等質性によるコントロールの例【統計解析講義応用】

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等質性によるコントロールの例|【統計学・統計解析講義応用】

等質性によるコントロールの例【統計解析講義応用】


目次  等質性によるコントロールの例【統計解析講義応用】

 

 

等質性によるコントロールの例

 

ツォツニフスキーとチユング〔Zauszniewski & Chung,2001〕は,糖尿病患者の健康実践への,抑うつの症状と学習された高い処理能力がもたらす影響について研究した.

 

研究者らは,ほかに疾患がなく精神疾患歴もない,2型糖尿病の成人女性に,標本を限定した.

 

ブロック化

 

外生変数をコントロールする4番目の方法は,それらを独立変数として研究デザインに組み込むものである.

 

運動訓練プログラムの例を続けよう.

 

性別が交絡変数となると考えたなら,乱塊法(randomized block design)の研究にそれを組み込むことができよう.

 

こうした研究では,高齢の男性および女性を別々に,無作為に処理群とコントロール群に割り付ける.

 

この方法は,従属変数へのブロック変数(性別)の影響を排除できるので,研究の実験群とコントロール群の差が検出しやすくなる利点がある.

 

さらに,ブロック変数が実質的に重要な場合は,この方法によって,ブロック変数(男性と女性)によってつくられた集団間の差を研究することができる.

 

このデザインは,複数のブロック変数に広げることができる.

 

ここでは,対象の年齢を2つ目の外生変数として取り入れている.

 

再び,各ブロックから,対象を実験群とコントロール群とに無作為に割り付けるとしよう.

 

いいかえると,66〜70歳までの男性の半数を無作為にプログラムに割り付け,71〜75歳の男性についても同様の手続きをとる,というようにである.

 

理論的には,いくつのブロックを加えてもよいが,実際には,通常,比較的少ないブロック数をあつかう(したがって,コントロールできる外生変数の数は少ない).

 

厳密にいえば,ブロック化(blocking)は,実験研究だけにあてはまるものであるが,現実には,準実験研究や相関研究でもよくもちいられている.

 

運動訓練プログラムが心血管機能に与える効果を,事後(すなわち,対象が2群のうちの1つを自己選択し,誰がどの群に入るかを,われわれがコントロールできなかった場合)に研究するとしたら,男女別々にプログラムの効果を分析するというような方法で,分析を設定することもできよう.

 

デザインの構造は乱塊法と似ていようが,導出される結論は,対象を無作為に集団に割り付ける場合とは違ったものになるだろう.

 

ブロック化によるコントロールの例

 

ジョーンズ,ジャセルド,リー,チャン,メレイス〔Jones. Jaceldo, Lee. Zhang, & Meleis, 2001〕は,高齢化した親の介護をするアジア系アメリカ人女性において.役割統合と認知している健康状態を研究した.

 

中国系女性とフィリピン系女性を分けて,研究変数間の関係を検証した.

 

マッチング

 

外生変数をあつかう5番目の方法は,マッチングである.

 

マッチング(matching)〔ペアマッチング(pair matching)としても知られる〕では,対象の特性を知ったうえで,比較群を構成する.運動訓練プログラムの例にマッチングをもちい,年齢と性別を外生変数とした場合には,運動訓練群のそれぞれの対象と,比較群のそれぞれの対象とで,年齢と性別に関して一致させる必要があろう.

 

マッチングは,直観的には魅力的なデザインであるが,問題があるとされる理由がある.

 

第1に,効果的に一致させるには,事前に,関連する外生変数が何かを知らなければならない.

 

第2に,外生変数が2つまたは3つ以上の場合,適切にペアマッチングを行えないことが多い.

 

たとえば,対象の年齢,性別,人種,ナーシング・ホーム入居期間をコントロールするとしよう.

 

運動訓練プログラムの対象は,80歳のアフリカ系アメリカ人女性で入居期間5年であったとすると,われわれはこれらと同じか類似の特性をもつ女性を,対応する比較群として探す必要があろう.

 

3つ以上の変数では,マッチングはかなり厄介か,ほとんど不可能になる.

 

しかし,通常,研究者の従属変数に影響する外生変数は,3よりずっとはるかに多い.

 

これらの理由から,一般に,マッチングを外生変数をコントロールする技法としてもちいるのは,相関研究など(例:ケース・コントロールデザイン),他のもっと強力な方法が使えない場合のみに限るのがよい.

 

マッチングする各変数について,1対1を基本に対象を一致させるペアマッチングに代わるものとして,研究者は,主要な外生変数についてバランスデザイン(balanced design)を使う.

 

このような状況では,研究者はただ,比較するグループを,外生変数に関して比例代表となるように構成するのを確実にするだけである.

 

たとえば,運動訓練プログラムの例で,関心ある外生変数が性別と人種の2つであれば,研究者はバランスデザインを適用して,運動訓練群と比較群で,男性と女性(そして白人とアフリカ系アメリカ人の対象)を同じ割合にしようとするだろう.

 

このような方法は,ペアマッチングよりは,厄介ではないが,同じような限界がある.

 

しかし,ペアマッチングもバランス法も,対象の特性をまったくコントロールしないよりは好ましい.

 

 

マッチングによるコントロールの例

 

ブリス,マクローリン,ユング,ローリー,サヴィク,ジャンセン〔Bliss, McLaughlin, Jung, Lowry, Savik,& Jensen, 2000〕は,便失禁のある39人の食事摂取量を,39人の正常な腸機能の比較群と比較した.それぞれのグループを,年齢と性別に関して一致させた.

 

統計学的コントロール

 

外生変数をコントロールする6番目の方法は,統計学的分析をもちいるものである.

 

ここで言及するような高度な技法についてはもとより,基本的な統計学的手法についてもなじみのない読者のみなさんが多いだろう.

 

したがって,強力な統計学的コントロール(statistical control)の手段について,ここで詳しく説明しない.

 

しかし,統計学的コントロールが未知である読者のために共分散分析(analysis of covariance)という手法について原理を説明しよう.

 

先の運動訓練プログラムの例に戻って,プログラムに参加した群と参加しなかった比較群があるとしよう(たとえば,一方のみが運動訓練プログラムを受けた,2つの異なるナーシング・ホームの入居者).準実験研究で,心血管機能を休息時の心拍数をもちいて測定したとする.

 

心拍数の測定値には,当然,個人差,つまり人による値の違いがでるだろう.

 

研究設問は,「個人差は,運動訓練プログラムへの参加によるものだろうか」である.

 

ところが,心血管機能の個人差は,対象の年齢のように,無関係な特性にも関係する.年齢およびプログラムへの参加が重なる部分は,この2つの変数のあいだに関係があることを示す.

 

いいかえると,運動訓練プログラムを受けた群の対象は,比較群のメンバーより平均年齢が若いか年配かのどちらかである.

 

したがって,年齢をコントロールしたほうがよい.さもなければ,休息時の心拍数の差が,年齢によるものか,プログラム参加によるものかを決めることは不可能だろう.

 

共分散分析は,外生変数による従属変数への影響を統計学的に取り除くことによって遂行できる.

 

心拍数の変動のうち,年齢に起因する部分を,共分散分析によって収り除く.

 

年齢に起因する心拍数の変動をコントロールすることによって,訓練プログラムによる心拍数への影響を,より正確に推定できる.

 

ただし,年齢による変動を取り除いたとしても,まだ,プログラムの処理とは関係がない個人差が残っている点に注意しよう.

 

これは,もっと別の外生変数,たとえば性別,喫煙などをコントロールすることによって,おそらく研究を強化できることを示す.

 

共分散分析は,他の高度な手法と同じく,多数の外生変数をコントロールできる.

 

従属変数の小前テスト測定ができれば,変数をコントロールするための優れた方法である.

 

統計学的に従属変数をコントロールすれば,介入または独立変数の影響を推定する精度が飛躍的に高まる.

 

先の例では,プログラム前の心機能の測定値を共分散分析によってコントロールすれば訓練の多くの外的要因によって生じるほとんどの個人差の影響を排除できるので,きわめて強力である。

 

 

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