被験者保護プログラムという概念【統計解析講義応用】

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被験者保護プログラムという概念|【統計学・統計解析講義応用】

被験者保護プログラムという概念【統計解析講義応用】


目次  被験者保護プログラムという概念【統計解析講義応用】

 

 

被験者保護プログラムという概念

 

AAHRPPの認証は, IRBの認証といわれることが多いが,実際はIRBに留まらず,より広い意味合いがあり.研究施設の被験者保護プログラム全体に対して認証を行う.

 

被験者保護プログラムとは,被験者を保護し,研究の妥当性を保証することを目的として,研究施設が講じる方針,手順および措置の全体をいう.

 

被験者を保護し,質の高い研究を推進する上で必要な責務が分担・共有されることが必要であるため,被験者保護プログラムにおいては,臨床試験に携わるすべての人に責任があるとされる.

 

責任は,経営首脳陣,利益相反管理委員会,教育部門,監査部門,受託試験調整室,薬剤部,研究者,研究スタッフおよびIRBに及ぶ.

 

また. IRBは,経済面および運営上の支援があってこそ,効果的に機能することができる.

 

監察総監室(Office of the Inspector General, 01G)は, 1998年に公表した報告書の中で, IRBの業務超過やスタッフ不足を指摘し,広範な研究プロトコールを審査できる人材が不足していると述べている.

 

さらに詳細に吟味すると. IRBにはスタッフや会議室の不足に加えて,業務プロセスが自動化されていないが,経営陣からはこのような問題に対して満足な対応がなされていないという課題が浮かび上がってきた.

 

IRBの99%は施設内IRBであり, IRBが単独で機能することはできないのであって,施設の支援を必要とする.

 

経済的な支援と同じ位重要なのは,経営陣からの支援である.IRBの決定や措置は,経営陣の後ろ盾を必要としている.

 

自前のIRBがない研究施設では,被験者保護プログラムを実施できないわけではなく,実施可能である.

 

施設外IRBの研究施設であっても,被験者を保護し研究の妥当性を保証する責務があり,その責務を忘れてはならない.

 

2009年に. AAHRPP理事会は,被験者保護プログラムの質に関する指標を定め,質の高い被験者保護プログラムの特徴を以下の様に定めた.

 

・臨床試験に関する責任を果たそうとする態度が施設全体に及んでおり,経営陣が倫理的かつ有意義な臨床研究の推進により率先的に模範を示していること.

 

・研究者, IRBの専門委員その他の被験者保護に携わる人々は,意思疎通を図ると共に,協力を通して,倫理的な臨床研究の重要性を強調する目標が共有され,達成されていること.

 

・研究施設は,優先して,被験者を保護し,被験者福祉を推進していること.

 

・研究施設は,新たな知見の公表により発見を前進させ,新規治療法や新規製品が日常的に入手可能なものとし. QOLを向上するための情報がすべての人に提供されること.

 

・同意取得のプロセスは,誠意をもって行われ,十分な情報が提供されていること.

 

・研究施設は,臨床試験の妥当性を保持するために利益相反関係に対して適切に対処していること.

 

・研究施設は,社会的責任を自覚するとともに,地域に対する関与を深め,かつ,臨床研究に対する社会の信頼と支援を得るための教育的活動により,社会的責任を果たしていること.

 

・被験者保護プログラムが,研究者とIRBから見て,効率的かつ効果的であること.

 

認証基準

 

認証基準は,施設の組織体制. IRB (倫理委員会を含む.以下同様),研究者と研究スタッフの3分野に分けることができ,それぞれに被験者保護プログラムの主要な領域を表している.

 

各分野には,実施基準が定められており,各項目は,基準を満たすために必要とされる事項が規定されている,

 

第1分野:施設の組織体制

 

施設の組織体制に関する分野では,被験者保護プログラムの責任を負う機関の特徴が定められている.

 

組織体制は,施設が被験者保護プログラムの責任を全うするための手段である.

 

施設は,その試験の資金出所にかかわらず,すべての研究事業に対して被験者保護プログラムを適用しなければならない.

 

施設の組織体制の分野に関する基準では.施設内の様々な機関にそれぞれの責任が定められている.

 

機関の例として研究企画室,教育部,法務担当責任者,受託試験調整室.研究薬剤部.利益相反管理委貝会,内部監察査察室等が挙げられる.

 

 

基準I ・1 全被験者を対象とした系統的かつ総合的な被験者保護プログラムを作成すると共に,施設の職員は,当該被験者保護プログラムに定める方針および手順を熟知し,遵守する.

 

要件1.1.A 施設は,被験者保護プログラムの対象となる活助に関する方針および手順を文書化し,これに従う.

 

要件1.1.B 施設は,被験者保護プログラムを実施,維持する上で適切な立場,権威および独立性を有する者を責任者に定める.

 

要件I.l.C 施設は, IRBが被験者保護に関して他の組織とは独立して機能しうることを定めた方針および手順を文書化し,これに従う.

 

要件I.l.D 施設は,被験者保護プログラムの倫理基準および実施に関する方針および手順を文書化し,これに従う.試験依頼者,研究者,研究スタッフ,被験者およびIRBに対して,関連する方針および手順を適宜提示する.

 

要件I .l.E 施設は,被験者の人権および福祉を保護する責任がある人々の資質と専門性を向上する教育プログラムを作成する.

 

要件I.l.F 施設は,提案のあった臨床試験に関し,当該試験の科学的・学術的価値を審査する際の方針および手順を文書化し,これに従う.この審査は,倫理審査と連携して実施する.

 

要件I.1.G 施設は,臨床試験を実施する地域に適用される法令を確認する方針および手順を文書化し,これに従う.研究の審査・実施に関して,連邦法規と自治体規則との間に差異がある場合には,これらの方針および手順に従って解決する.

 

基準1.2 被験者保護プログラムには,施設で実施・監督する研究活動に参加する被験者の人権および福祉を保護するに充分な資源が備えられていなければならない.

 

基準I-3 施設が実施するトランスレーショナルな研究活助は.被験者保護プログラムに規定する倫理原則と一貫性があり,被験者保護対策は,地方自治体の規則を遵守しつつ,文化的側面にも考慮した上で,主要な研究施設で実施する研究と同レベルでなけれぱならない.

 

基準I-4 施設は,被験者の関心事に対応する.

 

要件I.4.A 施設は.現在.過去,未来を問わず.被験者またはその代理人が,問題,関心や疑問を話し合い,情報を人手し,あるいは,特定の研究計画書や計画とは無関係な有識者からの情報を受けることのできる,安全で信頼できる機密性が確保された方法に関する方針および手順を文書化し,これに従う.

 

要件1.4.B 施設は,被験者,治験参加予定者やその地域の人々が臨床試験に関する理解を深めることを目的とした活動を適宜実施する.当該活動については,定期的に評価を行い,改善する.

 

要件I.4.C 施設は,研究のデザインおよび実施並びに結果発表方法に関して.地域メンバーの関わりを適宜促進する.

 

基準I-5 施設は,必要に応じて,定めた方針や手順,関連法令,基準や指針の遵守状況を調査するとともに,向上を図る.また,施設は必要に応じて,被験者保護プログラムの質,有効性および効率性を調査するとともに,向上を図る.

 

要件I.5.A 施設は,監査や調査等の方法により,定めた方針や手順.関連法令,基準や指針の遵守状況を評価する.施設は,必要に応じて.遵守向上に向けた改善策を講じる.

 

要件I.5.B 施設は,監査や調査等の方法により,被験者保護プログラムの質,効率性および有効性を評価する.施設は,被験者保護プログラムの長所と短所を明らかにし,必要に応じてプログラムの質,効率性および有効性を高めための改善策を講じる.

 

要件I.5.C 施設は,研究者および研究スタッフが被験者保護プログラム(倫理審査を含む)に関する問題や意見を提示できるよう,方針および手順を文書化し,これに従う.

 

要件I.5.D 施設は,被験者保護プログラムに定める要件に違反しているとの申立やそのような事実が判明した場合に対処する方針および手順を文書化し,これに従う.施設は,述反が発生した場合には,必要に応じIRBと協力して,被験者が確実に保護されるよう対策を講じる.

 

上記の方針や手順には.必要に応じて,当該対策が報告されるよう定める.

 

 

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