確率標本抽出の評価【統計解析講義応用】

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確率標本抽出の評価|【統計学・統計解析講義応用】

確率標本抽出の評価【統計解析講義応用】


目次  確率標本抽出の評価【統計解析講義応用】

 

 

確率標本抽出の評価

 

確率標本抽出は,代表的な標本を得るために実施できる唯一の方法である.

 

母集団のすべての要素に等しい抽出確率が割り付けられるとすれば,その結果できた標本が,母集団を代表する可能性は高くなる.

 

確率標本抽出のもう1つの利点は,標本誤差の幅を研究者が推定できることである.

 

標本誤差(sampling error)とは,母集団の値(たとえば母集団の平均年齢)と標本の値(たとえば標本の平均年齢)との差である.

 

標本が完全に母集団を代表しているという例はまれであり,確率標本抽出では,その誤差の程度を推定できる.

 

標本抽出に関する上級の教科書では,こうした推定の手順について詳しく説明している.

 

確率標本抽出の大きな短所は,不便で複雑な点である.

 

母集団を狭い範囲で限定しないかぎり,確率標本抽出デザインを使って標本を抽出しようとすると,ふつう,ほとんどの研究者の余地を超えてしまう.

 

また,「あえて」狭い範囲に限定すると,確率標本抽出は「やりすぎ」のようにみえるかもしれない.

 

確率標本抽出は,標本要素の要素を得るのに好んでもちいられる方法であり,またもっとも重要な方法でもあるが,場合によっては実際的でないこともあるだろう.

 

可能な場合はいつでも,標本の特性と母集団の特性を比較するとよい,

 

ナースが関心をもつ多くの集団の特性についての出版情報は,標本抽出の偏りを評価するための文脈をとらえる助けとなろう,

 

たとえば,デトロイトの低所得層の子どもたちを研究する場合,インターネットを通じて,米国国勢調査局から低所得層の米国人の子どもたちの顕著な特性(例:人種/民族,年齢分布)についての情報を得ることができよう.

 

次に,母集団の特性を標本の特性と比較し,その差を考慮して.分析結果を解釈できよう.

 

量的研究における標本の大きさ

 

研究仮説を適切に検証するのに,どれくらいの数の対象が必要かということを,量的研究者は慎重に検討する必要がある.

 

必要な標本の大きさを推定するために,検出力分析(power analysis ; パワー・アナリシス)として知られる高度な手順を使うが,この手順を説明するためには,ある程度の統計学の知識が必要である.

 

量的研究にどのくらいの大きさの標本が必要かは一概にはいえないが,ひとこと助言できるとすれば,できるかぎり大きな標本をもちいるほうがよい.

 

標本が大きいほど,母集団をよく代表したものになる傾向にある.

 

研究者が,標本データに基づいて百分率や平均値を計算する場合はいつでも,母集団の値を推定している.

 

標本が小さいほど,推定の精度は低くなる.いいかえれば,大きい標本ほど,標本誤差が小さい.

 

 

簡単な例で,これを考えてみよう.

 

あるナーシング・ホームにおける月間のアスピリンの使用量である.母集団の人数は15名の入居者であり,1か月のアスピリン消費量の平均値が16である.

 

各々の標本の大きさを, 2, 3, 5, 10として,2回ずつ計8回の単純無作為抽出を行った.

 

各標本の平均値は,母集団平均値(16)の推定値をあらわす.

 

ふつうの状況下では,母集団の値はわからないだろうし,1回の標本抽出しか行わないだろう.

 

標本の大きさが2の場合,推定値は8錠もアスピリン消費量が多く(1Bの標本では平均24錠), 50%の誤差となろう.

 

標本数が大きくなるにつれて,平均値は母集団の真の値に近くなり,そして標本AとBのあいだの推定値の差も小さくなる.

 

標本数が大きくなるにつれて,著しく逸脱した標本を得る確率も減る.

 

標本が大きければ,逸脱した値は相殺される.

 

検出力分析を行わないかぎり,もっとも安全な手順は,実際に,可能なかぎり大きな標本からデータを集めることである.

 

しかし,標本が大きいことは,精度が高いという保証にはならない.

 

非確率標本抽出法をもちいる場合には,たとえ標本が大きくても偏りが潜んでいる.

 

このことを示す有名な例に,「Literary Digest」誌が行った1936年の大統領選挙の世論調査がある.

 

このとき,この雑誌はアルフレッド・M.ランドンが,フランクリン・Dリレーズペルトを圧倒的に負かすと予想した.

 

この世論調査には,約250万人が回答を寄せていた.つまり,しっかりした数の標本である.

 

不況下のその当時は,裕福な人(ランドンを好んだ)だけしか自動車と電話をもっていなかったのに,この標本は,電話帳と自動車の登録簿から抽出されていたので,偏りが生じてしまったのである.

 

このように,標本が大きいからといって,間違った標本抽出デザインを正せるものではない.

 

時間や,対象の入手可能性や,資源のような実際上の制約によって,標本の大きさが限定されることが多いので,多くの看護研究は,比較的小さい標本に基づいている.

 

40年間(1950年代から1980年代)に出版された看護研究を調べて,ブラウンらは,40年間での平均標本数が100未満であることを見いだし,同様の結果がごく最近の分析でも報告された.

 

多くの場合,小さい標本では間違った結果を導いたり,はっきりした結論にいたらない.

 

次に,量的研究で必要とされる標本の大きさに影響するいくつかの考慮点を検討しよう.

 

 

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