平均への回帰【統計解析講義応用】

平均への回帰【統計解析講義応用】 | 統計解析 - ChatGPT・Python・エクセルを使った講義で最速マスター

セミナー詳細                    解析ご相談                    LINEでお友達

平均への回帰|【統計学・統計解析講義応用】

平均への回帰【統計解析講義応用】


目次  平均への回帰【統計解析講義応用】

 

 

巨人と小人

 

父親の身長がその息子の身長にどのように遺伝するのでしょうか。もちろん、成人したときの息子の身長に対してです。

 

遺伝の法則というものがある以上、身長の高い父親の息子は、父親に似て身長が高いはずです。

 

しかし、まったく同じということもあり得ません。何人か息子がいればそれぞれ身長は違うでしょう。

 

兄弟の身長にはバラツキ、すなわち個人差があります。

 

では息子が1人の場合はどうでしょう。

 

そのような場合もあるので、個人個人ではなく、同じ身長の父親をたくさん集めてグループとして観察すると、その息子たちの身長は全体としてばらつきます。

 

では、息子たちの身長は父親の身長の上下にばらつくと仮定します。

 

この仮定を認めると、大変なことがおきます。

 

身長の高い父親からは、さらに身長の高い息子が生まれる可能性があります。

 

その息子が父親となってさらに身長の高い息子が生まれます。

 

そうなると限りなくなります。その反対の、身長が低い場合も同様です。

 

人類の身長の集団としてのバラツキは、世代とともにどんどん大きくなって、3m以上の巨人や、1m未満の小人が、いくらでもきりなく出現するようになってしまいます。

 

父親の身長の上下にばらつくという仮定はどうも無理があります。

 

 

身長は回帰する

 

それでは仮定を変えて、身長の高い息子が父親ほど身長は高くなく、反対に身長の低い父親の息子は父親ほど身長が低くないものと仮定します。

 

すると、世代とともに、全体としてのバラツキ、つまり身長の個人差はどんどん小さくなって、いつかは皆平均化してしまうように思われます。

 

しかし、かなり身長の高い息子でも、バラツキがあるために父親くらいの身長の息子がまれに生まれます。

 

そのまた息子の身長も、まれに親の身長と同じくらいになります。したがって、それが人類の身長の上限となります。下限についても同様です。

 

イギリスの遺伝学者ゴールトン(1822-1911)は、イギリスの1,000あまりの世帯について、同じ身長を持つ父親の息子たちの平均身長をグラフで描いてみて、「身長の高い父親の息子の平均身長は、その父親ほど高くない」または、「身長の低い父親の息子たちの平均は、その父親ほど低くない」ことに気づきました。
すなわち「平均値から遠くはなれた身長をもつ父親の息子たちの平均身長は、全集団の平均値に近づく」という傾向を見出しました。

 

そして、これを平均への回帰(regression)現象と呼びました。

 

このとき、回帰という言葉は初めて統計学に現れたのです。この言葉は、もとに戻るという意味で、サケが生まれた川に戻ってくる場合などに用いられています。
また、夏至、冬至に頭の上に太陽がくる地球上の位置が、北、南回帰線と呼ばれているのは、太陽がそこまで来て戻るからです。

 

偏差とか相関とか、無味乾燥な用語がほとんどを占める統計学に、このような魚や太陽をイメージさせる言葉がそのまま取り入れられているのは興味深いことです。

 

 

平均への回帰【統計解析講義応用】


セミナー詳細                    解析ご相談                    LINEでお友達

平均への回帰【統計解析講義応用】

平均への回帰【統計解析講義応用】