逐次臨床試験【統計解析講義応用】

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逐次臨床試験|【統計学・統計解析講義応用】

逐次臨床試験【統計解析講義応用】


目次  逐次臨床試験【統計解析講義応用】

 

 

逐次臨床試験

 

従来の第m相臨床試験には,状況によっては重大な短所がある.

 

とくに,試験の目的にかなう十分な大きさの標本を募集し,無作為化するために,数か月を要することがある.

 

処理の対象となる母集団が比較的に小さいとき(例:まれな疾患の患者),これが問題となる.

 

これと関係するが,標準臨床試験で介入の効果について結論を出すのに(つまり,すべてのデータが収集,分析されるまでに)数か月,数年を要することもある。
これに代わるもう1つの方法が,逐次臨床試験(sequential clinical trial) であり,実験データが手に入りしだい,次々と分析するものである.

 

時間とともに結果が累積され,介入の有効性についての結論を支持するのに十分な証拠が整ったならば,すぐに実験をやめることができる.

 

この方法のデザインは,一連の「小実験(mini-experiment)」からなる.

 

研究に参加してくれる最初の患者が決まったら,まず,その患者を無作為に(例:コイン投げで)実験(E)条件かコントロール(C)条件かに割り付ける.

 

2番目の患者は,自動的に第1の患者とは異なる条件に割り付けられる.

 

こうして無作為化した一対比較(paired comparison)のまとまりができる.

 

ほとんどの逐次試験では,EまたはC条件への選好性を示す測定尺度を使う.

 

選好性(preference ; 選好)は,臨床的に重要なアウトカムをもとに,質的または量的に定義できる.

 

選好性の尺度には次のような指標がある.

 

つまり,生存した/生存しなかった,改善を示した/改善を示さなかった,可動域で20度以上の増加をみとめた/可動域でそれ未満またはまったく増加しなかった,というような指標である.

 

選好性の尺度は2値である(つまり,2つのアウトカムの可能性をもっている).

 

こうした選好性の尺度をもちいてそれぞれのペアを比較した場合,@Eを支持する,ACを支持する,Bどちらともいえない(同点),の3つの可能性がある.

 

通常,同点は除外し,決定則に従って,事前にグラフに境界線を引き,そのグラフに残りのすべての一対比較をプロット(点描)する.

 

無作為化したペアの数を示すために、ここでは,1組から30組のペア,または60の対象について、「選好性」の比較がどちらになったかを示す.

 

あるペアがEを支持した場合,点線は上向きになり,Cを支持した場合,点線は下向きになる.

 

蝶々型の曲線は,決定境界線である.

 

 

この例では,最初の一対比較は実験介入を支持したので,起点から1単位上に線を引く.

 

第2の一対比較はコントロール条件を支持したので,点線は,横軸が2を示す位置で下がる.

 

この手順を,点線がいずれかの境界線と交わるまで続ける.この境界線は,3つの停止規則(stopping rule)を示している.

 

上の境界線(U)と交わるときは,実験処理がより効果的であるという結論を最終的に下すだろう.

 

低い方の境界線(L)と交わるときは,コントロール条件のほうがより効果的であるという結論になる.

 

最後に,中間の境界線(M)と交差するときは,2つの治療法は同等に効果的(または同等に効果がない)という決定になる.

 

この例では,同点でなかった18のペアを検証し(全標本数は36),実験処理はコントロール条件よりも有意に優れていると結論づけられた.

 

たいてい逐次試験は従来のデザインよりもずっと早く結論に達するので,臨床研究ではかなり魅力的である.

 

しかし,こうした試験がいつも適切というわけではない(例:3つの条件を比較するとき).また,同点が多い場合はあいまいになる.

 

関心あるアウトカムが多く,選好性をそれぞれ別に作図しなくてはならない場合は,試験は複雑にもなる.

 

 

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