適応的デザイン|【統計学・統計解析講義応用】
適応的デザイン
臨床試験のサンプルサイズと検出力は,イベント発生率や連続値である応答変数の変動,そして被験者の脱落率などに基づいて計算される.
我々は,これらの見積もりに利用可能な最適と考える情報を用いるが,時々その情報が間違っていることがある.
どれだけ試験開始前に手にするデータがどれだけ適切であると考えても,それは我々の試験データほど適切ではあり得ない.
試験のデータは,イベント率が考えていたよりも低くいことやあるいは変動が大きいことを示すかもしれないが,そのことを始めに知っていれば,我々はより大きな規模の試験を考えただろう.
適応的手法は,試験のデータを見た後にそのデザインを変更することのできる機会を与えてくれる.
我々はそのうちで規制上の観点から重要な第一種の過誤を制御するように特に設計された方法についてまず注目する.
ここでの我々の目的は,有用であるかもしれない手法と試験の信頼性を損なってしまう可能性のある手法を区別できるようあなたを手助けするために,適応的手法の極めて簡潔な全体像をお見せすることである.
可能性として,適応的アプローチにはサンプルサイズの変更,母集団,群の数,異なる群への割付確率の変更,そして主要な応答変数の変更でさえも含む.
このうちのいくつかは,受け入れることの恐れをあなたに抱かせるものだろうし.そしてそのことはとても良いことである!
いかなる適応も厳格な審査を受けることになるが,もしそれがあなたを怖がらせるのならば,それはおそらくあなたの論文の評価者含め,科学者コミュニティをも恐れさせるであろう.その他の適応には害がないと思われるものがあるかもしれない.
その適応が安全なものか,あるいは極めて有害なものになる可能性があるかを評価するための以下のような4つの設問がある.
1.変更は非常に大きなものであったか.
2.何かを変更するという判断は,盲検化した治療をオープンにした後に行われたか.
3.変更は計画されていなかったものか.
4.変更は,観察された治療効果に基づいて行われたものか.
これらの設問のいずれかに「はい」と答えることはその適応に対するあなたの懸念のレベルを上げなければならない.
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