範囲:変動に関する最も粗い測度|排他的範囲(最大値−最小値)と包括的範囲【統計学・統計解析講義基礎】
範囲は、変動に関する最も粗い測度であり、データにおいて統計学における範囲を引くことによって計算される。排他的範囲と呼ばれ、これは最大値から最小値を引くことで計算され、包括的範囲と呼ばれ、最大値から最小値を引いてから1を足して計算される。範囲は、値がどのくらい異なりうるかについて大まかな見積もりを与えてくれる点で有用だが、個々の得点を考慮していないので、有用性は非常に限定的である
範囲:変動に関する最も粗い測度
範囲は、変動に関する最も粗い測度であり、データにおいて統計学における範囲を引くことによって計算されます。
それは、単に2点の距離の測度を与えてくれるだけであり、これら2つの間にある他のいかなる点についても考慮しません。
範囲は非常に大雑把であり、しばしば精密でない測度ととらえられます。
しかし、データの変動の程度について知るためには有用な統計量です。
排他的範囲(最大値−最小値)と包括的範囲
範囲には2種類あります。
第1のタイプは、排他的範囲と呼ばれ、これは最大値から最小値を引くことで計算されます。
たとえば、学力テストのデータで最低点が47点、最高点が88点であるならば、排他的範囲は、
88−47=41
となります。
第2のタイプは、包括的範囲と呼ばれ、最大値から最小値を引いてから1を足して計算されます。
研究報告では、排他的範囲のほうがより一般的に計算され提示されますが、包括的範囲も選択肢の1つになります。
一般的には、1つの報告の中で同じタイプが一貫して使用されている限り、どちらのタイプが報告されていても問題ありません。
範囲は、値がどのくらい異なりうるかについて大まかな見積もりを与えてくれる点で有用ですが、個々の得点を考慮していないので、有用性は非常に限定的であるといえます。
範囲は、簡単に計算、理解することができますが、この変動の測度が用いられた文脈によって、範囲の表すところは、異なる意味、重要性を持ちます。
Gifted Child Quarterlyに論文を掲載した3人の研究者たちは、才能ある子どもたちのマグネットスクールとみなされている1校を含む、5つの多様な小学校における1149人の児童の音読の流暢さと読解力の得点の範囲について調べました。
彼らの結果は、範囲のような測度がいかに役に立ちうるかを示すものでした。
その結果、すべての学校における読解力レベルの範囲は、3年生で9.2、4年生で11.3、5年生で11.6であるということが明らかになりました。
さらに研究者たちは、10パーセンタイルを下回る得点から90パーセンタイルを超える得点の児童がいるというように、すべての小学校において、音読の流暢性得点が幅広い範囲を示すことを見出しました。
この例は、範囲が情報の重要な一部分となっているものであり、これらの知見は、才能ある児童たちを含む多様な児童集団において、読みの能力の範囲が幅広いことを示しています。
この研究者たちは、児童が確実に達成できるように、教師は教材の内容と教え方を技能の幅広い変動に合わせて変える必要がある、と結論づけました。
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