インタビュー|【統計学・統計解析講義応用】
インタビュー
一度インタビューを受けると決めたなら,念頭にいれておくべき事柄がある.
リポーターは一見親切に見えても.決して友人ではなく.常にあなたの意見や科学的な事実について賛同してくれるわけではない.
彼らは仕事として,ニュースになりそうな新しい話題を探しているわけである.
一方で,科学と健康に関する膨大な情報を,より正確に伝えようとしていることも事実である.
リポーターと助け合って,読者やリスナー,視聴者にとって重要な情報を伝える必要がある.
自信をもって明確かつ簡潔な回答で対応することで,リポーターと良い関係を築くことができる.
これまでにインタビューを受ける経験が不十分な場合には,広報室やメディアトレーニングの専門家のトレーニングを受けることで,上達することができる.
半日くらいの講義で,模擬ビデオカメラを用いたインタビューの録画.ロールプレイ等が用意されている.
インタビューを受ける経験が過去にある場合にも,こういったトレーニングを受けることでさらに上達することができる.
インタビューを受ける前に,心に留めておくべきティップスについて解説する.
1.あなたのトレーニングとオリエンテーションは,多くの修飾語句や補足説明によって,問題に対する詳細な,広範囲の回答を準備させることに通じることになるかもしれない.
しかし,リポーターに対する回答は簡潔で,求められた質問に向けられるべきで,「埋め草(filler)」的内容がないようにしなければならない.
心の中で,そして紙の上で,あなたのコアメッセージ(主張)を準備する必要がある.
また,インデックスカードに伝えたいメッセージを単語レベルで書いておくのも効果的である.
これらの単語は,回答時にあなたが立ち戻る場所であり,あなたのメッセージの「橋渡し的」役割となる.
また,すべての回答は,あなたのコアメッセージをサポートするものでなければならない.
余計な修飾語句または補足説明は加えない.
余計な修飾語句や補足説明は,あなたのメッセージ全体を伝えにくくする.
リポーターに話す時はテープを引き出すタイプのメジャーを想像してみよう.
話すたびに,単語が1インチ毎に出て来るというイメージである.
あなたはリポーターがすべての単語を使ってくれることを望んでいるかもしれないが,リポーターが往々にして使うのは.1〜8インチ目と,16〜23インチ目,さらには全く違う所を使う可能性もある.
ニュース記事についての科学者からの最も一般的な不満の1つは,彼らがリポーターに語ったものを含めなかったということである.
多くを話すのではなく,コアメッセージに集中する.
インタビューはフリーフローのディスカッションであってはならない,
あなたの発言内容はすべて,リポーター攻撃対象にもなりうるのである.
2.あなたのコアメッセージは,事実だけでなく,あなたの考え方(perspective)も. NIHの考え方,そして人間的側面(human dimension)も要約しなければならない.
あなたはメッセージについて考え.原稿を書き,他の人に見直すよう頼み,それを編集することに時間をかけることが重要である.
それは簡潔で,直接的で,非常に魅力的で,興味深くなければならない.
必ず平易な言葉で話し,誰もが何を意味するかを知っていると思われる場合でも.技術的な専門用語を避けるべきで,頭字語(略号)は使用すべきでない.
3.リポーターと話す際には,以下の特定の用語に気を付けるとよい.
報道界の用語は,あなたが察する意味とは違う場合がある.
リポーターがこれらの利用する場合に備えて,下記の定義を覚えておくとよい.
・On the Record (公開前提).これはリポーターがあなたの名前と肩書き使用して,直接あなたを引合いに出すことができることを意味する.
・ Not for Attribution and on Background (個人名の非表示).これは,直接的な引用を含めて,あなたが提供した情報が,リポーターによってあなたの名前の表示なしに使用できることを意味する.あなたは,「NIH関係者」や「情報源」として表示されることになる.科学・医学の情報源が匿名の条件下で話すことは稀である.つねに,上記「On the Record」条件下で話すことを推奨する.
・ Off the Record (オフレコ).これは,あなたからの情報を.リポーターが「あなたからの情報」として使えないことを意味する.しかし.他の方法として,別の情報源からの情報として,あなたの意見に対するコメントを載せることは可能である.
インタビューが始まる前に,リポーターと,あなたのコメントがどのように使われる可能性があるかについて,基本的なルールを確認する.もし発言してしまったら後戻りはできない.
以下のリストは「インフォーマル(非公式)な」ルールであるが,留意すべき点は,常に「On the Record」条件を意識することである.
1.インタビューを比較的短くする.
初めにあなたの話は10〜15分であることを明確にする.
理想的には,あなたの広報担当者がリポーターに電話して,彼らがするつもりである質問の種類をあなたに伝えられているのがよい.
これは,あなたのインタビューの準備に役に立つ.
もし時間が長くなれば,あなたの疲労も増し,リポーターは様々なトピックを持ちだし,予期せぬ結果が発生する可能性が増加する.
2.誠意を持って接する.
ただし.過剰にカジュアル/尊大/ユーモラスになることは避ける.
ユーモアはメディア・インタビューにおいて重要であるが,それは,簡単に前後関係の取り出しや,読者によって誤解される可能性がある.
ユーモアは最低限に留めるのがベストである.
3.インタビューは電話で受けるか,または,対面で受けるかを事前に決める.
電話であるならば,あなたは時間をよりコントロールすることができる.
しかし,もし長期にわたる関係をリポーターと築きたいのであれは.オフィスに呼んでインタビューするのが良いだろう.
4.もしTV電話でインタビューを受ける場合,遠くの人と話しているという感じではなく,あたかも対面でインタビューしているかのように自然体で実施するようにする.カメラに集中し続けるのは難しいし,目が泳いでしまう.
5.インタビューを受ける際には,部屋に誰か,望ましくはコミュニケーションのエキスパートがいることが望ましい.
電話で受ける場合は,最初にリポーターに部屋に他の人がいること,または,テープで録音していることを告げる.
6.結果に集中する.リポーターからの質問の中には,あなたをイライラさせたり.驚かせるものがあるかもしれない.
しかしそれは,あなたの感情を高ぶらせ.興味深い発言を引き出すためのテクニックである.
平常心を心がけ,あなたが最終的に記事で読みたい内容や聞きたい内容について考える.
リポーターが否定的な質問をした場合は,回答するために彼らの言葉を使わない.例えば,リポーターの質問が「あなたは例のスキャンダルに関わっていたのですか?」という場合.あなたが「例のスキャンダルとは一切関わりがありません」と回答してしまうと,リポーターは,あなたがスキャンダルに対してコメントした,という部分だけ引用する可能性がある.
ひっかかってはならない.この場合は,ただ「いいえ」とだけ答え,本筋に戻る.
7.練習.他のものごとと同様に,練習はあなたの成功確率を上げる.
特にそれが複雑であるか論争の的となっている問題についてである場合.インタビューの前にあなたの広報担当者または同僚とリハーサルをすることを推奨する.
誤って引用された場合,いかにすべきか
誤引用は起こりうるものである.これまでに述べた留意点をすべて順守したとしても,あなたの意図と別の観点から報道されてしまうことが起こりうる.もし,健康に関連するメッセージが誤っていて市民に影響を及ぼすことになる場合.誤って報道された情報を訂正させることは重要である,
すぐにリポーターに連絡をとり,正しい情報への訂正を要求する.
健康に関するメッセージは正確である場合,引用に誤りがあると感じた場合には,あなたはリポーターや編集者を呼び出す,または編集者に書状を書くことができる.
広報室に相談し,ケースバイケースでの対応を決める手助けを得ることもできる.
直観的には相いれない報道も時には起こってしまうが,最善の対応策はそのままにしておくことである.
もし訂正をするよう追求してしまうと.何もしなかった場合に比べて不用意に報道内容を長くしてしまう恐れがある.
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