内的妥当性とデータ分析|【統計学・統計解析講義応用】
内的妥当性とデータ分析
内的妥当性を高めるための最良の方略は,コントロールの手段を採用した,強い研究デザインをもちいることである.
これが可能なときも(そして,もちろん,可能ではないときにも),生じた偏りの性質と程度を判断するために,データを分析することが大いに望ましい.
偏りを特定すれば,実質的な結果を解釈するために情報を利用でき,場合によっては,統計学的に偏りをコントロールできる.
研究者は,自己批判的であることが必要である.
選択したデザインのなかで生じた偏りのタイプを十分に,そして客観的に考え,それが存在する証拠を系統的に探索する必要がある(もちろん,そのような証拠がないことが望ましい).
どのように進めるか,いくつか例をあげよう.
選択の偏りは,もっともよく起こる内的妥当性への脅威であり,可能なかぎり検証したほうがよい.
概して,これは,事前テストのデータを集めるとき,事前テストの測定で比較する対象にも該当する.
たとえば,出産後の女性の抑うつについて,帝王切開分娩と経腟分娩を比較して研究する場合,選択の偏りを評価する理想的な方法は,2群の女性の妊娠中または妊娠前の抑うつを比較することであろう.
分娩前に有意な差があれば,分娩後の差は,当初の差を念頭において解釈しなければならないだろう(または,コントロールされた差を念頭において解釈する).従属変数の事前テスト測定がない,事後のみデザインや横断的相関研究では,研究者は,年齢,性別,人種,社会階層,健康状態などの重要な背景にある変数について両群を比較することによって,選択の偏りを探索したほうがよい.
選択の偏りは,グループ分けに無作為割り付けをもちいた場合でも,分析したほうがよい.
なぜならば,無作為化によって完全に等質なグループがっくれる確かな保証はないからである.
複数の時点でデータを収集する研究デザインでは,研究者は,自然減による偏りを分析したほうがよい.
概してこれは,従属変数のベースラインテスティング 事前テストによる事後テストの対象の得点への影響を,テスティング(testing)という.
とくに意見や態度をあつかうような,いくつかの研究では,人々からデータを収集するという行為そのものが,それらの人々を変化させるということが報告されている.
たとえば,看護学生を対象に,自殺補助に対する態度について,質問紙調査を行うとしよう.
続けて,質問紙調査ののちに,自殺補助に対してなされてきたさまざまな賛否両論,判例などを学生に説明し熟知してもらう.
最後に同じ態度測定を行って,学生の態度が変わったかどうかを観察する.
ここでの問題は,最初の質問紙が学生を意識させ,その結果,その後の説明にかかわらず,態度が変化するということである.
この研究で比較群をもちいない場合,説明の効果を,事前テストの影響と区別することが不可能になる.
真の実験では,テスティングは問題にならないだろう.なぜなら,その影響はすべてのグループにほぽ均等に及ぶと考えられるからである.
しかし,ソロモン4グループデザインは,研究者が介入の効果を事前テストの影響から分けたい場合に使うことができよう.
意識化,またはテスティングの問題は,事前テストのデータが自己報告(例:質問紙による)の場合,とりわけ,事前テストで論議のある,または新奇性のある題材に対象者をさらした場合に生じやすい.
生物生理学的データを含むような,いくつかの看護研究では,テスティングの影響は主な懸案事項ではない.
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