歴史データ評価の鍵:外部批評と内部批評の役割【ChatGPT統計解析】
歴史的データ評価には外部批評と内部批評があり、外部批評はデータの信憑性を確認するもので、筆跡や紙の年代、文体の一致などに基づく。また科学技術を用いて資料の年代を判定する方法もあるが、ゴーストライターや誤植などの不備の可能性も考慮する。内部批評は資料の内容の価値を評価し、情報の正確性や偏りを確認するもので、他者の記述と照らし合わせたり、文書の年代知識や著者の視点を理解する。歴史的データの分析と解釈はテーマに基づいた質的分析で、何がどのように、なぜ起きたかを解釈する。ダンフィーの例では1929-1955年の人工肺に関する調査に多様な資料を使用し、客観性の難しさが強調される。事例研究では一般化が難しい点が批判されるが、重要な役割を果たす。事例研究は単なる逸話ではなく、系統的データ収集が重要である。
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歴史的データの評価
歴史的証拠については,歴史家が外部批評と内部批評とよんでいる2種の評価を行う.
外部批評(external criticism)は,データの信憑性にかかわる.
たとえば,ある看護歴史家が,ドロセア・ディクス(Dorothea Dix)が書いたとされている日記を手にしたとしよう.
この場合,次のような問いかけを行うのが外部批評である.
これは,ディクス女史の筆跡であろうか?
日記に使われている紙は,当時の年代に一致するだろうか?
日記の文体とそこに表現されている思想は,彼女の他の著述と一致するだろうか?
資料の年代を判定するには,X線やその他の放射線をもちいるなど,さまざまな科学的技術を利用できる.
しかし,他の不備な点を見抜くのは容易ではない.
たとえば,関心をよせる資料が,ゴーストライターによって,つまり,関心をよせる人物以外の何者かによって書かれた可能性がある.
また,歴史資料の写本,翻訳,印刷物などには,機械的な誤りが混入している可能性もある.
歴史的データについての内部批評(internal criticism)とは,資料の価値に関する評価をいう.
内部批評の焦点は,資料の物質的側面ではなくその内容に向けられる.
重要なのは,データの正確性または真実性である.
たとえば,研究者は,歴史的事象についての著者の表現が偏っていないかどうかを疑ってみなければならない.
ある文書の著者が,ある事象またはできごとについて妥当な報告をする立場にあったかどうか,また,その著者が事実の記録者としての能力を備えていたかを問うことも適切だろう.
以下は,歴史的データの正確性に関係する証拠となることが多い.
@同一事象についてのほかの人々の説明と比較し,一致の程度を判断する,
Aその文書が書かれた時代についての知識を得る(ある事象や状況についての報告は,その事象の直後に杳かれたもののほうが,おおむね,より正確である),
B著者の視点または偏りを知る,
C著者の,信頼のおける,正確に事象を記録する能力を知る.
タッチマン(Tuchman, 1994〕は,有用な助言をしている.「1次資料にせよ2次資料にせよ,すべてのデータを疑え.データに関していかなるものも,“当然だ¨とか“本当だ”と決め込んではいけない.確かに,データは物理的に存在する.つまり,ページに触れることができ…どこにあるかがわかる,しかし,物理的な真実と解釈的な真実とは,根本的に違うものかもしれない…」.
歴史的データの分析と解釈
歴史的研究では,通常,データ分析とデータ収集を継続的に同時に進める.
歴史的データの分析は,研究者が主題(テーマ)を探すときに行う質的分析の方法に,ほぽ似ている.
しかし,歴史的研究では,主題分析(テーマ分析)は,基盤となる仮説や理論的枠組みによって導かれることが多い.
研究者は,選択した枠組みのなかで,データに現れる具体的な論点に取り組む.
通常,歴史的研究は解釈的である.歴史研究者は,何が,どのように,なぜ起きたかを記述しようとする.
できごとと観念との関係,人々と組織との関係を探索し,それらの歴史的文脈のなかで,また歴史的に重要なことについての新しい観点の文脈のなかで解釈する.
歴史的看護研究に関心のある人には,ルエンソン〔Lewcnson, 2003〕,フィッツパトリック〔Fitzpatrick,2001〕,ラスク〔Lusk, 1997〕をはじめ,多くの情報源がある.
歴史的研究の例
ダンフィー〔Dunphy, 2001 a,b〕は. 1929年から1955年のあいたの人工肺、いわゆるスチール・コクーンについて,ナースや患者の物語を検証した.
彼女は,写真,スケッチ, March of Dimesや米国赤十字社が出した手順のパンフレット,当事者の説明,「Virtual Museum of the Iron Lung (人工肺仮想博物館)」というウェブサイトなど,さまざまな資料をもちいた,
人や集団をよく知るほど,客観性を維持することがむずかしくなるかもしれないためである.
とくに,研究者が主要な(または唯一の)観察者であるような観察技法によって,データを収集する場合はむずかしいかもしれない.
おそらく,事例研究がもっとも強い批判を浴びるのは,一般化可能性であろう.
つまり,研究者が重要な関係を見つけたとしても,同じ関係がほかでも生じるかどうかを知ることがむずかしい.
しかし,事例研究は,他の種の研究をもとに一般化を試みるうえで,重要な役割を果たすことが多い.
事例研究は,ある特定のできごとや患者を単純に逸話的に記述することではない,と認識するのは重要である.
事例研究は,学問的な過程であり,通常,系統的なデータ収集を行うために長期間を要する.
事例研究の方法について,さらに読みたい読者のみなさんには, Yin〔1994〕とStake〔1995〕による2冊の優れた著書をおすすめしたい.
報告書のタイトルをもとに,その研究の質的研究の伝統が何かを安易に結論づけてはならない.
たとえばベトナム戦争従軍ナースが直面した困難と個人的な方略〔Scannell-Desch, 2000〕は,歴史的研究ではなく,現象学的研究である.
もう1つの例,「Hearing and caring for Haitian adolescents (ハイチの思春期青年のためのヒアリングとケアリング)」〔Colin, 2001〕は,現象学的研究であって,エスノグラフィーではない.
事例研究の例
ポーター,キャノン,アーマー〔Porter, Ganong, &Armer, 2000〕は,地方に住むアフリカ系アメリカ人の高齢女性の支援ネットワークと,ケア提供者への選好性に関する事例研究を行った,研究者は分析に基づいて,地方に住む高齢者の自宅でのサービスの適切性を評価する意義を検討した.
質的研究は,概して,専門領域の研究の伝統という観点から特徴づけし,説明できる.
しかし,ほかにも言及するに値する重要なタイプの質的研究がある.
歴史的データの評価には、外部批評と内部批評の二つの評価方法があり、歴史研究者にとって欠かせない基本的なプロセスです。まず、外部批評(external criticism)は、データの信憑性を確認するためのもので、資料自体の物質的な側面に焦点を当て、その資料が本物であるかどうか、またその資料の成立時期や発信者に関する詳細な確認が行われます。具体的には、例えば歴史家がドロセア・ディクス(Dorothea Dix)の書いたとされる日記を手にした場合、その日記が本当に彼女のものであるかを確認するために様々な検証を行います。ディクスの筆跡と一致するかどうか、使用されている紙がその時代のものであるか、日記の文体や表現されている思想が彼女の他の著述と一致するかなどが典型的な外部批評のポイントです。このような検証においては、科学技術も用いられ、資料の年代を特定するためにX線やその他の放射線を使うなどの方法もあります。しかし、外部批評を通じても、特定の不備や問題を見抜くことは容易ではありません。例えば、資料がゴーストライターによって書かれた可能性があるかもしれません。これは、ある人物に関連する資料が実際には別の人物によって作成された可能性を意味します。また、歴史資料の写本、翻訳、印刷物などには、機械的な誤りが含まれる可能性もあり、外部批評を通じてこうした不備を排除することは大切です。これに対し、内部批評(internal criticism)は、資料の内容そのものに着目して資料の価値を評価するプロセスです。内部批評は、資料の物質的な側面よりも、その内容が伝える事実の正確性や真実性に焦点を当て、具体的にその記述が信頼できるものかどうかを判断します。研究者は、歴史的事象について記録された情報が、著者の偏りや視点の影響を受けていないか、客観的で妥当な記録であるかどうかを吟味しなければなりません。著者が事実を記録する立場にあったか、またはその能力を持っていたかどうかも、信頼性を評価する上で重要な観点です。具体的な内部批評の方法として、同じ事象について他の人々の記述と比較し、一致する程度を判断することがあります。これにより、記述が他の資料と整合性があるかどうかを確認し、資料の正確性を担保します。また、資料が書かれた時代についての知識も評価に役立ちます。一般に、ある事象や状況についての報告は、その事象が発生して間もない時期に記録されたものの方が、事実の伝達がより正確であることが期待されます。さらに、著者の視点や偏りを理解することも重要です。これは、著者が特定の思想や信条を持っている場合、それが資料の記述にどのような影響を及ぼしているかを判断するためです。また、著者が信頼に足るかどうか、そして事実を正確に記録する能力があるかどうかを確認することも、内部批評の重要なプロセスです。Tuchman(1994)は、資料に対して常に疑いを持つことの重要性を強調しています。「1次資料にせよ2次資料にせよ、すべてのデータを疑え。データに関していかなるものも“当然だ”とか“本当だ”と決め込んではいけない」と述べ、物理的な真実と解釈的な真実の違いについても警鐘を鳴らしています。物理的な真実は、例えば資料の存在そのものですが、それが歴史的な文脈や解釈においてどのように真実とされるかは別の問題であるということです。歴史的データの分析と解釈の段階では、データ収集と分析が同時に進行することが多く、このプロセスは質的研究の一環として行われます。歴史研究では、テーマに基づいた質的なデータ分析を行い、研究の基盤となる仮説や理論的枠組みによって導かれる場合が一般的です。研究者は選択した枠組みの中でデータに含まれる具体的な論点に取り組み、出来事の経緯や人々の考えを理解しようと努めます。通常、歴史研究は解釈的であり、出来事がどのように、なぜ起こったかを記述し、出来事と観念、そして人々と組織の関係を探求します。そして、それらの歴史的文脈の中で解釈を行い、重要な観点や新しい視点を提案することが目指されます。歴史的看護研究においては、ルエンソン(Lewenson, 2003)、フィッツパトリック(Fitzpatrick, 2001)、ラスク(Lusk, 1997)などの情報源があり、歴史的研究を進める上で参考になるとされています。また、具体例としてダンフィー(Dunphy, 2001a,b)は、1929年から1955年にかけての人工肺、通称スチール・コクーンに関するナースや患者の物語を検証しました。彼女は写真やスケッチ、March of Dimesや米国赤十字社が発行した手順のパンフレット、当事者の説明、「Virtual Museum of the Iron Lung(人工肺仮想博物館)」というウェブサイトなど、多様な資料を用い、対象者の経験を多角的に記録しました。こうした歴史的研究においては、研究者が研究対象となる人物や集団を深く理解するほど、客観性を維持するのが難しくなるという課題も指摘されます。とりわけ、研究者が主要な観察者である場合、あるいは唯一の観察者であるような観察技法を用いる場合、この課題は顕著になります。また、事例研究はしばしば批判を受けやすい研究手法でもあります。その理由の一つは一般化可能性の問題で、特定の事象に関する知見が他の状況にも適用できるかどうかを判断するのが難しいためです。しかし、事例研究は他の研究手法を用いて一般化を試みる際に貴重な役割を果たすことも多く、研究においては重要な位置づけとなっています。事例研究は、単なる逸話の記述ではなく、科学的な観点からの系統的なデータ収集と分析が求められる学問的なプロセスです。そのため、長期間にわたるデータ収集が必要とされることも多く、研究者には徹底した調査力と分析力が求められます。事例研究の手法についてさらに学びたい読者には、Yin(1994)とStake(1995)による2冊の優れた著書が推奨されています。また、質的研究は、専門分野の研究の伝統的な観点から分類されることが多いですが、他にも重要な質的研究のタイプが存在します。例えば、ベトナム戦争従軍ナースの困難と個人的な方略に関する研究(Scannell-Desch, 2000)は歴史的研究ではなく現象学的研究であり、また「ハイチの思春期青年のためのヒアリングとケアリング」(Colin, 2001)は現象学的研究であってエスノグラフィーではないことが指摘されています。
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