 

・時系列デザインには,比較群がない.従属変数に関する情報を処理の前後にわたって収集する.

 

・準実験の結果を評価する場合,介入以外の因子がアウトカムの原因であったり,アウトカムに影響したということが,もっともらしい説明か(すなわち,結果を説明するための対立仮説があるか)を問うことが重要である.

 

・非実験研究には,記述研究,つまり,現象の状態を要約する研究と,変数間の関係を検証するが独立変数の操作をしない遡及的(または相関)研究がある.

 

・非実験研究は,以下の理由で着手する.@身長や性別のような多くの独立変数は,無作為化できない.A技術的には操作できても倫理的には操作すべきではない変数もある.B変数の操作に,実際上の制約がある場合もある.C研究者は,意図して変数を操作しないことを選び,自然の環境に存在するがままに,現象をより現実に即して理解しようとする場合がある.

 

 

研究条件を一定にできないときは,他の方法で外生因子をコントロールすることを考えたほうがよい.

 

たとえば,1日の時間帯が従属変数の測定に影響すると予測した場合は,おそらく,対象を午前の部と午後の部に無作為に割り付けることができよう。

 

考慮が必要なもう1つの外生因子は,時間である.

 

研究のトピックによっては,データを収集する1日の時間帯,または1年のうちの時期が,従属変数に影響するかもしれない.

 

こうした場合には,すべての対象に時問的条件を一定にすることが望ましいだろう.

 

たとえば,疲労や身体の健康状態について調べるときに,データを午前に集めるか,午後に集めるか,または晩に集めるか,または夏にするか冬にするかは相当に重要だろう.

 

時間的条件が一定であることは,常に重要ではないが,比較的にコントロールしやすいので,研究をデザインする際は考慮したほうがよい.

 

・相関研究のためのさまざまなデザインがある.それには,後ろ向きデザイン(アウトカムで始まり,先行原因を求めて時間をさかのぼる),ケース・コントロール研究(ある疾患や条件をもつケースと,もたないコントロールとを比較し,先行原因についての仮説を検証する後ろ向き研究),前向きデザイン(推定される原因で始め,やがて,その影響を求めて進む縦断的研究),自然実験(災害のように,一見したところ,無作為的な事象に影響を受けた集団と,影響を受けなかった集団との比較),パス解析研究(理論を基盤に開発した因果モデルを検証する)がある.

 

・記述研究には,記述相関研究(因果関係の推論ではなく,どのように現象が相互に関連しているかを記述する)と,1変量記述研究(相互関係を検証するのではなく,変数の発生,頻度,または平均値を検証する)がある.

 

・記述研究には,罹患率研究と発生率研究がある.罹患率研究は,ある特定の一時点での,ある条件の罹患率を記録する.発生率研究は,ある一定の期間に,新たな事例となる頻度を記録する.2つの集団の発生率がわかると,2つの集団の「事例性」の相対危険を計算できる.

 

・遡及的研究または相関研究の主な弱点は,比較群に自己選択をもちいることで,偏りを生じうることである.次に,同じ問題を研究する縦断的研究をデザインしよう.それぞれの方法の問題点と長所を特定しよう.

 

研究者が,危機介入状況におけるナースの行動に対する感受性訓練の影響を研究しようとしている.

 

これについて研究するために,どのように実験を設定するかを説明しよう.

 

また,同じ問題を研究するのに利用できる準実験デザインまたは前実験デザインを2つ説明してみよう.それぞれにはどのような弱点があるかを検討しよう.

 

1.これからあなたが行う実験に,10名(Z, Y,X, W, V, U, T, S, R, Q)が参加することになったとしよう.乱数表を使って,5人をグループIに,残りの5人をグループnに割り付けよう.そして,それらのグループを実験群とコントロール群に,無作為に割り付けよう.

 

2.嚥下障害の患者の栄養補給に有効ないくつかの方法を,看護研究者が研究したいと思っている.研究者は,この問題を検討するのに,相関的デザインを使えるだろうか.使えるとしたら,または使えないとしたらそれはなぜか.実験的方法または準実験的方法が使えるだろうか.使えるとしたらどのようにもちいるのだろうか.

 

3.入院している子どもの経済的に不利な立場の程度と,その子どもが看護スタッフに話しかける頻度と内容との関係を,看護研究者が調べようと計画している.どちらが独立変数で,どちらが従属変数か.この研究は,基本的に,実験的方法に分類できるか,または相関的方法か,それとも両者の方法を利用できるか.

 

 

デザインと研究のエビデンス【統計解析講義応用】


セミナー詳細                    解析ご相談                    LINEでお友達

デザインと研究のエビデンス【統計解析講義応用】

デザインと研究のエビデンス【統計解析講義応用】