割り当て標本抽出法|【統計学・統計解析講義応用】
割り当て標本抽出法
割り当て標本抽出法では,高度の技術も多大な努力も必要ではない.
この方略を使う研究者がとても少ないのは意外である.
便宜的標本をもちいる多くの研究者は,おそらく割り当て標本抽出法による計画を立てることができるし,それは有益な結果をもたらすだろう.
層化の基礎になるのは,研究しようとする従属変数にみられる重要な差を反映するであろう1つまたは複数の変数である.年齢,性別,民族,学歴,医学診断のような変数が,適切な層化変数としてよくもちいられる.
層を特定することと,各層から望ましい割合で標本を抽出することを除けば,割り当て標本抽出法は,便宜的標本抽出法と手順的には近い.
どのセルを構成する対象も,本質的には,母集団のその層から抽出された便宜的標本である.
最初の標本の200名の学生は,1000名の母集団からの便宜的標本であった.
割り当て標本では,40名の男子は,母集団の200名の男子の便宜的標本である.
したがって,割り当て標本抽出法は,便宜的標本抽出法と同じ弱点の多くを共有することになる.
たとえば,ある研究者が,65歳から80歳の10名の男性に面接するために割り当て標本抽出法を計画するとき,そのような対象を得るには,ナーシング・ホームを訪問するのが一番手近な方法かもしれない.
しかし,この方法だと,地域で自立して生活している多くの高齢者を代表することはできないだろう.
こうした問題があるが,割り当て標本抽出法は,便宜的標本抽出法よりも優れており,確率標本抽出法をもちいることができない量的研究者は考えてみたほうがよいだろう.
割り当て標本の例
ウィリアムズ,ソーチングシー,ウィリアムズは,バリ人の子どもの発達についての母親の期待を研究した.
研究者は,割り当て標本抽出法をもちいて,都市と地方のバリ人の母親の数を同数とし,男児と女児の数を同数とした.
有意抽出法
有意抽出法または判定抽出法は,母集団についての研究者の知識が標本メンバーを抽出するのに有用だという考えに基づいている.
研究者は,母集団に特有であると判断できる対象や,研究しようとする論点についてとくに知っているような対象を意図的に選ぶこともできよう.
しかし,この主観的な方法での標本抽出には,選ばれた対象の代表性を評価するための外的,客観的な方法がない.
それにもかかわらず,この方法は,ある状況においては優れたものとなる.
新たに開発された測定用具は,さまざまなタイプの人々からなる有意標本を使えば,効果的に事前テストができ,評価もできる.
有意抽出法は,研究者が,キー・インフォーマント・アプローチをもちいてニーズ・アセスメントを行ったり,デルファイ調査を行う場合のように,エキスパートの標本を望むときにもちいることが多い.
また,有意抽出法は質的研究者がよくもちいる.
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