歴史的データの評価【統計解析講義応用】

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歴史的データの評価|【統計学・統計解析講義応用】

歴史的データの評価【統計解析講義応用】


目次  歴史的データの評価【統計解析講義応用】

 

 

歴史的データの評価

 

歴史的証拠については,歴史家が外部批評と内部批評とよんでいる2種の評価を行う.

 

外部批評(external criticism)は,データの信憑性にかかわる.

 

たとえば,ある看護歴史家が,ドロセア・ディクス(Dorothea Dix)が書いたとされている日記を手にしたとしよう.

 

この場合,次のような問いかけを行うのが外部批評である.

 

これは,ディクス女史の筆跡であろうか? 

 

日記に使われている紙は,当時の年代に一致するだろうか? 

 

日記の文体とそこに表現されている思想は,彼女の他の著述と一致するだろうか?

 

資料の年代を判定するには,X線やその他の放射線をもちいるなど,さまざまな科学的技術を利用できる.

 

しかし,他の不備な点を見抜くのは容易ではない.

 

たとえば,関心をよせる資料が,ゴーストライターによって,つまり,関心をよせる人物以外の何者かによって書かれた可能性がある.

 

また,歴史資料の写本,翻訳,印刷物などには,機械的な誤りが混入している可能性もある.

 

歴史的データについての内部批評(internal criticism)とは,資料の価値に関する評価をいう.

 

内部批評の焦点は,資料の物質的側面ではなくその内容に向けられる.

 

重要なのは,データの正確性または真実性である.

 

たとえば,研究者は,歴史的事象についての著者の表現が偏っていないかどうかを疑ってみなければならない.

 

ある文書の著者が,ある事象またはできごとについて妥当な報告をする立場にあったかどうか,また,その著者が事実の記録者としての能力を備えていたかを問うことも適切だろう.

 

以下は,歴史的データの正確性に関係する証拠となることが多い.

 

@同一事象についてのほかの人々の説明と比較し,一致の程度を判断する,

 

Aその文書が書かれた時代についての知識を得る(ある事象や状況についての報告は,その事象の直後に杳かれたもののほうが,おおむね,より正確である),

 

B著者の視点または偏りを知る,

 

C著者の,信頼のおける,正確に事象を記録する能力を知る.

 

タッチマン(Tuchman, 1994〕は,有用な助言をしている.「1次資料にせよ2次資料にせよ,すべてのデータを疑え.データに関していかなるものも,“当然だ¨とか“本当だ”と決め込んではいけない.確かに,データは物理的に存在する.つまり,ページに触れることができ…どこにあるかがわかる,しかし,物理的な真実と解釈的な真実とは,根本的に違うものかもしれない…」.

 

歴史的データの分析と解釈

 

歴史的研究では,通常,データ分析とデータ収集を継続的に同時に進める.

 

歴史的データの分析は,研究者が主題(テーマ)を探すときに行う質的分析の方法に,ほぽ似ている.

 

しかし,歴史的研究では,主題分析(テーマ分析)は,基盤となる仮説や理論的枠組みによって導かれることが多い.

 

研究者は,選択した枠組みのなかで,データに現れる具体的な論点に取り組む.

 

通常,歴史的研究は解釈的である.歴史研究者は,何が,どのように,なぜ起きたかを記述しようとする.

 

できごとと観念との関係,人々と組織との関係を探索し,それらの歴史的文脈のなかで,また歴史的に重要なことについての新しい観点の文脈のなかで解釈する.

 

歴史的看護研究に関心のある人には,ルエンソン〔Lewcnson, 2003〕,フィッツパトリック〔Fitzpatrick,2001〕,ラスク〔Lusk, 1997〕をはじめ,多くの情報源がある.

 

 

歴史的研究の例

 

ダンフィー〔Dunphy, 2001 a,b〕は. 1929年から1955年のあいたの人工肺、いわゆるスチール・コクーンについて,ナースや患者の物語を検証した.

 

彼女は,写真,スケッチ, March of Dimesや米国赤十字社が出した手順のパンフレット,当事者の説明,「Virtual Museum of the Iron Lung (人工肺仮想博物館)」というウェブサイトなど,さまざまな資料をもちいた,

 

人や集団をよく知るほど,客観性を維持することがむずかしくなるかもしれないためである.

 

とくに,研究者が主要な(または唯一の)観察者であるような観察技法によって,データを収集する場合はむずかしいかもしれない.

 

おそらく,事例研究がもっとも強い批判を浴びるのは,一般化可能性であろう.

 

つまり,研究者が重要な関係を見つけたとしても,同じ関係がほかでも生じるかどうかを知ることがむずかしい.

 

しかし,事例研究は,他の種の研究をもとに一般化を試みるうえで,重要な役割を果たすことが多い.

 

事例研究は,ある特定のできごとや患者を単純に逸話的に記述することではない,と認識するのは重要である.

 

事例研究は,学問的な過程であり,通常,系統的なデータ収集を行うために長期間を要する.

 

事例研究の方法について,さらに読みたい読者のみなさんには, Yin〔1994〕とStake〔1995〕による2冊の優れた著書をおすすめしたい.

 

報告書のタイトルをもとに,その研究の質的研究の伝統が何かを安易に結論づけてはならない.

 

たとえばベトナム戦争従軍ナースが直面した困難と個人的な方略〔Scannell-Desch, 2000〕は,歴史的研究ではなく,現象学的研究である.

 

もう1つの例,「Hearing and caring for Haitian adolescents (ハイチの思春期青年のためのヒアリングとケアリング)」〔Colin, 2001〕は,現象学的研究であって,エスノグラフィーではない.

 

事例研究の例

 

ポーター,キャノン,アーマー〔Porter, Ganong, &Armer, 2000〕は,地方に住むアフリカ系アメリカ人の高齢女性の支援ネットワークと,ケア提供者への選好性に関する事例研究を行った,研究者は分析に基づいて,地方に住む高齢者の自宅でのサービスの適切性を評価する意義を検討した.

 

質的研究は,概して,専門領域の研究の伝統という観点から特徴づけし,説明できる.

 

しかし,ほかにも言及するに値する重要なタイプの質的研究がある.

 

 

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