外的妥当性を脅かすもの【統計解析講義応用】

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外的妥当性を脅かすもの|【統計学・統計解析講義応用】

外的妥当性を脅かすもの【統計解析講義応用】


目次  外的妥当性を脅かすもの【統計解析講義応用】

 

 

外的妥当性を脅かすもの

 

研究結果の一般化を制限するものは,標本の特性だけではない.研究状況のさまざまな側面も,研究の代表性,ひいては外的妥当性を左右する.

 

これらの特性は,研究をデザインするとき,そして結果を解釈するときに考慮に入れたほうがよい.

 

もっとも注目すべき研究の外的妥当性への脅威,とくに介入を含むものは,次の5つの影響である.

 

1.期待効果:対象は,研究に参加していることを承知しているために,いつもと違うやり方で行動するかもしれない(ホーソン効果).

 

ある種の行動が,とくに研究の文脈ゆえに引き出されたならば,その結果は,さらに自然な環境には一般化できない.

 

同様に,見せかけの介入を施されている対象が変化や改善を示すとき,プラシーボ効果が生じる.

 

しかし,同じプラシーボが,研究の文脈で施されていないときは,いかなる効果もないかもしれない〔また,いわゆるノセボ効果(nocebo effect)の例もある.これは,プラシーボを受ける人々が副作用を体験するというものである〕.

 

潜在的ホーソン効果の例

 

ハンドレイ,ミルヌ,レイトンーペック,グラハム,フィトモーリス〔Hundley, Milne, Leighton-Beck, Graham, & Fitmaurice, 2000〕は,助産師とナースの研究意識の向上を目的とする介入をデザインした.

 

処理群は教育プログラムを受け,一方,コントロール群は受けなかった.

 

両群ともに事前テストより事後テストに知識が増えていた.

 

研究者は,それをホーソン効果として解釈した(それはまた,テスティングの影響の結果であった可能性もある).

 

2.新奇性効果:処理が新しいと,対象も研究を行う側も,さまざまなかたちでその行動を変えることがある.

 

人々は,新しいやり方に夢中になるか,または懐疑的になる.

 

このため,研究結果には,介入に本来備わっている性質への反応というより,この新奇性への反応が反映するかもしれない.

 

したがって,いったんその処理に慣れてしまうと,結果が変わるかもしれない.

 

 

3..ヒストリーと処理の交互作用効果:研究結果には,処理の効果と,研究に無関係ななんらかの事象が反映することがある.

 

研究に無関係な事象がないときにもう1度処理を行うと,違う結果を得るだろう.

 

たとえば,オーツ麦の独立変数には無関係な事象の発生),選択(グループ間に既存している差),成熟(時間の経過がもたらす変化),テスティング(アウトカムヘの事前テストの影響),測定用具(時間とともに,データ収集方法が変化すること),そして死亡(対象の自然減による影響)がある.

 

・外的妥当性は,他の標本や環境に対する,研究結果の一般化可能性をいう.外的妥当性は,標本がその母集団を代表するまで,また,研究設定環境や実験の計画が他の周囲環境を代表するまで高められる.

 

・対象母集団は,標本を抽出する母集団であり,標的母集団(目標母集団)は,関心をもっている,より大きな集団を示す.

 

研究者は,対象母集団にみられる特性をもとにして,標的母集団を設定しなければならない.

 

・外的妥当性への脅威には,期待効果(ホーソン効果,プラシーボ効果,ノセボ効果),新奇性効果,処理とヒストリーの交互作用効果,実験者効果,測定効果がある.

 

・研究デザインは,さまざまなタイプの妥当性の必要性を調整しなくてはならないが,その妥当性は互いに競合することもある.

 

この研究での従属変数は,歩行距離(活動許容度を測るために),パルス酸素濃度計飽和率(酸素飽和率を測るために),心拍数および呼吸回数(運動への反応を測定するために),それに呼吸困難度の自己評価であった.

 

研究仮説の検証に加えて,研究者は,妥当性への脅威となる可能性を排除する分析をいくつか行った.

 

たとえば,歩行距離と呼吸困難度に順序がもたらす影響を検証することによって,ヒストリーの脅威を調べた(つまり,酸素をあとで吸入するより,先に吸入したことでアウトカムが変わるかどうか).その結果,順序による影響は認められなかった.

 

また,学習効果を排除するための綿密な検証も行った.要約すると,従属変数がもっとも大きく変化したのは,実験テスト時においてではなく,3回の練習歩行時においてであった.

 

この研究では,自然減はなかった.両テストともに,同じ日になされ,すべての患者が入院中であった.

 

主要な研究設問に関しては,統計学的検定の結果,2つの条件の対象が,有意に異なる酸素飽和率を示したことがわかった.

 

しかし,他の従属変数についてはそうではなかった.圧縮空気と比較すると,酸素の場合の酸素飽和率が有意に高かった.

 

外生変数をコントロールするため,無作為化とクロスオーバー・デザインに加えて,研究者は,分析の精度を高め,潜在的な交互作用効果を検証するために,ブロック化ももちいた.

 

とくに,男性と女性のデータを別々に分析した.その結果,男性の場合,2つの条件のあいだで呼吸困難についての差は認められず,女性の場合,呼吸困難の得点は,酸素使用時のほうが圧縮空気使用時より有意に低かった.

 

費用とコレステロール値の低下が関連すると説明している研究を広域メディアが報道した直後に,高コレステロール値の人々への食事療法の介入の効果について評価したとする.

 

その介入を,数か月後に新しいグループの人々に行った場合,先の評価で観察された影響が再び得られたかどうかは,わからないだろう.

 

4.実験者効果:対象の行動が,研究者の特性によって影響を受けることがある.

 

研究調査者は,自分の仮説が正しいことを証明することに,情緒的にも知的にも全力を投入するため,その期待が無意識のうちに対象に伝わることがある.

 

その場合,その研究の結果が,より中立的な状況で繰り返されることはむずかしいだろう.

 

5.測定効果:大部分の研究においては,研究者は,事前テストの情報や背景のデータなど,かなりの量のデータを収集する.

 

その研究結果は,同じ方法でデータ収集を行わなかった(そして同じ方法で注意をはらわなかった)他のグループの人々には適用できないだろう.

 

 

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