メタ統合|【統計学・統計解析講義応用】
メタ統合
研究の違いを超えて知識を統合する必要性が高まっており(エビデンスに基づくという動向に,なかば応じたものである),
この動きは,質的研究,量的研究の双方についていえる.
質的メタ統合(メタ分析の質的な類似表現)の技術を開発する努力がなされている.
解釈的なメタ統合は,質的研究結果のナラティブな統合や要約(つまり,従来の文献レビュー)以上のものである.
メタ統合(metasynthesis)は,「質的研究の結果の統合や比較から産出された,理論,大きな物語(grand narrative),一般化,または解釈的いいかえ」として定義づけられてきた.
質的統合の方法に関する用語法は,混乱をまねくかもしれないことを念頭においたほうがよいだろう.
研究者たちは,質的メタ分析,メタエスノグラフィー,メタ解釈,質的研究結果統合など,質的統合をさまざまな用語でよんでいる.
カーニー〔Kearney, 2001b〕の「メタファミリー(meta family)」は,混乱をいくぶんか解きほぐす助けとなる.
つまり,もっとも理論的なものからもっとも解釈的なものにいたる1つの連続体上に,現在の質的統合の方法を並べるのである.
カーニーは,連続体の一端を理論的なものとし,もう一端を解釈的なものとして,順に,クラウンデッド・セオリー,メタ解釈,統合的分析,メタ研究,メタ統合,そしてメタエスノグラフィーを並べている.
メタ統合の例
ベック〔Beck, 2001〕は,看護教育におけるケアリングの意味に関する14の質的研究のメタ統合を行った.
メタ統合によって,看護教育におけるケアリングを貫く5つのテーマを明らかにした.
教員どうしのケアリング,教員による学生のケアリング,看護学生どうしのケアリング,看護学生によるクライエントのケアリングがある.
これらのテーマの焦点は相互関係にあり,存在すること,共有すること,支援すること,能力,ケアリングの効果を高めることからなる.
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