IRBへの情報提供【統計解析講義応用】

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IRBへの情報提供|【統計学・統計解析講義応用】

IRBへの情報提供【統計解析講義応用】


目次  IRBへの情報提供【統計解析講義応用】

 

 

IRBへの情報提供

 

多くのIRBでは,試験参加者の安全性,研究のリスクバランスや施設が安全に研究を遂行する能力に影響を及ぼす可能性がある新規情報について,通知を行うよう求めている.

 

この要求範囲は広く,研究者の医師免許が切れた場合であるとか,プロトコールの前提となっている医学的事項の妥当性を否定・肯定する新規論文,州法の改正,施設に対する当局の監査などが該当しうる.

 

施設内IRBであれば,研究施設と深く関わっているので,このような情報に触れる機会も多いが,施設外IRBの場合では,情報の迅速な提供には,PIが頼りである.

 

IRB.特に施設外の場合には,被験者を保護する上でPIとの協力関係が重要となる.

 

IRBには,取締り権限があるわけではなく.PIの行為に対してチェックを行っているわけでもない.毎年開催される審査委貝会には, FDAその他の機関からの通知によってこの類の情報が開示される.

 

しかし.実施施設から直接そのような情報が提示されないならば,IRBとPIとの間の信頼関係は損なわれてしまう.

 

極端な場合には,このような規則に従わない研究者が実施する研究の審査を拒否することもありうる.

 

実施中の試験において倫理的に妥当な行為や被験者の保護が確保できないと判断される場合. IRBには,試験の差し止めを命じる権限がある.

 

 

今後の方向性

 

IRB制度は,連邦規則に該当する臨床研究が,主として単一の研究機関によって実施されるプロトコールによって特徴づけられた時代の遺産である.

 

多施設共同試験が主流となった現在では,この制度がうまく機能しなくなっている部分が少なくない.

 

IRBがプロトコールのデザインに影響を及ぼすことができるのは,IRBとPIとの問の力関係によるが,この関係には,決定的な変化が生じている.

 

それは,依頼者がある研究機関やIRBを好ましくないと判断すれば,他のところに試験やその審査を依頼することができるからである.

 

また. IRB間の顧客争奪競争によって,審査能力(審査時間,ミスの数など)を向上する必要が生じる一方で. IRBは競争に勝つために規則が求める最小限の水準を満たせばよいと考えるようになり,倫理面での「底辺への競争」が起こる可能性が非常に高い.

 

試験の場合には,セントラルIRBを利用することで,このような問題を軽減することができる.

 

セントラルIRBは全実施施設に対して権限を有しており,PIとの間で適切な力関係が維持される.

 

そのようなセントラルIRBの候補機関として,施設外IRBはコンプライアンスや審査能力の実績があることから,最も自然な選択肢であると言える.

 

しかし.どのようなセントラルIRBを用いるかという既在の権限はない.

 

IRBの選択が依頼者に委ねられている場合には,営利型施設外IRBに内在する利益相反の危険性は増大する.

 

単一施設で実施する研究の審査について,施設内IRBではなく,施設外IRBに依頼する場合,倫理上の問題が最も少なく,かつ施設内に存在しうる利益相反のリスクを排除した中立的な審査が可能となる.

 

そして,施設外IRBが審査を行うことによって,施設内IRBの審査能力の向上が見込まれる.

 

法令が意図するところやベルモンド・レポート(Belmont Report)が示す枠組みは,このような体制によって適切に実践できうると言える.

 

特に,利益相反によりもたらされる意図しないバイアスの範囲や程度の大きさを知れば知るほど,このことの意味がわかるようになる.

 

しかし,施設外IRBで広く採用されているビジネスモデルは,多施設共同試験のセントラルIRBとしての役割に依存したものである,

 

施設外IRBが研究機関で行われるあらゆる研究に関して施設内IRBの代わりとなるためには,このビジネスモデルのさらなる変化が求められる.

 

臨床試験がグローバル化する傾向によっても. IRB制度の真価が問われている.

 

ベルモンド・レポートで示された倫理原則は,西欧の知的伝統に強く影響を受けており.他の文化的規範に適用しうるものであるか否かについては,議論の余地があろう.

 

GCP (Good Clinical Practice, 臨床試験実施基準)のもとで行う審査に関してFDAが発表した現行基準は,幅広い設定がなされているので,文化の違いに配慮したモデルを組み入れることが可能である.

 

その場合,「国内版のIRB」と米国のIRBとによって二重に審査を行うのが.国内の基準と米国の基準の両方に研究が適合していることを示す最も簡単な方法である.

 

国際的な専門知識は,国別に蓄えてゆく必要があるが,そのような専門知識を獲得し,維持するには費用がかかる.

 

営利型の施設外IRBは,有料で行うビジネスモデルであり,学内型のIRBと較べて,専門的知識を得るための努力を行う代わりになりうる.

 

IRB制度の今後の在り方については,不明確な部分が多い.

 

科学の進展.研究方法の変化や臨床試験に関わる人々の関係が複雑化するにつれて,倫理審査の必要性は更に高まっている.

 

10年後に倫理審査制度がどのような姿になっているのかは,臨床研究に関わる構造的変化や研究内容の変化に対して.我々が国民的議論を展開し,法制を改正することによって,どれだけ前向きに取り組んでいけるかにかかっている.

 

そのような国民的議論なくしては,施設内IRBも施設外IRBも,時代遅れの法令の文字面に最低限準拠した審査を行い,資金を提供する人々の便益を代弁するだけの機関に成り下がってしまうであろう.

 

それは.現行制度の構造や臨床試験における力関係が変化していることを考えるならば明らかである.

 

新しいIRBモデルは,現行の審査制度に見られる無数の利益相反を適正に管理するとともに,企業が出資する多施設共同試験に関わる新たな現実問題に対処する必要がある.

 

施設外IRBは,中央審査のモデルとなりうる.

 

施設外1RBに内在する利益相反は,外から見て明らかであるので,施設内IRBが内包する複雑な利益相反関係よりも管理が容易である.

 

以上のことから,施設外IRBモデルは,倫理審査が優先される審査制度を構築する上で,最適の出発点であると言えよう.

 

 

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