臨床試験データをコンピュータに入力する方法|【医療統計学・統計解析】
臨床試験データをコンピュータに入力する方法
臨床試験データをコンピュータに入力する方法としては,以下に示したようないくつかの方法があります。
シングルエントリー
ただ一回だけ入力を行う方法であり,最も手軽で時間がかかりません。
また,臨床試験データ管理システムとしても複雑な仕掛けを必要としません。
しかしながら,入力時にその項目には20以上65未満の数字だけが入力できるというような範囲の確認ができる機能を設定していたとしても,35というデータを36と間違って入力してしまったというような場合の人カミスの発見は入力処理だけでは困難です。
ダブルエントリー
ニ回のデータ入力を行う方法であり,一回目と二回目のそれぞれの入力内容を比較することにより35というデータを36と間違って入力してしまったというような入力ミスの
発見も可能になります。
基本的には,二回のデータ入力は別のデータパンチャーが行うことが望ましく,シングルエントリーに比べて時間も人もかかってしまいます。
しかし,入力そのものの信頼性は高くなります。
ダブルエントリーには,次の二つの人カミスを発見する方法があります。
このどちらの方法がよいかということは,臨床試験データ管理システムの設計方針によって決まります。
そして,いくつのデータファイルが存在するかによりデータ修正における処理方法には工夫が必要となります。
@一回目と二回目のそれぞれの入力に対して一つずつのデータファイルを作成した後,データファイルを比較することにより整合性を確認する
→データファイルは二つ作成される
A一回目の入力に対してデータファイルが作成され,二回目の入力においては一回目のデータファイルを入力時に自動的に参照させることにより,異なった入力が行われた場合にはエラーを表示してデータ確認を逐次求める
→データファイルは一つだけ作成される
データ入力のスペシャリストとしての職業にキーパンチャーがあります。
キーパンチャーがダブルエントリーを行った場合のエラー率は0.03%程度であると言われています。
キーボードを見ないで入力するブラインドタッチができるは当然のことで,1時間に15,000〜20,000タッチもの入力を行うことができるそうです。
トリプルエントリー
三回のデータ入力を行う方法です。
原則としてダブルエントリーで作業を行いますが,最終的に症例報告書の全てのデータ確認が終了し症例固定が行われた後に,最終の症例報告書を基にして三回目のデータ入力を行い,症例報告書に対する修正・追記などが間違いなく実施されたことを確認しようという方法です。
当然,最も時間がかかり人手を要しますが,この三回目のデータ入力によって症例報告書とコンピュータ上の臨床試験データとの整合性を保証することにより,途中での読み合わせなどによる整合性確認作業を一回も行わないという方法もあり得ます。
そして,その場合には総合的には時間と人的な節約が可能になるという考え方です。
また,品質管理という観点からは入力中のデータパンチャーが何か気づいた場合や,はっきり識別できなかった文字をとりあえず入力した場合などに,簡単にデータベース上にメモを残してその問題がトレースできるような仕掛けが準備されているとよいです。
少なくとも,ノートなどに記録として残しておき,後で問題に対する処理が行えるようにしておくことは必須です。
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