インフォームド・コンセント(説明に基づく同意)【統計解析講義応用】

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インフォームド・コンセント(説明に基づく同意)|【統計学・統計解析講義応用】

インフォームド・コンセント(説明に基づく同意)【統計解析講義応用】


目次  インフォームド・コンセント(説明に基づく同意)【統計解析講義応用】

 

 

インフォームド・コンセント(説明に基づく同意)

 

研究の性質および被りうるリスクと利益について十分に説明を受けることで,研究参加予定者は,研究への参加について,合理的な決定ができる立場となる.

 

インフォームド・コンセント(informed consent)の意味は,参加者が研究に関して適切な情報を得て,その情報を理解することができ,自由に選択する力をもち,研究への参加を自由意思で同意,または拒否できることである.

 

インフォームド・コンセントの内容

 

十分なインフォームド・コンセントは,以下の情報を参加者に伝えることを含む.

 

1.参加者の立場:参加予定者は,研究と治療の区別を明確に理解する必要がある.患者は,ヘルスケア活動のうちどれがルーチンで,どれが研究のために特別に実施されるものかを知るべきである.彼らが提供するデータが,研究目的に使用される旨も,知るべきである.

 

2.研究の目標:研究の全体的な目標は,専門用語ではなく,一般向けの言葉で説明する.データの用途も説明すべきである.

 

3.データの種類:参加予定者に,収集されるデータの種類を知らせるべきである.

 

4.手順:参加予定者に,データ収集の手順について,またいかなる画期的治療にともなう手順についても説明すべきである.

 

5.拘束時間:参加予定者に,各接点での推定所要時間と,特定の期間内での連絡頻度についての情報を提供すべきである,

 

6.後援者:研究の後援者または資金提供者についての情報を提供すべきである.研究が,学術上の必要条件(学校の単位取得条件)なら,それについても説明すべきである.

 

7.参加者の選出方法:研究者は,参加予定者がどのような方法で選ばれたのかを説明すべきである.また,研究への参加を予定している人数も知らせる.

 

8.予見されるリスク:参加予定者は,参加が原因で被る予見可能なリスク(身体的,心理的,社会的,経済的)または不快感について,また,リスクを最小限に抑える努力について,それらがいかなるものであっても知るべきである.予見不可能なリスクの可能性も,適切な場合は話しあう.障害や損害の可能性があるなら,参加者が利用できる治療について説明すべきである.リスクが最小限に抑えられない場合,参加予定者は,参加に同意する前に,ほかの人に助言を求めるようすすめられなければならない.

 

9.予見される利益:他者に見込まれる利益についての情報と同様,参加者への特定の利益があるなら,それも説明すべきである.

 

10.他の選択肢:適切な場合,研究者は,参加者に有利な他の手順や治療についての情報を提供すべきである.

 

11.補償:給付金または弁済金が支払われる(または治療が無料で提供される)場合,これらの契約について話しあわねばならない.

 

12.守秘義務の誓約:参加予定者のプライバシーを,いかなるときも保護することを確約すべきである.匿名性が保証される場合も,これを伝えなくてはならない.

 

13.自由意思による同意:参加は,厳密に自由意思によるもので,承諾せずともいかなる損害も利益の損失も生じないことを,研究者は明らかにすべきである.

 

14.参加を撤回したり,情報提供を控える権利:参加予定者には,協力に同意したのちでも,参加を撤回する権利があること,いかなる特定情報も提供を拒否する権利があることを説明すべきである.場合によっては,研究者が研究自体を終了することもあると説明する必要がある.

 

15.連絡方法についての情報:参加者がさらなる質問や意見,もしくは不満がある場合に,連絡できる情報を,研究者は提供すべきである.

 

質的研究のなかでも,とくに同じ参加者と繰り返し連絡をとることが必要な場合,最初から有意義なインフォームド・コンセントを得るのは困難である.

 

質的研究者は,研究がどう進展するのか,常に前もってわかるわけではない.

 

研究デザインが,データ収集や分析の過程で浮かびあがってくるため,収集されるデータの正確な性質や,参加者にどのようなリスクや利益があるか,または拘束時間がどのくらいになるか,研究者にもわからないことがある.

 

したがって,質的研究では,同意は,進行中の取引過程であるとみなされることが多く,これをプロセス・コンセント(process consent)という.

 

プロセス・コンセントでは,研究者は同意を絶えず再交渉し,進行中の参加に関する意思決定のプロセスで,参加者が協同的役割を果たせるようにする.

 

インフォームドコンセントの例

 

ワイルド〔Wilde, 2002〕は,地域社会に暮らす成人を標本として,長期にわたって尿道カテーテルを装着して生活するという体験を研究した.

 

この現象学的研究のために,14人の男女が募集された,各面接の前に十分なインフォームド・コンセントを得て,面接が続くあいだ,再確認された.

 

インフォームド・コンセントの理解

 

同意についての情報は,ふつう,研究参加者の募集中に,口頭または書面で説明する.

 

しかし,書面での方法が口頭説明に代わるべきではない.

 

口頭説明は,きわめて入念な説明をする機会や,参加者に質問の機会を提供する.

 

インフォームド・コンセントは,参加によるリスクや利益の可能性について評価する基本となるので,重要な情報を伝えるだけでなく,理解されることが大切である.

 

研究者は,同意に関する情報を伝える際,教師の役割を想起する必要がある.

 

心して平易な言葉をもちいるようにし,特殊な用語や専門用語の使用は,可能なかぎり避けるべきである.

 

参加するかどうかの決定に過度に影響を与えるような,偏った言葉遣いもまた,避けるべきである.

 

書面での説明は,参加者の読解力レベルや教育歴に応じて行うべきである.

 

一般母集団からの参加者(例:入院患者)向けの説明は,第7学年または第8学年の読解力レベルで書くのがよい.

 

最小限にとどまらないリスクをともなう研究では,研究の参加には何かともなうのかを,参加予定者が確実に理解するように,研究者はとくに尽力する必要がある.

 

場合によっては,参加者を参加に適格であるとみなす前に,参加者がインフォームド・コンセントの資判・を理解しているかをテストすることもあろう.

 

 

インフオームド・コンセントの文書作成

 

研究者は,通常,参加者が同意書(consent form)に署名することにより,インフォームド・コンセントのプロセスを文書で証明する.

 

米国では,政府機関の助成を受ける研究を対象とする連邦規定は,対象者の書面による同意を条件とするが,除外される場合がある.

 

とくに,研究が介入を含まず,データが匿名で収集される(記録や検体から既存のデータが使われ,身元確認情報がデータに結びつけられることがない)場合,書面でのインフォームド・コンセントを求める規定は適用されない.

 

同意書は,先に述べたように,インフォームド・コンセントに不可欠な情報をすべて含むべきである.

 

参加予定者(または彼らの法的代理人)は,十分な時間をかけ,文書を入念に調べてから署名すべきである.

 

文書には研究者の署名も必要で,両者が写しを保有すべきである.

 

同意書を作成するにあたって,次のようなガイドラインが助けとなろう.

 

1.一貫性をもって書類を構成することで,参加予定者は,筋道を追って内容を理解できる.書類が複雑な場合は,見出しを利用して構成をわかりやすくする,

 

2.大きな字を使って書類を読みやすくし,余白をとって,文書が詰まって見えないようにする,できるだけ興味をそそり,読む気になるような書類にする.

 

3,一般に,単純化する.明瞭で一買性のある用語をもちい,できるだけ専門用語を避ける.専門用語を使わなくてはならない場合は,定義を害く,

 

4.できるならば,書類の読解レベルを読みやすさの定式(readability formula)を使って査定し,研究対象のグループに対応した読解レベルを確かめて修正する.

 

こうした定式はいくつかあるが,もっとも広く使われているものは.FOGインデックス〔Gunning,1968〕. SMOGインデックス〔McLaughlin, 1969〕,そしてFlesh reading ease score and Flesh-Kincaid grade level score 〔Flesh, 1948〕である.

 

専用ソフトウェアが使えるし,文書処理ソフトウェアも読みやすさに関する情報を提供する.

 

5.募集予定の対象に類似する人々で書類をテストし,意見を聞く.

 

インフォームド・コンセントの情報が長い場合,米国政府機関が助成する研究を行う研究者には,すべての情報を口頭で説明し,その後,必要不可欠な情報を短文書式(short form)に要約する,という選択肢がある.

 

けれども,短文書式をもちいるときには,口頭説明に第三者が立会う必要があり,証人として短文の同意書に署名しなければならない.

 

第三者の証人の署名は,最小限のリスクに抑えられない研究においても望ましく,長文で包括的な同意書をもちいるときにも望ましい.

 

政府の助成を受けていない研究では,研究者は,慎重すぎるくらいに慎重になるべきである.

 

参加予定者は,研究のリスクや利益について十分に説明されているときにのみ,参加について適切な決定ができる,という原則に十分に従って,同意を得る手順を遂行すべきである.

 

データ収集の主要な手段が自己記入式質問紙である場合,研究者には,暗黙の同意(implied consent)があるとみなして(つまり,記入済みの質問紙が返ってくれば,参加を自由意思で同意したとみなす),インフォームド・コンセントの書類を得ようとしない人がいる.

 

しかし,この思い込みが保証されるとはかぎらない(例:研究者に協力しないと,治療に影響する,と患者が感じている場合).

 

 

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