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裁判の判断に利用される統計学【統計解析講義基礎】 | 統計解析 - Python・R・エクセルを使った講義で最速マスター

裁判の判断に利用される統計学【統計解析講義基礎】

裁判の判断に利用される統計学【統計解析講義基礎】


裁判の判断に利用される統計学【統計解析講義基礎】

 

公開裁判では、原告の現在の健康被害についての被告の要因の相対危険(またはそれを近似するオッズ比)あるいは病因率が求められ、その評価が争われます。
その争点は複数あります。

 

対照群をどうやって見つけるか

 

たとえば「曝露群と非曝露群」あるいは「患者群と対照群」という対立グループについて、両群で、その他の条件はまったく同じということを前提にしていました。

 

しかし、実験室内の研究ではないのですから、「その他の条件はまったく同じ」にすることは不可能です。

 

そのため、疫学調査の結論がどのくらい信頼できるかについて、評価が分かれます。

 

集団の因果関係と個人の因果関係

 

疫学によって示されるのは、集団としての、曝露と病気との因果関係の強さです。

 

集団のなかの各個人については、各個人の体質などによって、曝露と病気との因果関係はそれぞれ異なるはずです。

 

公害裁判で原告の訴えが認められた場合でも、補償を受けるのは各個人ですから、集団としての因果関係をそのままあてはめてよいのか、という問題があります。

 

実際、「尼崎大気汚染公害訴訟第一審判決」では、アトピー素因をもっている原告について、大気汚染と個人の素質と両方の因果関係があるとして、気管支喘息発症についての賠償額を減額しています。

 

確率的認定説

 

調査の結果オッズ比が非常に高い場合には、曝露と病気との因果関係に「高度の蓋然性(心証度80%以上)」があるとして、法律的には「因果関係がある」ということができます。

 

しかし、それ以外の場合に「因果関係がない」とされてしまうのでは、被害者の救済はむずかしい場合が生じます。

 

そこで、オッズ比あるいは病因率がそれほど高くなくても、その値に応じて「因果関係がある確率」を評価するという考え方(確率論的認定説)があります。

 

この考えにしたがうと、十分に立証されていない因果関係についても、立証の確かさの度合いに応じて減額した賠償支払いを被告に命じることになります。

 

ただし、この考え方では「立証の確かさの度合い」を、本来まったく違うものである「因果関係の強さ」や「被告企業の責任の度合い」に置き換えてしまっており、ほんとうは因果関係がないのに賠償などを命じてしまう危険が生じます。

 

簡単にいえば、「被告人は懲役10年に値するところだが、立証の確かさが30%なので、懲役3年にする」と言っているのと同じなのです。

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