共同研究【統計解析講義応用】

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共同研究|【統計学・統計解析講義応用】

共同研究【統計解析講義応用】


目次  共同研究【統計解析講義応用】

 

 

共同研究

 

共同研究は研究の促進のために,積極的に行うべきである.

 

公表(publication)とオーサーシップ(authorship)問題を含む,共同研究に関する基本原則は,研究開始当初から関係者全員で議論される必要がある.

 

研究データは,要求に応じて,プロジェクトのすべての共同研究者が利用可能な状態にするべきである.

 

個々の研究プロジェクトは,それぞれの独自性をもっているが,問題となり得る主な点は,ほとんど共通しており,共同研究者は次の点に関して提示されてくるであろう問題に,早期に(またはあらかじめ)対処し,コンセンサスを得ておくべきである.

 

全体の目標,誰が何をするのか,予定表,発表・オーサーシップ・クレジット,不測の事態が生じた際の取り決め・情報交換.オンブズマンのNIH事務所は,共同研究に関する多くの問題に対処した.

 

利益相反と責務

 

利益相反(conflict of interest)は,個人的な利益や経済的利害に関わる行動や活動を広い範囲で網羅する法的用語である.

 

利益相反は,個人的な利益もしくは.近親者や家族の利益のために自分の立場を利用,または利用しているように見える場合に生じる.

 

利益相反の存在は,科学的研究およびその結果の報告に関して,客観性を損なう影響を与える可能性をもつ.

 

開示請求がなされるまで利益相反に抵触している可能性を認識していないことがある.

 

したがって,開示請求は関連する経済的関係のすべてが含まれるべきである.

 

開示は,活動範囲に応じて適切な組織について行う必要がある.

 

例えば,研究を行っている研究機関,助成金のピアレビューに従事している場合の資金提供機関,発表を頼まれたときの会議の主催者,論文の審査を依頼された場合や自分自身の原稿を投稿する場合の雑誌編集者である.

 

不適切な研究行為に関する調査の回答者の0.3%は,「自身の研究のもととなっている試料を生産している企業を適切に開示していない」と報告しており,さらに対処する必要がある問題であることを示唆している.

 

近年注目されていることの1つは,臨床研究に関わる企業と臨床研究者の間の関係と,そこに存在する潜在的な利益相反についてである.

 

臨床試験には莫大な費用がかかるため,製薬会社からのみ入手可能な最新の薬剤で臨床研究を行う場合,臨床研究の出資者としての企業の権限が大きくなるため(そのような試験での資金の70%),研究プロトコールと結果の公表に対して企業の意見を反映するよう求められる可能性がある.

 

どの程度発生し,どの程度であれば許容できるかについて, NEJMで発表されている.

 

調査は.臨床試験に最も精通し, 122の米国の医科大学(メディカルスクール)において臨床研究契約の責任者を対象とした.

 

彼らが関与または実際に行っている臨床試験において研究者の権限を制限する可能性のある17の契約条項に関して質問がなされた.

 

調査結果の中で興味深いものは,企業スポンサーが以下のことを行うことを許容されていたことである.

 

契約が締結された後に,研究者が研究計画を変更することを認めない(調査対象の医科大学の68%).

 

企業独自の統計分析を加える(24%),原稿の草案を書く(50%).論文が公表された後,共同研究者がデータを第三者と共有することを禁じる(41%),試験が終了した後,データを所有する(80%),メデイアレビューに先立って結果を発表することを遅らせる(最大60日までが62%,最大90日までがさらに31%).

 

しかしながら,回答者の99%が,近年広く公表されたものの中で企業スポンサーが公表を差し止めることができたものはないとしている.

 

サインした契約にもかかわらず,医科大学の82%は,主に出資の過多,知的所有権やデータ結果の操作に関して,企業スポンサーとの間に何らかの紛争が生じたと報告している.

 

現在,利益相反問題に大きな関心が寄せられているが,責務相反(conflict of commitment)も同様に重要である.

 

これは,自らが就業している職場の雁用責任が及ぶ範囲外の活動で,特に非公的活動を行う場合に生じてくる問題である.

 

責務相反と対照的に,あまりにも多くの研修生を引き受けることや,PIとしてあまりにも多くの臨床試験を引き受けることにより,それらすべてに最善を尽くせない,といった過度に仕事を引き受けている状況でも生じてくる問題でもある.

 

指導教官が研修生との定期的な会議を持つ時間がなかったり.数日〜1週間以内に原稿の草案をレビューする時間がなかったり,または臨床試験を自ら監督する時間が作れない場合,過度に仕事を引き受けている状況であることが強く疑われる.

 

FDAの規制を受けた製品を使用する研究を自ら監督できないことにより生じる失敗は,監査報告書とFDA警告書で最もよくみられる結果の1つである.

 

 

ピアレビュー

 

 ピアレビュー(peer review)は,研究論文,助成金申請,研究プロトコール,または研究計画などの科学文書における関連分野の,1人以上の専門家によって行われる批判的評価(critical evaluation)と定義されている.

 

ピアレビューの必須要素の1つに,関連分野に詳しいレビュアーの必要性があげられる.

 

直接競合していたり,協力関係にあったりと,調査対象者と密接な関係にあることにより実際に利益相反が生じていたり,その可能性があるレビュアーは避けるべきである.
すべての評価は,徹底的かつ客観的に,公正かつタイムリーにレビューとして提出された資料の内容のみに基づいてレビューされるべきである.

 

つまり.まだ公に入手不能な情報を考慮に入れてレビューしてはならない.

 

複数のレビュアーを用いることで,不適切なレビューをある程度抑制することはできるが,レビュアーは,建設的な意見を出し,非難するような批評は避けるよう努力すべきである.

 

レビューは通常匿名で行われるので,レビュアーは,得ることのできた部外秘の情報を漏らさないようにする責務がある.

 

レビュアーは.レビューの過程の中で知り得た情報等を,許可が得られない限り,他者と共有することはできない.

 

良き指導者の条件の1つは,提出された論文のレビューを実際に行わせることを通じてピアレビューの方法を研修生に教えることができることである.

 

また.研修生がレビューする予定であると雑誌社に事前に通知し,許可を得ておくことは,指導者の義務である.

 

許可されない限り,レビュアーは,資料をコピーし保有してはならないが. Martinsonらによる調査によると1.7%の者がそのような行為をしていたとの報告がある.

 

論文発表と責任あるオーサーシップ

 

論文発表(publication practice)は,研究結果を科学界に伝えるという,研究者の責任を果たすことである.

 

その責任とは,多くの研究は.連邦政府からの税金を使った資金提供を受けた結果であるという事実に基づく.

 

臨床研究の公表はまた,被験者がリスクにさらされた見返りとして得られた科学的利益を公表するというを果たすことでもある.

 

学会発表以外,科学雑誌における論文発表は,通常新しい研究結果を初めて公表する場であるべきである.

 

例外は,公衆衛生や安全性に関わる深刻な問題が含まれている場合である.

 

論文発表は彼らのキャリアとして非常に重要であるので,研究者の間で最も難しい論争のいくつかを生じさせる可能性がある.

 

研究結果の公表は,社会に貢献し,健康を向上させる結果を共有するということであるが,新たな科学原理を創るということでもある.

 

発見の功績は,最初に発表した研究者に属するが,評価と研究資金拠出の可否は発表の数とインパクトに基づいて決められる.

 

さらに,高い評価を受け,良い発表を行うことで高い地位を得ることにつながる.最近の研究において,研究発表の倫理に関連した多くの問題に取り組みがなされている.
論文は,読む者がその妥当性を評価するに足るだけの十分な情報が含まれている必要がある.

 

しかし,科学的妥当性を検証する重要な方法は,投稿し公表された論文の審査において検証されるのではなく,他者による結果の再現によってなされる.

 

したがって,論文は,他の研究者が研究を再現するために必要な情報をすべて含んでいなければならない.

 

Martinsonらの調査によると,回答者の10.8%が十分な情報が含まれていないと回答している.

 

その理由は,単なる記載の不備や他の研究者が研究結果を再現したり,さらに発展させることを遅らせたり.妨げるために,意図的に記載しなかったということが考えられる.

 

新しく,意義のある結果をタイムリーに発表することは.科学の進展のために重要である.

 

言い換えるならば,発表されるものは,その分野の発展に十分に貢献するような内容であるべきである.

 

結果を断片的に発表することや,同じまたは似ているデータを複数発表することは不適切である.

 

しかし, Martinsonらの調査対象者の4.7%は,そうしていたと回答している.

 

オーサーシッブは,科学的進歩に対する寄与の度合を決める主要なメカニズムであり,オーサーシップにより新たな知見に対する研究者の貢献度合を知ることができる.

 

オーサーシップは,潜在的に大きな利益をもたらすが,同時に責任も発生する.

 

オーサーシッブは.誰が筆頭著者(first author)か,首席著者(senior author)か,そして責任著者(corresponding author)であるのかを決めるのと同様に.実験結果とその解釈についての情報交換(口頭または文書)に関与した関係者すべての人が列挙されている.

 

研究のコンセプト作り,計画,実行,解釈において重要な貢献をしていること,および,研究結果に責任をもつという意思があることによりオーサーシップが正当なものとして認められる.

 

オーサーシップ以外に,研究に対する貢献を明示する方法としては,謝辞や参考資料への記載がある.

 

謝辞は,研究についての助力および助言,編集援助・技術サポート,場所の提供,資金援助,試薬や試料の提供によって研究を援助してくれた個人を証明するものである.

 

参考資料は,他の研究者等の発見,言葉,考え,データ,または解析が当該研究者の業績であることがわかるよう明示し,興味をもった人が,参考資料を見て,その文献を参照できるような記載方法で引用されなければならない.

 

問題行為について調査した結果によると, 1.4%の頻度で,許可なく.他人の考えを利用されていたと報告している.

 

オーサーシップについては,いつ議論されるべきか.オーサーシップに関して,誰もが共通して認識している基準はないが.各研究グループは,研究が始まる前,もしくは研究実施中に議論し,オーサーシップの問題を解決しておく必要がある.

 

オーサーシップのある著者は全貝,公開フォーラムや出版物(初版または改訂)について.含まれる資料を十分に検討すべきである.

 

さらに,発表または提出の前に,研究結論を支持する意思を示す必要がある.

 

不正行為に関する指摘のかなりの割合が,データ利用,剽窃,信用性における対立等のオーサーシップについての指摘となることが多いため.可能な限り早期にオーサーシップに関わる問題を解決することは重要である.

 

近年,出版物に関わる著者の増加に伴い,問題はより大きなものとなっている.

 

NIHのオンブズマンは,オーサーシップに関わる争いが,取り扱う問題の中でも大きな割合を占めていると報告している.

 

ORIは.これまでの共同研究者を含めた,すべてのオーサーシップに関わる争いは,研究不正行為とみなさないとしており,争いの解決については,著者自身または他の機関や,オンブズマン事務所に委ねられている.

 

Drummond Rennie は,長い間,オーサーシップの誤用に興味を持っていた.

 

彼は,無責任なオーサーシップについていくつかのカテゴリーを定義した.それには以下が含まれる.

 

肩書きだけのオーサーシップ基準を満たしていない著者,ゴーストオーサーシップ論文作成に貢献をしていない著者,自らの業績として著者に加わることは認められるにもかかわらず,論文の内容に責任を負うことを拒む,重複した発表. Rennieらは,発行部数の多い,一流の医学雑誌の研究論文は,肩書きだけの著者の可能性が高く,一方で,シンポジウムの議事録を公開するような発行部数の少ない雑誌のレビューは,ゴーストオーサーの可能性が高いという仮説を立て,研究を実施した.

 

仮説自体は間違っていることが示されたが.研究は生物医学雑誌におけるオーサーシップの誤用が多いことを示している.

 

Martinsonらの調査によっても同様のことが示されており, 10%で不適切にオーサーシップを割り当てていたと報告した.

 

国際医学雑誌編集者委員会(International Committee of Medical Journal Editors, ICMJE)の陣頭指揮により.これらの問題に対する多くの対処がなされている.

 

ICMJEは,オーサーシップに関する要件を示すために,生物医学雑誌の投稿に関する統一的な要件について2004年10月に改訂し,「ethical principles related to publication in biomedical journals (生物医学雑誌の出版に関する倫理原則)」を発出した.

 

彼らは,著者を「公表された研究に.実際に知的貢献をした者」と定義し,オーサーシップの基準を規定している.

 

さらにICMJEは,資金の獲得,データ収集または研究グループの全般的な管理のみに関わっている場合は,オーサーシップを正当化しないと明示している.

 

また,各著者は自分が関わった部分に対し,十分に研究に関与し,責任がとれるようにしておかなければならない.

 

JAMAにおけるオーサーシップ指針は,「すべての著者は,謝辞に記載されている人々と同様に,自らの特定の貢献について説明しなければならない」と,より明確に述べている.

 

著者は,話し合いによって,誰を著者にし,誰を謝辞にまわすかを決めなければならない.著者は,実際の貢献度の順にリストに記載されなければならない.

 

患者または試薬の提供,データの収集および整理.これらの基準を忠実に守ることは,臨床研究を行うためにオーサーシップが決められるような,オーサーシップ自体のあり方に著しい変化をもたらし,社会的慣習の変革が必要となるかもしれない.

 

 

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