失敗と勘違い【統計解析講義応用】

失敗と勘違い【統計解析講義応用】 | 統計解析 - ChatGPT・Python・エクセルを使った講義で最速マスター

セミナー詳細                    解析ご相談                    LINEでお友達

失敗と勘違い|【統計学・統計解析講義応用】

失敗と勘違い【統計解析講義応用】


目次  失敗と勘違い【統計解析講義応用】

 

 

失敗と勘違い

 

試験の前,中,後にCONSORT声明を見ないこと

 

オリジナルのCONSORT (Consolidated Standards of Reporting Trials. 臨床試験報告に関する統合基準)の声明文は,ランダム化臨床試験の報告と実施を改善するために開発された。

 

声明文は主として,調査研究者が調査の知見を一貫して報告するのを支援するための基本的な要素のチェックリストから成っているが,将来の試験をデザインする段階でCONSORTチェックリストの25項目を注意深く検討することは価値あることである.

 

含まれている項目は,調査報告書の表題,前書き,方法,解析,結果の考察,および他の重要な章を報告するための基準について言及している.

 

それらの重要な要素を理解することは,調査研究者が,適切なデータがCONSORTガイドラインに従って報告することに対する適切な作法で収集されていることを確認する上で手助けとなり得る.

 

1996年に初めて公開されたが,特定の試験デザインに対して更新された多数のガイドラインがその後公開されている.

 

決定的な大規模試験で初めて思い悩む詳細

 

ここでの焦点は,主として比較的小規模な臨床試験のデザインについてである.

 

小規模と中規模の臨床試験は,決定的であることは稀であるが,重要な患者特性.アウトカム,および介入の構成要素を特定する一方で,治療法の効果の推定値と実現可能性を確定することは欠かせない.

 

通常は.大規模試験よりも実施において現実的である.

 

小規模と中規模の臨床試験は.単一または複数の施設の試験であろう,

 

特に例数が小さな試験を除くすべての試験において.デザインは治療法の効果を推定する分散を注意深く考慮しなければならない.

 

したがって,治療効果を最大にし,誤差分散を最小にするための調査研究デザインは,すべての探索的な調査研究にとって重要ではあるが,例数が制限された小規模と中規模の臨床試験に対しては特に重要である.

 

治療効果を増やすことができないこと

 

試験で検出される治療効果は,治療法の用量または効果を最大にすること.アウトカムに最小の影響を持つと予期される比較群またはプラセボ群を選択すること,または,試験治療には最も従順かつ反応がよく,対照または比較治療には最も反応がよくない患者を選択することを含むいくつかの方法で増加するかも知れない.

 

例えば,特定の患者集団はプラセボ条件に特に反応することが知られているとしよう.

 

それらの集団に対する臨床試験のデザインがプラセボ群を含むときは,プラセボ対照の反応と試験治療群のものを区別するためには,強力な治療でなければならない.

 

分散を減らすことができないこと

 

治療による分散は,別名で治療効果と呼ばれるが,他のすべての分散の源はその治療効果を識別する能力を減らす.

 

臨床試験の分散を減らすには.いくつかの接近手段がある.

 

大きな影響を与える分散は,試験の実験的な行為の関数として発生し得る.

 

主要なアウトカムの測定値における変動を減少させることは,すべての分野において治療法の進歩の速さを刺激するための強力かつ安価な方法であることが多い.

 

例えば,試験で用いられる尺度の精神測定学的な性質を注意深く検討することは.安定した評価項目を特定することを助け.結果として減少した誤差分散を持つアウトカムを得るだろう.

 

主要なアウトカムの検討によって,1日の時刻,季節性,および興味はないが必然的に測定値の分散を増加させる他の変動に従ったアウトカムにおける既知の変助が特定されるかも知れない.

 

例えば.血圧は毎日のリズムを示し,重要なアウトカムとして血圧を含む試験に対しては,(姿勢,器具の使用試験実施者効果,等々のような他の多くの変数と同様に)血圧がとられる1日の中の時刻は.治療によらない分散に影響するだろう.

 

また,慢性の疼痛患者において毎日広く変動する痛みのようなアウトカムに対しては,変動は普通に発生するだろう.

 

同様に,ある状態は,症状の再発と寛解に関係している.このような型のアウトカムに対しては,特に繰り返し測定することが,変動を減らして治療効果の識別能を高め得ることが多い.

 

標本サイズの公式においては,説明されない変動源のみが分散に寄与する.

 

もし興味のあるアウトカムの予測囚子を特定できるだけの十分なデータがあり.それらの予測因子を測定することができたら,説明されない誤差項からそれらの成分を除くことができる.

 

デザインの視点からは,それらの成分を除くことは,1つまたはそれ以上の対照群における変動源を制御すること,あるいは患者特性を注意深く選択することによって達成される.

 

これは解析的にも達成することもできる.

 

例えば. Jungらは,発疹の期間,年齢.性別,前駆症状の存在,および痛みと急性発疹の重症度が,帯状疱疹後神経痛の発生における分散の23%を説明することを報告した.

 

外科的手術による外傷とオピオイドの事前の投与のような共変量が鎮痛剤の臨床試験の感度を改善することを報告している,

 

個体の治療反応に影響する遺伝的多型の評価により,多くの疾患領域におけるアウトカムの分散の一部を説明することにおいて有望との見込みが示されている.

 

標本サイズは分散に比例するので.この種の追加知識を用いることは,試験の標本サイズを減らすか,少なくともより特定された試験デザインに導き得るだろう.

対照群の選択時に注意しないこと

 

試験デザインの多くの側面と同様,適切な対照群を決定するという課題は,取り組むべき課題,利用可能な資源,興味のあるアウトカム,および科学の段階がー連の試験上のどこに位置しているかに依存する.

 

例えば,治療法が現実世界の設定(コミュニティ,職場,学校.コミュニティに密着したクリニック)にどのように普及され得るかという課題に取り組む。

 

 

普及と実施

 

研究に対しては,対照群は,試験治療そのものよりも.普及と実施の計画に関係する要因を制御するために形成されるだろう.

 

そのような研究は,特別に訓練された施設の試験実施者によって普及された治療方法(試験群)を病院医師によって実施されたものと比較するだろう.

 

後期段階の効果または実践的試験に対しては,対照群は主として通常診療群だろう.

 

なぜなら,課題の目的が,試験治療がそのコミュニティ環境において有効であるかどうかであり,そこでは患者の登録基準,試験治療が実施される方法,あるいは服薬アドヒアランスや来院保持を高める戦略について,ほとんどまたは全く制限を設定しないからである.

 

対照群をデザインすることにおける主な焦点は,制御したい要因についてよく理解していることである.

 

これは,回答されるべき課題と測定されるべき最も重要なアウトカムについて,簡単かつ明確な表現を要求する.

 

主たる疑問が実験治療の作用メカニズムに関係している場合がある.

 

そういう場合には,試験されるべき仮説は試験治療の有効性が変化するかどうか,どのように変化するかに関係していて,対照群は.他に治療法の「有効でない」と推定される要素のすべてを制御するようにデザインされるべきである.

 

他方.主たる課題が,試験治療法があらゆる手段を通して何らかの変化をもたらすかどうかという場合もある.

 

そのような場合の課題は,有効性に対するシグナルが見かけのものでアウトカムが精度高いかどうかである.

 

ここでは通常診療対照または順番待ちリスト対照が適切かも知れない.

 

すべての試験において単一の「正しい」対照群に固執するのは,よくある過ちである.

 

取り組んでいる課題に対して不十分な1つの対照群を必ず採用する調査研究者がいるけれども,問題は.対照群そのものの選択というよりは,課題と対照群との問の調和が不足することである.

 

プラセボ群は非倫理的であると常に思い込むこと

 

有効な治療法が利用可能なときにプラセボ対照を含めることが非倫理的であり、より適切なデザインとして新治療法を標準治療法と比較することが正しいと主張されることが時々ある.

 

標準治療は通常.2つの事項のうちの1つとして定義される:診療標準(standard of care):与えられた病状に対して利用可能な治療法のうち最適なもの,または,標準診療(standard care):現実的な実践においてその病状に対して典型的な治療法がどのように与えられるか.

 

これは,既知の治療法を与えないでおくことが不可逆的な害(例えば,侵襲性の強いがん,重篤な感染症,あるいは即時に治療をしないままでいると後遺症を引き起こすようなあらゆる病状)という大きなリスクを課す場合にあてはまる.

 

それ以外の場合には,プラセボ状態を含めることは,臨床科学を進展させるために正当化され,必要である.

 

治療法が存在するすべての病状においてプラセボ群を含めないことは,弱い治療法に対する原理の証明がその治療法を改善するための取り組みを続けるために必要とされるときは,多くの治療法の早期開発を損なうだろう。

 

これは特に,既知の治療法が,効果は証明されていなくて小規模の十分に制御された試験のみで有効である場合である.

 

また.プラセボ群への登録は,試験期間が比較的短いとき,治療をしないでいても恒久的な害や過度の苦痛をもたらさないとき,および既存の治療法が患者に広く受け入れられないとき,にも受け入れられる.

 

プラセボ群を含めることに対する最良の場合とは,新しい治療法を標準治療と比較しているときに,プラセボ群を追加することで,その特定の試験ではどの有効な治療法も有効ではなかったという可能性を明らかにするのを助け,自然経過またはプラセボ効果がその結果を説明するような場合である.

 

これは特に.その領域における早期の段階の調査研究がプラセボ対照を含めることができなかった場合である.

 

以前に議論したように,プラセボ群を含めない試験は,新たな薬剤の有効性に対して誤ったエビデンスを生み出して.無効な薬物治療が広く使われるような状況をもたらすかも知れない.

 

プラセボ対照群をいつどのように用いるかに関する多くのバリエーションが大変明確に述べられている。

 

長期の試験ではプラセボ治療は(不)可能と思い込むこと

 

患者の症状に焦点をあてた治療法の短期調査においては,患者はいつでもその試験を終了でき,追加の薬物療法を受けることができることを理解しているため.プラセボは倫理的に正当化されることが多い。

 

実践現場においては,多くの患者がプラセボによる症状緩和を幾分か経験し,大部分は一時期な試験を許容する.

 

けれども.慢性疾患の試験は実践的な理由および倫理的な理由の両方から,より困難であり得る.

 

患者は長期間にわたって軽減されない重篤な症状を許容するというより困難な時間を過ごすため,これは特に有用または有効な治療が存在するような場合にあてはまる.

 

これは,プラセボ群と試験治療群における患者の脱落率に差が生じる可能性を導き,結果の解釈を極めて困難にし得る.

 

また倫理的な問題もプラセボ試験に対する懸念であり,特に有効な可能性のある治療法が使用可能なときは特にそうである.

 

治療をしないと進行するある病状に対して,もしプラセボ投与が恒久的な有害事象を生み出すのであれば,試験実施者はプラセボのみを与えることは倫理的にできないことは明白である.

 

それゆえ,そのような状況では,プラセボ対照試験を実施するための倫理的に実行可能な一つの方法は,既に標準治療の最適な用量が投与されている患者に,追加治療として,プラセボ群と試験治療群を与えることである.

 

 

失敗と勘違い【統計解析講義応用】


セミナー詳細                    解析ご相談                    LINEでお友達

失敗と勘違い【統計解析講義応用】

失敗と勘違い【統計解析講義応用】