データ収集の時期とレベル【統計解析講義応用】

データ収集の時期とレベル【統計解析講義応用】 | 統計解析 - ChatGPT・Python・エクセルを使った講義で最速マスター

セミナー詳細                    解析ご相談                    LINEでお友達

データ収集の時期とレベル|【統計学・統計解析講義応用】

データ収集の時期とレベル【統計解析講義応用】


目次  データ収集の時期とレベル【統計解析講義応用】

 

データ収集の時期

 

データの収集に際しては、その方法だけでなく、時期というものも考えておかなければなりません。

 

ひと昔前は、症例報告書はその症例に対する全ての観察が終了した後に一括して記入されて回収されることが多く、場合によってはその施設での全症例に対する全ての観察が完了した後ということすら珍しいことではありませんでした。

 

しかしながら、このような方法では既に発生してしまったミスを発見できたとしても手遅れという状態であり、次の症例では同じミスを繰り返さないように適切なモニタリングを行うということは困難でした。

 

臨床試験に品質管理が求められる以上、このような対応方法で十分な品質管理を行うことができるとは考えられません。

 

さらに臨床データマネジメント部門にとっても、一度に大量の臨床試験データを確認するということはとても大変なことであり、可能であるならば、ほぼ一定量のデータを継続的にレビューできる方が仕事量の均一化、その臨床試験におけるデータレビューでのノウハウの蓄積という面から考えると非常に意味のあることです。

 

このため、逐次、臨床試験データを回収し確認できるように工夫をこらし、症例報告書の形態を含めて適切な品質管理を行い得る体制に変化してきています。

 

また、逐次に臨床試験データが回収できるということは、品質管理ということだけではなく、医師などに定期的に情報をフィードバックすることができるようなサービスが提供できるということも大きなメリットです。

 

この他にも、ある時点の臨床試験データが次の治療方針を決めるために必須の情報であるという場合には、必要な臨床試験データについて症例報告書への記載をお願いし、症例報告書を回収しておくことにより間違いなく必要な臨床試験データが参照されたはずであるということをあらかじめ確認するという方法が考えられます。

 

場合によっては、必要な臨床試験データに基づいた判断結果を医師にフィードバックし、正しく次の治療方針が採択されるような指示資料として提供するというように利用することも可能でしょう。

 

このように、セントラルの都合だけを主張するのではなく、医師などに対しても、臨床検査値の推移図の提供などといった、逐次データ回収によるメリットが実感できるようなサービスを提供することにより、スムーズな協力が得らえるようになるはずであり、皆の協力があってこそ実際の運用が可能になるということを理解しておくべきです。

 

ただし、むやみと頻回に臨床試験データを回収することが妥当であるというわけでもありません。単に収集と確認の手間を増やしているだけにすぎないことも考えられます。

 

このため、その臨床試験データがいつ、どのようなタイミングで発生するのかということを理解し、どのような方法と頻度で収集することが望ましいのかということを検討しておく必要があります。

 

特に中央(セントラル)モニタリングを実施する場合には、実現可能性も含めて適切なタイミングを設定すべきでしょう。

 

そして、実際に臨床試験データ回収を担当するモニターには、そのタイミングで回収することの意味を十分に理解してもらっておく必要があります。

 

 

データ収集のレベル

 

集計・解析の方針が影響を与える可能性がある臨床試験データ収集のレベルということも検討すべき事項です。

 

たとえば、併用薬についての情報を収集する場合に具体的な併用薬名を確認したいのか、それともプロトコルで規定されている併用禁止に該当する薬剤が使用されていないことを確認するために薬効軍でのチェックだけが行えればよいのかというようなことです。

 

前者であれば薬剤名を症例報告書に記載してもらわなければなりませんが、後者の場合には最初から薬剤名ではなく薬効群を症例報告書に記載してもらう方が適切であるかもしれません。

 

また、薬剤投与状況についても、完全な投与状況を知りたいのか、どの程度のコンプライアンスであるのかを判断したいのかにより収集方法が異なります。

 

前者であれば、カレンダーに丸をつけるような形態で症例報告書への記載を求める必要がありますが、後者であれば1週間で何割程度の服薬状況であるかをいくつかのカテゴリーで確認できればよいことになります。

 

また、併用薬を記載する際に、併用理由を記載するか否かということも検討されるべき事項です。

 

有害事象、合併症、あるいは基礎疾患として何も記載されていないのに併用薬が用いられていることがあります。

 

併用薬が使用されているということは、本当は何らかの症状があったから使用されたはずであり、併用薬の投与理由を確認しておくことは有害事象や合併症などの記入漏れを防ぐ有効な手段となりえます。

 

これらのデータ収集のレベルは、収集される臨床試験データが使用される目的に応じて決められるべきことです。

 

このほかの事例としては、有無の判断というものがあります。

 

たとえば、アレルギーの有無ということを確認する場合に本質的には「あり」「なし」だけを確認できればよいはずです。

 

しかしながら、「あり」と記載されている場合に、本当に「あり」と判断してよいのかどうかを保証するために何のアレルギーであるのかを正確に記載してもらう方が間違いがありません。

 

たとえば、アレルギーの内容が花粉症と記載されているが、プロトコルで花粉症は問題となるアレルギーではないと規定されていたならば、「なし」という判断に変更してもらうというような処置をすべきかもしれないのです。

 

このようなことも、どのようなレベルまでデータを収集するかによって対応が変わる一例です。

 

 

データ収集の時期とレベル【統計解析講義応用】


セミナー詳細                    解析ご相談                    LINEでお友達

データ収集の時期とレベル【統計解析講義応用】

データ収集の時期とレベル【統計解析講義応用】