シャム対照【統計解析講義応用】

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シャム対照|【統計学・統計解析講義応用】

シャム対照【統計解析講義応用】


目次  シャム対照【統計解析講義応用】

 

 

シャム対照

 

シャム対照群(sham control group)は,介入による効果はなく,試験群と同じ治療法を実施する群である.

 

シャム対照は,機器を含む介入で最も一般的である.

 

他の対照群と全く同様,シャム対照は,バイアス,特にアドヒアランスと期待における群間差に関係するもの,の可能性を減らす.

 

また,シャム対照は,効果を示すとは考えられないような治療法関連の要因や手順を管理する.

 

例えば,外科的介入に対するシャム対照群は,便益と考えられるあらゆる側面以外すべての外科手術の側面を含むだろう.

 

シャム対照群の便益と強みにもかかわらず,外科的介入に対しては,それが侵襲的であって便益なしで試験群と同程度のリスクを共有するため,相対的にほとんど用いられない.

 

しかしながら,他の方法に基づく介入に対しては,偽物(シャム)を使用するリスクが低いとき,シャム対照群は多少とも頻繁に用いられる.

 

活性プラセボ対照

 

明白な副作用を持たない介入の試験においては,興味のあるアウトカムにおそらくは(肯定的にも否定的にも)何の効果ももたらすことのない,活性治療法の副作用を模倣した「活性プラセボ対照」を用いる研究者がいる.

 

このバイアスを除去するために2つの治療法の副作用の程度を正確に一致させる必要があるかどうかは明確ではない.

 

例えば,帯状疱疹後神経痛の沢山の異なる薬剤の単回用量比較では,副作用によって誘発されるプラセボ反応の大部分は最初の穏やかな症状が露見して起こることが示唆された。

 

活性プラセボ対照の欠点となり得るものとしては,プラセボに含まれる活性成分が基礎症状を悪化させることによって,偽陽性の結果に影響を与え,症状を改善させ,試験介入の効果を示し難くし,あるいは副反応の原因となったりする可能性がある.

 

また,倫理的規定は個別の患者集団にとりわけ関係している.

 

一般に,プラセボを選択するか,活性プラセボにするか,別の対照群にするかは.取り組んでいる課題,その課題に対する調査研究の段階,および倫理問題によって決定すべきである.

 

通常診療対照

 

通常診療対照群は,通常の治療法の群であるが,臨床診療でよく見られる他の群とは.特に臨床的調査研究に関連深く重要である.

 

これらの対照群を用いる試験は多種多様ある.

 

すべて,基本的には,調査研究に登録された患者集団から成るのであるが,患者はあたかも試験に登録されていないかのように通常の診療設定で治療法を受ける.

 

通常診療対照群が受ける治療法は,概して,典型的な臨床診療が多種多様あるのと同様,多種多様である.

 

密接に関連しているものとして,倫理問題に対処するためにいくつか共通で最低限の診療(通達によることが多い)は全員が受けるように通常診療をいくつか強化された場合がある.

 

通常診療対照群は.与えられた病状に対してどんな診療がよく実施されるか,したがって,現実の状況で何が起こっているかを反映するため,効果試験において極めて多くの情報を得る.

 

けれども,通常診療がどんなものから成るかに大きな変動がある場合,例えば,通常診療は保険の状態,社会経済状態,地理的地域によって極めて大きく変動する.

 

 

複数対照群

 

最も単純な昔ながらのデザインは,2つの治療法−介入と,プラセボであることが多い対照−から成るが,追加の対照群を含む試験もたくさんある.

 

例えば,ある病状に対して以前に有効性が示された標準的な「実薬対照」が,試験治療が示す反応の程度を比較するための尺度として設定される.

 

実薬対照がなければ.試験治療がプラセボよりも大きな反応を生み出すことが示せなかったときに,試験の結論が出ないままになるだろう.

 

治療法は有効でなかったと結論しようと試みても,評価手段の感度が低かった,試験実施者の手順が変動的だった,あるいはわかりにくかった,患者集団が特段高いプラセボ反応を示すものだった,単に確率的変動だった,という可能性がある.

 

もし実薬対照が含まれていて.プラセボと試験治療の両方に優位性を示したら,試験治療が効果を持たないという結論を支持するだろう.

 

代わりに,3つの群がすべて同様の反応を生み出したら,有効な治療法でも効果を示せないくらい試験方法が不十分であったという結論を下せるだろう.

 

試験治療,標準治療およびプラセボを試験するためのデザインに加えて.他にもプラセボのない複数群のデザインも可能である.

 

調査研究の主要な疑問をより解明するために追加の治療法群や対照群を選択し,含める臨床試験はたくさんある.

 

1つ1つが複数要因の介入の異なる側面を制御するような複数の対照群を含める試験もある.

 

代わりに,同じ介入の2あるいはそれ以上の用量を各対照群と比較することもでき,下される因果推論を支持するだろう.

 

用量反応曲線が,対照群では全くまたは小さな反応を示し,試験介入では用量の増加と共に段階的に反応が増大していれば,試験治療の肯定的な便益を確信的に立証する.

 

興味のある疾患領域が何であっても,試験の可能なアウトカムをグラフに描くことによって,提案された調査研究デザインの頑健性を調査したいかも知れない.

 

特定のアウトカムに対して与える結論が曖昧なときは,他にとり得る説明を際立たせるような追加の治療群を考えるとよい.

 

けれども,治療法群または対照群の追加は費用がかかる.

 

もっとたくさんの患者を組み入れるか,比較を行うための統計学的検出力を減らしても各治療群の標本サイズを減らすかのいずれかをしなければならない.

 

多くの場合,特に否定的な結果には大きな関心がない場合には,試験実施者は,否定的な結果の解釈を明瞭にすることを主たる目的として対照群を除くことを選択してもよい.

 

いずれの場合であっても,下さなければならない多くのデザインの決定と同様,試験群のデザインの詳細を決定づける主要な要因は,取り組んでいる課題と興味のあるアウトカムであるべきである.

 

 

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