生物統計学と疫学【統計解析講義応用】

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生物統計学と疫学|【統計学・統計解析講義応用】

生物統計学と疫学【統計解析講義応用】


目次  生物統計学と疫学【統計解析講義応用】

 

 

生物統計学と疫学

 

観察研究のデザイン

 

観察研究(observational study)は,疫学において欠かせないものであり,専門的な学術雑誌に掲載された研究論文の多くをしめる.

 

植物,動物,ヒトに限らず,どんな特定の集団を研究するのにも,疫学を用いることができる.

 

疫学の大前提は,健康,疾病,疾患はランダムに起きるものではないということである.

 

そのため,我々を守るような特性,または,我々に害や様々な疾病などを起こしやすくするような特性が存在すると仮定する.

 

それらの特性は,遺伝的なものであるかもしれないし,環境の影響や数多くの他の要因かもしれない.

 

我々は,これらの特性をすべて変えることができるかもしれないし,部分的に,または,全く変えることができないかもしれない.

 

観察研究では特性やイベントの分布の評価や,ある特性と健康上のアウトカムとの間の潜在的な関連性の探索を目的とすることが多い.

 

医学や疫学で用いられる一般的な試験デザインは,3つの主要な基準によって分類することができる.

 

第一に,研究は,実験的にも観察的にもなり得る.実験的研究(experimental study)では.研究者は意図的にイベントの進行に影響を与え,慎重に選択された被験者集団における介入や治療の効果を調べる.

 

ヒトで実施される実験的研究は,臨床試験(clinical trial)または臨床研究(clinical study)と呼ばれている.

 

観察研究(observational study)では,研究者は被験者やそれを取り巻く環境に影響を与えようとはしない.

 

観察研究の目的は,被験者.環境,疾患の経過に影響を与えずに,興味のある特性のデータを観察,収集することである.

 

第二に,研究は,縦断的にも横断的にもなり得る.

 

縦断的研究(longitudinal study)において,研究者は,イベント,介入,治療に関連している可能性のある変化を経時的に調べる.

 

横断的研究(cross-sectional study)では.研究者は.ある一時点における被験者を観察する.

 

縦断的研究は映画のようなものであり,横断的研究は写真のようなものである.

 

第三に,研究は前向き(prospective)にも後ろ向き(retrospective)にもなり得る.

 

前向き研究では,研究者は,研究開始時点から前向きにデータを集めるが.後ろ向き研究では,カルテのように現存する情報源やインタビューから,過去のイベントに関するデータの収集を試みる.

 

実験と臨床試験は,まさにその性質上,前向きであるが,観察研究は前向きではない場合もある,ということは留意すべきである.

 

観察研究は,主に個人や集団の特性を明らかにするような研究と.特性と疾患アウトカムとの関連性についての疑問に答えるための研究に分けることができる.

 

 

生態学的研究(ecological study)は.個人ではなく集団の特性を評価し,各集団の特性の関連性を比較する.

 

生態学的研究の例としては,様々な国における.タバコの総消費量と肺がんによる死亡率との関係を観察している研究がある.

 

症例報告(case report)や症例集積研究(case series study)は,特定の臨床的事象について記述するものであり,個人レベルの研究デザインとしては,最も単純なものである.これより少し複雑なものが,有病率調査(prevalence survey)または横断的調査(cross-sectional survey)であり,定義した被験者集団における有病率の推定値が得られる.

 

横断研究は,研究のある時点での集団を記述するのに優れた方法であり,これらの研究で収集されることが多い多様で広範囲にわたる変数間や,情報間の関係について調べる場合に重要な役割を果たす.

 

特性と病理学的なアウトカムを関連付けることへの疑問に答えるために.2つの一般的な観察的アプローチが用いられる.

 

ケースコントロール研究(case-control study)では,潜在的な病的因子を特定するために,ある特定の疾患や健康状態を有する群とそれらを有しない対照群とを比較する.

 

ケースコントロール研究は,疾患の有無を明らかにすることから始め,そして,疾患を有する群と有しない群において潜在的な危険因子を調べる.

 

これは.コホート研究と対比することができる.

 

前向きで縦断的なコホート研究(longitudinal cohort study)は,本質的に横断研究であるベースライン評価から始める.

 

ベースラインは,縦断的なデータが得られる前に.横断的な関連を調べるのによく用いられる.

 

場合によっては前向きコホート研究は,危険因子の状況を明らかにすることから始め,そして,危険因子を有するものと有しないものにおける疾患アウトカムを時間をかけて確認する.

 

科学的観点からすると,観察研究は,単に危険因子と反応の関連性(association)を示すことができるだけであるが,実験的研究と臨床試験は,治療と反応との因果関係(causation)を証明することができる.

 

実験的研究では,変化を加えようとしている実験条件を除き,本質的に同一である2つのグループを作ることができるからである.

 

観察研究では,そのような注意深くコントロールされた条件のない,一般的に自由な生活を送っている人が被験者である.

 

観察研究では弱い関連性しか示すことができないということは.交絡(confounding)が起こりやすいということを反映している.

 

2つ以上の変数が.研究者にとって既知であるか未知であるかにかかわらず,共通の応答変数やアウトカムに与える影響が,混ざり合っている場合に交絡が起きる.

 

例えば,よく運動をする人は健康に良い食事をとる傾向もあるため.心疾患に関して,脂肪の摂取をより減らすことによる便益(benefit)と,運動をより多くすることによる便益を分離することは,観察研究においては困難であろう.

 

STROBE (Strengthening the Reporting of Observational Studies in Epidemiology)は,よく知られているCONSORTガイドラインに類似したガイドラインであり,観察研究の報告の質の改善が提言されている(http://www.strobe-statement.org/).

 

そのようなガイドラインは,試験デザインを決めることを意図したものではないが,研究開始前に原稿の概要をまとめることは,計画した試験デザインが,答えるべき問題,データ,結果に関して,疑う余地のない説明をもたらすことを保証するのに役立つであろう.

 

観察研究には,歴史的に重要な現在進行中の研究.仮想上の研究がある.

 

公表された研究を評価する際に,どんな研究デザインが用いられているのかを正確に理解することが難しい場合があるので,様々な研究デザインの具体例を手元に置いておくことは,新たに直面した研究を理解し,批判的に評価する手助けになるであろう.

 

 

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