さまざまな量的研究の例【統計解析講義応用】

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さまざまな量的研究の例|【統計学・統計解析講義応用】

さまざまな量的研究の例【統計解析講義応用】


目次  さまざまな量的研究の例【統計解析講義応用】

 

 

さまざまな量的研究の例

 

臨床試験の研究例

 

シンプソン,パーソンズ,グリーンウッド,ウェイト〔Simpson, Parsons, Greenwood. & Wade, 2001〕は,多くの妊婦が「ラズベリーの葉のハープが分娩所要時間を減らし安産にする」と信じて,ラズベリーの葉のハープを摂取していることに注目した.

 

ハープの使用をすすめる助産師や医師がいるが,その効果や安全性についてのエビデンスはほとんどない.

 

研究者は,無作為化臨床試験に着手して,ラズベリーの葉の錠剤を定期的に摂取することが,母親や赤ちゃんに有害か,また分娩所要時間を短くする効果があるかという課題に取り組んだ.

 

研究者は,分析において適切な統計学的検出力を確保するのに必要であろう対象人数を,慎重に推定した.

 

その算定の結果,全部で240人の低リスク初産女性を,オーストラリアのシドニーの病院から募集した.

 

参加に同意した女性を,無作為に処理群またはコントロール群に割り付けた.

 

コントロール群にはプラシーボを与えた.

 

この種の研究としては初めての試みだったので,ラズベリーの投与量(1日に2.4 g)には慎重を期し,試験した.

 

ラズベリーの葉は,プラシーボの錠剤(リン酸カルシウムその他)に混ぜ込まれた.

 

両群の女性に錠剤を与え,妊娠32週に,毎日2回(朝食時と夕食時)に飲むよう指示した.

 

錠剤は二重盲検法で配り,対象も投与者も,どの女性が実験群かはわからなかった.

 

約48人の対象が,さまざまな理由から研究参加をとりやめ,各群96人ずつ,計192人の対象が残った.

 

2つの処理群を人口学的特性に関して比較し,年齢,体重,民族性が類似であることがわかった.

 

また,調査者が,錠剤摂取が守られたかを調べたところ,平均遵守割合は89% (つまり,処方された錠剤の89%が摂取された)であった.

 

研究者は,ラズベリーの葉の錠剤を摂取することが安全かどうかを検証することから分析を始めた.

 

2群を,母親の出血量,母親の分娩前と分娩後の拡張期血圧,児の在胎週数,児の出生時体重,児の5分後アプガースコアという点で比較した.

 

また,ハープの副作用があるかどうかも調べた.

 

さまざまな症状(例:嘔吐,悪心,めまい)について,出産前の検診で対象に尋ねた.

 

母親にも赤ちゃんにも,ハープの副作用がないことがわかった.

 

主要なアウトカム変数は,分娩所要時間の長さであった.

 

一般に信じられていることとは異なり,ラズベリーの葉の錠剤は,分娩第1期を短縮しなかったが,実験群の分娩第2期の所要時問は,コントロール群よりも有意(約10分の差)に短いものであった.

 

処理群での鉗子分娩率はコントロール群よりも少なく(30%対19%),おそらく第2期の短縮による結果であろう.

 

研究者らは,錠剤は分娩第1期の長さには予想された効果を生まなかったが,第2期の分娩所要時間と人工破膜の必要性に影響し,臨床的に重要であると結論づけた.

 

彼らは,有益な効果を生みつつ安全性を確保できる至適容量を定める目的で,引き続き臨床試験を行うことをすすめている.

 

調査の枠内での方法論研究の例

 

ノイマーク,ストンメル,ギヴン,ギヴン〔Neumark, Stommel, Given, & Given, 2001〕は,高齢のがん患者とその介護者家族を対象とした縦断的調査,家族ケア研究(Family Care Study)を行った.

 

調査回答者は,がんの診断を受けたのちの1年間に4回の電話面接を受け,また,自記式質問紙を4回にわたり記入した.

 

複数の病院とがん治療センターで,研究対象者を3年間にわたり募集した.

 

研究者は,標本をつくる初期段階で,対象が減る原因となる因子を特定するために,この調査研究の流れの枠内で方法論研究を行った.

 

以下の3群を比較した.@対象として適しているが参加を辞退した患者(非同意者),A当初参加に同意したが,のちに辞退した患者(初間中111),B研究に実際に参加した対象(参加者)である.研究者は,研究への不参加を説明するのに役立つだろう2種の因子,つまり,対象の特性と研究デザインの特性を検証した.

 

そのITT的目的は,他の研究者が研究をデザインし対象を募集するときに役立つだろう情報を得ることであった.

 

研究者は,対象を複数の施設で募集した.

 

それらの施設は,研究対象に適する対象全員について,纂本的人目学的特性と疾患に関連する特性(例:年齢,性別,がん診断)を提供できた.

 

加えて,研究者は,募集された適格者それぞれについて,研究デザインの側面についての記録を慎重に保存した。

 

たとえば,募集者のタイプや,募集者は対象の参加同意を得るために報酬をもらっているか,家族介護者が関与したか,データ収集のどの段階で募集したかなどの情報である.

 

研究者は.対象と研究デザインの両因子が,研究への不参加の原因であることを発見した.

 

たとえば,高齢の患者からは同意を得にくい傾向にあった(しかし,いったん同意したのちは中止することは少なかった).

 

デザインの特徴という点では,もっとも強力な因子は,家族が介護に参加するように働きかけたかどうかであった.

 

介護者にも働きかけた場合,患者は同意しやすく,初期に中止しにくい傾向にあった.

 

さらに,報酬をもらった募集者は,無報酬の募集者よりも顕著に,対象の同意を得るのに成功した.

 

 

しかし,これらの対象は初期に中止しやすく,募集者への報酬の影響は中和した.

 

量的研究は,デザインと同じく,目的によってさまざまである.

 

概して,実験デザインまたは凖実験デザインの研究には,臨床試験,評価,介人研究がある.

 

・逐次臨床試験では,ペアの「小実験」から得た実験データを逐次分析する.

 

介人の効果について結論を支持するエビデンスが整いしだい、実験をやめる.

 

大部分の逐次試験では,観察するそれぞれのペアが,実験条件を選好するか,コントロールを選好するか,その選好性を示す測定尺度を使う.選好性を特定のグラフにプロット(点描)し,その点線が境界線の1つと交差するまで続ける.

 

その境界線は,実験の停止規則を示す.

 

・評価研究は,意思決定者がある行為を選択する際の助けとなるよう,プログラム,政策,または手順の有効性を査定するものである.

 

・古典的評価モデルは,プログラムの最終目標と実際のアウトカムとの一致を査定する.

 

目標を設定しないモデルでは,それらが意図したものかどうかにかかわらず,プログラムのすべての影響を理解しようと試みる.

 

・過程分析(プロセス分析)または実施分析は,プログラムが遂行された過程と,それが実際にどのように機能しているかを記述する.

 

アウトカム分析(成果分析)は,介入の導人後のある条件の状態を記述する.

 

インパクト分析(影響分析)は,反事実条件と比較して,介入が,なんらかの純インパクトの原因かどうかを検定する.

 

費用分析は,プログラムの利益が経費に勝るかどうかを判断しようとするもので,費用便益分析と費用効果分析がある.

 

・介入研究という川語は,介人の計画,開発,実施,検定,普及という独自の過程を指してもちいることがある.

 

この過程の主要な特徴は,介入の流れをデザインし評価する介入理論の開発である.

 

・アウトカム研究は,ヘルスケアと看護サービスの質と有効性を記録するために行う.

 

ヘルスケアの質のモデルは,いくつかの広範な概念にまたがる.

 

つまり,構造(入手可能性,サービスの範囲,設備,組織の雰囲気のような因子),過程(看護介入と活動),クライエントリスク因子(例:疾病の重篤度,病状が混合した担当患者数),アウトカム(患者の機能性からみた患者ケアの特定の最終結果)である.

 

・反復研究には,同一反復(新しい研究で,もとの研究を正確に反復する方法),模擬的反復(類似しているが,方法を正確に反復するものではない),系統的拡張反復(もとの研究の内容を検証しようとする入念な試み)がある.

 

・方法論研究では,調査研究者は,方法論の手段や方略の開発,検証,および評価にかかわる.

 

・調査研究は,人々に一連の質問に回答するように依頼することで,その人々の特性,行動,態度,および意図を調べる.

 

・好ましい調査方法は,個人面接(個人インタビュー)によるもので,面接者(インタビュアー)は,回答者と直接会って質問する.

 

電話面接(電話調査)は,さらに経済的であるが,面接が長かったり細部にわたる場合,または質問が微妙だったりきわめて個人的な場合にはすすめない.

 

質問紙法は,自己記入方式である(つまり,回答者は質問を読み,次いで回答を記入する).

 

・ニーズ・アセスメントは,集団やコミュニティのニーズを記録するための研究である.

 

ニーズ・アセスメントの実施にもちいる3つの主な技法は,キー・インフォーマント(主要情報提供者)アプローチ,調査アプローチ,指標アプローチである.

 

・2次分析とは,研究者がすでに収集されているデータを分析する研究である.

 

2次分析者は,まだ分析されていない変数を検証したり,まだ探究されていない関係を検定したり,特定の下位標本に焦点をあてたり,または分析単位を変更することもあるだろう.

 

・メタ分析(メタアナリシス)は,統計学的手法をもちいて,先行研究の結果を統合する方法である.

 

その際,各研究を1つの分析単位と数える.

 

・デルファイ法は,専門家のパネルに質問紙を数回にわたり郵送し,問題を解決する方法である.

 

前回の質問紙からのフィードバックを,毎回,新しい質問紙とともに提供し,それによって専門家たちは,その後の質問紙の配布と回収において一致した意見にまとめることができる.

 

 

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