不均質性【統計解析講義応用】

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不均質性|【統計学・統計解析講義応用】

不均質性【統計解析講義応用】


目次  不均質性【統計解析講義応用】

 

 

不均質性

 

しばしば変数と関連づけて使用される用語に不均質性がある.

 

調査研究中の集団の属性がきわめて多様である場合には,その集団はその変数に関して不均質(heterogeneous)であるという.

 

他方,もしばらつきの量が小さいならば,その集団は相対的に均質(homogeneous)であるとみなされる.

 

たとえば,身長という変数に関しては,2歳の子どものほうが18歳の青年よりも均質である.

 

対象集団のぱらつきまたは不均質性(heterogeneity)の程度は,研究のデザインに重要な意味をもつ.

 

概念と変数の定義

 

研究における概念は,定義し詳細に説明しなくてはならない.辞書による定義が適切であることはほとんどない.

 

概念的定義と操作的定義の2種類の定義が,とくに研究とかかわっている.

 

前述したように,研究者が関心をもつ概念は観察可能な現象の抽象化である.

 

研究者の世界観および看護についての見解が決め手となって,それらの概念が定義づけられる.

 

概念的定義(conceptual definition)は,研究する概念についての抽象的な意味もしくは理論的な意味を示す.

 

概念の意味は,理論的な構築,適切な文献の正確な理解,または研究者の臨床経験(またはこれらの組み合わせ)などに基づいている.

 

単純にみえる用語であっても,研究者によって概念的に定義される必要がある.その古典的な例はケアリングという概念である.

 

モースら〔Morse et al 1990〕は,多くの看護研究者と理論家の業績を精査して,どのようにケアリングが定義されているかを調べた.

 

そして,その概念的定義には5種のカテゴリーがあることがわかった.

 

つまり,人の特性,倫理的要請,情愛,人の相互関係,治療的介入の5つである.

 

ケアリングにかかわる研究をする研究者は,どの概念的定義をとっているのかを,自らに対しても読者に対しても明らかにする必要がある.

 

質的研究では,重要な現象の概念的定義が,研究活動の主な最終的成果となろう.

 

というのも,研究活動は,研究されている人々が定義する概念の意味を把握することをめざすからである.

 

しかし,量的研究では研究者はその研究に着手する時点で,研究概念を明らかにし定義づける必要がある.

 

量的研究者は変数を実際の研究状況でどのように観察し測定するかを示さなくてはならないので,これが必要となる.

 

概念の操作的定義(operational definition)は,必要な情報を収集するために研究者が行わなければならない操作を特定している.

 

操作的定義は概念的定義に対応しなくてはならない.

 

操作が簡単にできるかどうかは,変数によって異なる.

 

たとえば,体重という変数は定義するのも測定するのも容易である.

 

体重は「対象となる物の重さをポンドで,またはもっとも近いポンド値で量った量」と操作的に定義できる.

 

この定義は,体重はグラムではなくポンドという度量法で測定するよう指定している点に注意しよう.

 

操作的定義では,研究対象者の体重は10時間の絶食ののち,完全に衣服を脱がせ,ばね秤を使用してもっとも近い範囲のポンドを読みとる,と特定することもあろう.

 

この操作的定義は,体重という変数の意味を明らかにするのである.

 

不幸にして,看護研究において関心がよせられる変数で,体重のように容易に操作できるものは少ししかない.

 

多くの変数を測定するには多様な方法があり,研究者は概念化するにあたって,もっとも変数をよくとらえる方法を選ばなければならない.

 

不安を例にとってみよう.これを生理的機能と心理的機能の両面から定義するとしよう.

 

研究者が不安の生理的側面を強調しようとするならば,操作的定義にはバルマー・スウェット・インデックス(Palmer Sweat Index)のような生理的測定を含むことになろう.

 

他方,もし不安を第一義的には心理状態であるとして概念化するならば,操作的定義には不安尺度(state anxiety scale)のような自記式測定尺度がもちいられるだろう,研究報告を読む人が,その調査研究者が変数を概念化し操作するやり方に対し必ずしも同意するとはかぎらない.

 

しかし用語を正確に定義すれば,ある研究の文脈のなかでその用語が意味することを正確に伝達できるという利点がある.

 

 

概念的定義と操作的定義の例

 

ベックとゲーブル〔Beck & Gable, 2001〕は,産後うつ病のさまざまな様相を概念的に定義し,ベックが開発した指標,産後うつ病検定尺度(postpartum depression screening scale: PDSS)に,その定義がどう操作的に関連するかを記述した.

 

たとえば,認知障害という産後うつ病の一局面は,「母親が自分の思考過程をコントロールできなくなることで,自分が正気を失うかもしれないという恐れを抱くようになる」と概念的に定義された.

 

操作的には,「頭の中を考えが駆けめぐるのを止められない」という説明に自分の状態があてはまる,と当人が指定すると,この女性がどの次元であるかをPDSSが把握するのである.

 

データ

 

調査研究のデータ(data,単数形はdatum)は,調査のあいだに得られた断片的な情報である.

 

量的研究においては,研究者は,関心のある変数を特定し,それらの変数の操作的定義づけを行い,対象から関連のあるデータを収集する.

 

研究の変数の実際の数値は,プロジェクトのためのデータを構成している.

 

量的研究者は主に量的データ(quantitative data),つまり数のかたちをとった情報を収集する.

 

たとえば,主な変数がうつ状態である量的研究を行うと仮定してみよう.

 

われわれは研究参加者がどの程度うつ状態であるかを測定する必要がある.

 

われわれは次のような質問をするだろう.

 

「先週のことをふりかえってみて,0から10の尺度で,うつ状態がどの程度であったと思われますか.0はまったくない”を意味し,10はもっとも高い”を意味します」.

 

質的研究においては,研究者は主に質的データ(qualitative data)つまりナラティブ(語り)の記述を収集する.

 

ナラティブの情報は,参加者との会話や自然な状況下で参加者がどのようにふるまうかについての詳細な記録を作成すること,または日記のような,参加者自身によるナラティブの記録を入手することで得られる.

 

うつ状態について質的研究を行うとしよう.

 

「最近あなたがどんなふうに感じているか,話していただけますか.たとえば,悲しいと感じているとか,いつも憂うつであるとか,概してよい精神状態であるとか」.

 

ここでのデータは,それぞれの参加者の情緒的状態についての豊かなナラティブの記述からなっている.

 

一般に,研究データを分析可能にするために,コーディング(coding ; コード化)という操作が必要である.

 

量的研究では,コーディングとは言語的データを数値に置きかえる過程である.

 

たとえば,対象の性別についての質問への回答を,女性は1”,男性は2”(またはその反対)とコード化する.

 

質的コーディングでは,研究者はデータ上の重要なテーマをあらわすコーディング・カテゴリーを開発する.

 

関係

 

記述的研究を除いて,研究者が単一の,孤立した概念や現象に興味をもつことはまれである.

 

記述的研究の一例として,静脈内注射(IV)での治療を受けており,IVの組織浸潤を経験した患者の割合を明らかにする研究を行うとしよう.

 

この例では,変数はIV組織浸潤ありと,IV組織浸潤なしである.

 

しかし,通常,研究者はある現象を他の現象との関係において研究する,

 

すなわち研究者は関係を探索または検証する.関係(relationship)とは,現象間の結びつきまたはつながりを指す.

 

たとえば,研究者は繰り返し,喫煙と肺がんのあいだに関係があるという結果を明らかにしている.

 

質的研究と量的研究はともに関係を検証するが,その方法は異なっている.

 

量的研究では,研究者は主に,独立変数と従属変数の関係に関心をもっている.

 

研究設問は,従属変数における変化が,独立変数における変化と,系統的に関係しているかどうかを問うものである.

 

関係はたいてい〜以上,〜以下などのように,量的用語であらわす.

 

例として,従属変数として体重を考えてみよう.

 

どのような変数が体重に関連しているだろうか.

 

身長,カロリー摂取,運動などがある.

 

これらの独立変数の各々について,従属変数との関係の性質を予測することができる.

 

身長:背の高い人は低い人よりも体重が重い.

 

カロリー摂取:カロリー摂取が高い人は,カロリー摂取が低い人よりも体重が重い.

 

運動:運動量が少なければ少ないほど体重は重くなる.

 

これらの各々の説明は,体重(従属変数)と測定可能な独立変数とのあいだに予測される関係を述べている.

 

…よりも多いとか…よりも重いという言葉は,一方の変数に変化が観察される場合,体重にもそれに対応する変化が観察できるであろうことを意味する.

 

もし,ネイトがトムよりも背が高いなら(他のどのような情報が不足していても),ネイトはトムよりも体重が重いと予測できる.

 

大部分の量的研究は,変数間に,関係があるか否かをみきわめるために行う.

 

量的研究は,関係についての次のような課題をあつかうことが多い.

 

・変数間に関係が存在するか(例:喫煙は肺がんに関係があるか).

 

・変数間の関係の方向性はどうか(例:喫煙が多い者は喫煙が少ない者よりも肺がんにかかりやすいか,かかりにくいか).

 

・変数間の関係はどの程度の強さか(例:喫煙と肺がんとの関係はどの程度強いか.喫煙者が肺がんの犠牲になる確率はどの程度か).

 

・変数間の関係の性格はどのようなものか(例:喫煙が肺がんの原因か.なんらかの他の因子が喫煙と肺がんの両方の原因か).

 

この最後の課題が示すように,量的変数は,さまざまな様式で互いに関係している可能性がある.

 

1つは因果関係(causc-and-effect relationship またはcausal relationship)である.

 

実証主義パラダイムでは,自然の現象は偶発的・偶然的なものではなく,すべての現象にはおそらく発見可能な先行因子もしくは原因があると仮定する.

 

たとえば,体重についての前述の例では,カロリー摂取と体重のあいだには因果関係がある,つまりカロリーを多く摂取するほど体重は増加するといえる.

 

因果関係についての研究例

 

ケラーとトレヴィーニョ〔Keller & Trevino, 2001〕は,メキシコ系アメリカ人女性を対象に,歩行療法(およびさまざまな歩行頻度)が肥満症や高脂血症などの心臓血管の危険因子を低減するかを研究した.

 

諸変数間の関係すべてが,因果関係として解釈できるわけではない.

 

たとえば,ある人の肺動脈の温度と中耳の温度とのあいだには,ある関係が存在している.

 

つまり,肺動脈の温度が高い大は,中耳の温度も高くなる傾向にある.

 

しかし,たとえ2つの変数が関係していたとしても,肺動脈の温度が中耳の温度の原因となったとはいえないし,中耳の温度が肺動脈の温度の原因となった,ともいえない.
この種の関係は,因果関係ではなく,むしろ機能的関係(functional relationship)〔または連合的関係(associative relationship)〕という.

 

機能的関係についての研究例

 

プレスラーとヘプワース〔Pressler & Hepworth, 2002〕は,早産新生児の行動能力と児の性別との関係,および人種との関係を検証した.

 

質的研究者は,関係を定量化することや,因果関係を検証したり確認することには関心をもたない.

 

むしろ,質的研究者は,関心ある現象の根底にある意味や広がりを解明する方法として,関連するパターンを探究する.

 

テーマやプロセスが相互に結びついているパターンは,全体を理解する1つの手段とみなされる.

 

質的研究では,現出するカテゴリー間の関係を明らかにすることによって,理論が生みだされることがある.

 

この新しい連関が,「データ分析ののち,ばらばらになっていたストーリー(物語)を再構成する」のに役立つ〔Glaser, 1978, p.72〕.

 

パターンについての質的研究例

 

ラムとマッケンジー〔Lam & Mackenzie, 2002〕は,ダウン症児を育てている中国人の両親の体験を探索した,徹底的な面接から現れた1つの主要なテーマは,親として子どもを受け入れることであった.

 

研究者は,母親と父親の相違をとくに検証しようとしたわけではないが,母親と父親では子どもを受け入れるペースが異なることを指摘した.

 

 

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