実践的試験対説明的試験|【統計学・統計解析講義応用】
実践的試験対説明的試験
ほとんどの臨床試験は,特定の疾患における一連の因果関係の一部として,生理学上の原則を示すためにデザインされている.
このような試験は,説明的試験(explanatory trial)と呼ばれ,研究者が検証されている仮説を採択もしくは棄却するために十分な規模である必要がある.
試験の結果の臨床治療への推奨を一般化するために,説明的試験を実施する研究者の間で起こる傾向により,大きな問題が生じている.
どの治療を使うべきかについての質問に答えるためにデザインされた試験を実践的試験(pragmatic trial)と呼ぶ.
これらの試験は主要評価項目として臨床的アウトカムを設定している.
その結果,試験完了後.試験治療が,代替アプローチを通して達成するよりも良い臨床的アウトカムを出すという点において,結果が医師または公衆に,治療を使うかどうかの情報を与える.
これらの試験は,一般的に,妥当な結果を導くためにより多くのサンプルサイズを,そして,実際に治療される母集団に対して一般化するために,より不均一の集団を必要とする.
説明的試験または実践的試験を実施するかどうかについての決定は,試験デザインに大きな影響を与える.
実医療または知識が示唆することは,試験の種類によってかなり異なるため,試験が公表されるとき,読者は研究者の意図を考慮する必要がある.
大規模な実践的試験の骨組みは,説明的試験で使われるアプローチと大規模実践的試験で使われるアプローチを比較することによって,最も良く理解することができる.
これらの原理は,疾病登録を検討する際に重要となる.
組み入れ基準
説明的試験においては,特定の興味ある評価が交絡しないように,組み入れ基準を注意深く管理しなければならない.
例えば,心不全の治療が心拍出量を向上するかどうか決定するためにデザインされた試験は,選択的血行動態モニタリングにとって十分安定した患者を調査すべきである.
同様に,うつ病の試験では,再発する可能性があり,かつ,うつ病の自己評価尺度に必要なデータを提供できる患者が適している.
一方,実践的試験の一般的な目的は.医療現場でみられる集団を代表し,かつ,試験実施者の意見により,良い結果から妥当な事例をつくることができる患者を含むことである.
このような観点から,登録率は基準の数に反比例するため,組み入れ基準(entry criteria)と除外基準(exclusion criteria)の数は最小限にするべきである.
このように組み入れ基準を広げることにより,実臨床では治療されるであろう重症の疾患や併存症をもつ患者を含むために特別な努力が必要となる.
したがって,説明的試験では生物学的原理を明らかにするために非常に特殊な基準に重点を置く一方,大規模実践的試験では,治療が実際に用いられる場合に起こりうることを再現する選択基準(inclusion criteria)を採用すべきである.
関連記事