ナラティブ分析|ストーリーベースの事例研究【統計学・統計解析講義応用】

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ナラティブ分析|ストーリーベースの事例研究【統計学・統計解析講義応用】

ナラティブ分析|ストーリーベースの事例研究【統計学・統計解析講義応用】
ナラティブ分析は、研究におけるストーリーに焦点をあてた事例研究(固有事例研究と道具的事例研究)


 

ナラティブ分析:ストーリーに焦点

 

ナラティブ分析(narrative analysis)は,個人がその生活におけるできごとをどのように理解するかを明らかにする目的で,研究におけるストーリーに焦点をあてる〔Riessman, 1993〕.

 

ナラティブ分析は,ナラティブ(narrative ; 語り,物語)のおおまかな輪郭に焦点をあてるという点で,動物行動学(エソロジー)のような他の質的研究デザインとは異なる.

 

ストーリーは,ばらばらにしたり細かく分析できない.

 

社会科学(文学的分析に対立するものとして)におけるナラティブ研究のおおまかな前提は,人々はストーリーを構成し,事例研究(case study ; ケース・スタディ)は,個人,家族,集団,施設,コミュニティ,その他の社会的単位といった,単一の存在や少数の存在についての徹底的な調査研究である.

 

ナラティブ分析|ストーリーベースの事例研究【統計学・統計解析講義応用】

 

ナラティブ分析:事例研究

 

事例研究では,研究者は豊かな記述的情報を入手し,さまざまな現象間の関係を検証したり,経時的な傾向を検証する.

 

事例研究を行う研究者は,研究しようとする存在についての歴史,発達,状況にとって重要な問題を分析し,理解しようとする.

 

事例研究を考える1つの方法は,何が中心かを熟考することである.

 

質的研究か量的研究かにかかわらず,多くの研究では,ある種の現象または変数(または一連の変数)が探究の核心となる.

 

一方,事例研究では,事例自体が中心となる.

 

集中的な分析にふさわしく,事例研究の焦点は,通常,個人の状態,進行,行為がどのようなもので構成し,語ることで,自分の世界をもっとも効果的に理解し,その意味を伝える,という考えである.

 

個人は,欲望や動機といった内的世界を,観察できる行為として外的世界にあらわすことを必要とするような,特定のできごとや状況を理解したいとき,ストーリーを構成する.

 

ミュラー〔Mulier, 1999〕は,ナラテイブ・アプローチの主な5側面を以下のようにあげている.

 

あるかということよりも,個人がある特定の仕方で考えたり,行動したり,発達するのはなぜかといった,ダイナミクスを明らかにすることにおかれる.

 

この種の徹底的な研究では,かなり長期間にわたる詳細な作業が必要になることもまれではない.

 

データは,個人の現在の状態に関するものだけでなく,検証すべき問題に関連する過去の経験や状況的因子も収集することが多い.

 

徹底的な事例研究のデータは,ふつう質的なものだが,量的な場合もある.

 

固有事例研究と道具的事例研究を区別することがある.

 

ナラティブ分析:固有事例研究と道具的事例研究

 

固有事例研究(intrinsic case study)」では,研究者は,事例を選ぶ必要はない.

 

たとえば,プロセス評価は,特定のプログラムの実施についての事例研究であることが多い.

 

この場合,「事例」はすでに定められている.

 

道具的事例研究(instrumental case study)」では,研究者は研究設問に取り組みはじめるか,または当惑しており,光を投げかけてくれるような事例を探す.

 

こうした事例研究のねらいは,何か別のもの,関心あるなんらかの現象を理解するために事例をもちいることである.

 

このような場合,典型的だからという理由ではなく,現象について最大限に知ることができるという理由で,事例を選ぶ.

 

事例研究の主要な関心は,特定の事例を理解することであるが,事例研究は,厳密な研究がなされていない現象を探索するのに有用なこともある.

 

事例研究で得た情報は,その後の研究でさらに厳密に検証すべき仮説を立てるために使うことができる.

 

事例研究の特徴である集中的な探索によって,それまでは予期しなかった関係について気づくことがある.

 

さらに,徹底的な事例研究は,概念を明確化したり,概念を把握する方法を明らかにするうえで,重要な役割を果たす.

 

事例研究の最大の長所はその深さであり,研究しようとする個人,施設,集団の数が限られている場合に可能である.

 

事例研究は,個人の状況,思考,感情,行為(過去と現在),意図,環境などについて,詳細な知識を得る機会を研究者に提供する.

 

 

一方,この長所は短所にもなりうる.

 

個々の研究者は,重要なできごとをストーリーとしてまとめあげ,それらのストーリーを人に話すことで,自分の生活にこれらの経験を意味づける.

 

ナラティブの構造的特性は,時間と筋立てである.

 

ナラティブには文化的文脈があり,それ自体で生じるのではない.ナラティブは関係である.

 

ストーリーは,ほかの人々に話される.

 

ナラティブには,人間の行動を形成する力がある.

 

ナラティブは,人々がしなければならない行動の仕方について,道徳的ストーリーをつくる場合にももちいることができる.

 

ナラティブ分析には標準的方法はない

 

ナラティブ分析:3つのモデルの類型

 

ミシュラー〔Mishler, 1995〕は,ナラティブ分析のモデルの類型を提案した.

 

この3つのカテゴリーの類型は,ナラティブ分析の主要な関心である問題のタイプに重点をおく.

 

第1カテゴリーのモデルは,会話のなかで話されるできごとの時間的順序に焦点をおく.

 

第2のモデルは,どのようにナラティブが構成されているかという構造や一貫性に関するまとまりである.

 

第3のモデルは,ナラティブの文化的,社会的,心理的文脈と機能に焦点をおく類型のまとまりである.

 

ナラティブ分析の例として、アシダ〔Ashida, 2000〕は,ナラティブ分析をもちいて,出産後に喫煙を再開した経験について調査した.

 

カナダ在住の27人の女性が,喫煙の再開についてのストーリーを語った.

 

面接の逐語記録の分析では,ナラティブを精読し,それぞれのナラティブを圄単に要約し,中心となるストーリーの筋を特定した.

 

 

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