政策分析【統計解析講義応用】

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政策分析【統計解析講義応用】


目次  政策分析【統計解析講義応用】

 

 

政策分析

 

政策分析(policy analysis)は様々な形式をとることができるが,生命倫理問題との関係に有用であるのはメタアナリシスと同類のものである.

 

それは政策選択についてのデータの集積.要約,解析である.

 

1つの例がホスピスケアの利用により費用を削減できるかというものである。

 

一般に末期患者は極端に費用がかかり,ホスピスを利用することにより実際の費用を抑えることができると主張される.

 

実際多くの健康経済学者や他の専門家は健康管理の費用を抑えるためにホスピスを推奨し,浮いた費用により健康保険の適用範囲を拡大できるのではないかとさえ提案した.

 

ある重要な政策分析では,費用削減ができるかどうか,またどのくらい削減できるか決定するために,ホスピスの費用と利用可能な資源についての様々な研究を集積した.
ホスピスの利用による費用削減の報告は7本あり,多くは1980年代初期から出ている。

 

すべてがん患者を対象にしており,死亡するまでの1〜6ヵ月の期間を評価していた.

 

ランダム化試験は1本で,多くは後ろ向きコホート分析であった.

 

全体的にそれらのデータから.死亡までの時問が長いほど最後の1ヵ月の費用削減はほとんどないということが示された.

 

また.死亡するまでの最後の1年間ホスピスを利用することにより,総コストの削減は0〜10%と見込まれた.

 

この分析結果から,ホスピスは従来のケアほど費用はかからないが.ホスピスさえもがん患者のために多額のコストを削減することはないという理解を得ることができた.

 

利用可能なデータの同様の分析は,事前指示書(advanced directives).終末期の費用をテーマに最近行われている.

 

事前指示杳は,患者に終末期の医学的ケアにおける決定をコントロールする権限を与えるために開発された.

 

事前指示書は,特に患者が意思決定の能力を失ったときに重要であり.家族の代理意思決定の負担を取り除くことができる.

 

事前指示書は,患者が望まない.高額で侵襲的な延命処置を減らすという付随する効果も期待できる.

 

この関連性を検討するため,メディケア受給者の世論調査データを,Medicare claims とNational Death Index (国民死亡記録)とリンクさせた.

 

結果は,地域ごとに,被相続人の地域におけるメディケアの支出水準に基づいて示された.

 

終末期医療の限界を明確に述べている事前指示書は,メディケア支出水準の低下,病院死亡の可能性の低下,終末期支出水準が高い特徴のある地域の病院ケアの利用度の高さと関連していた.

 

この分析は,事前指示書は患者が望まない積極的延命処置から身を守る権利を強める可能性がある.

 

因果関係を明らかにするために更なる研究が必要であるが,しかし.こうした研究は,高度な医療を話し合うために医師が時間を投資することを正当化することにおいて,重要な政策的含意をもつ.

 

 

生命倫理研究の特別な考慮すべき問題

 

厳格で信頼性のある生命倫理研究を実施するときに要求されるものの多くは,その他の領域における質の高い臨床研究に要求されるものと全く同じである.
しかし生命倫理研究においてはいくつか特別に考慮すべき問題がある.

 

1つ目は,有用な方法のいくつかは臨床研究者にはあまり知られておらず,彼らがトレーニングを受けたことがないということである.

 

例えば,原典や古記録などの歴史的な研究の手法についてのトレーニングを受けたことのある臨床研究者は少ない.

 

同様に質的な研究方法は,多くの臨床研究者になじみがないであろう.このような技能を培うには,その分野の専門家と共同して研究を行う方法がある.

 

2つ目に,臨床研究者は概念分析によって作られたいくつかの区分は「つまらないことをとやかく論じる」ものだと思うかもしれない.

 

しかし概念分析に基づいた正確な区分は,倫理的な判断を明確にするのに必須であるだけではなく,質の高い実証研究の基本となる.

 

概念が正確であるほど実証研究も優れたものとなる.

 

その意味では,概念分析は実証研究の重要な要素といえる.

 

例えば,もしある人がインフォームド・コンセントにおける自主性の研究をしたいとき,自主性において絶対必要なものは何かを理解することが重要である.

 

それは,研究者からのプレッシャーを感じない,登録を拒否することができる,参加を取りやめることができることである.

 

しかし,家族からのプレッシャーを感じることや,絶え間ない病状の進行が自主性を損なうことはあるのだろうか.自主性の良い代替手段は必要とするのだろうか.

 

生命倫理問題についての研究の3つ目の特別な問題は,妥当性,信頼性のある評価尺度と関連する.

 

過去20年以上,評価尺度の創出と妥当性評価に多大な努力が費やされてきた.様々なグループが,痛みやQOLについての信頼性のある尺度を開発してきた.

 

残念なことに,多くの重要な生命倫理問題には「標準的な良い」評価の尺度がない.

 

同意能力,インフォームド・コンセント,望ましい死,安楽死への関心,良い倫理相談,自主性などに関する標準的尺度はない.

 

したがって,質問や尺度を開発し評価することは,しばしば生命倫理問題の実証研究における基本的な要素となる.

 

反対に,生命倫理におけるずさんな実証研究では,厳格な予備調査が行われていない質問を用いて,回答者が誤解やバイアスのある解釈してしまったり,期待していることと異なるものを測定してしまったりすることになる.

 

他の研究と同様,悪い方法論は生命倫理研究においても信頼できない結果を生み出すことになる.

 

例えば,安楽死についての初期の研究では.標準的な質問がなかったため,研究者は予備検査をせずに自分たち独自の質問を作り出した.

 

ある質問票では「あなたは安楽死を望むか」と,またある質問票では「あなたは死を望むか」と問う.回答者によっては,安楽死の定義は不明瞭であり,誤って解釈されやすい.死を望むことは安楽死と同じではない,またある患者は死を望むかもしれないが意図的な生命の終焉を希望していないかもしれない.

 

これらを混同することは,この質問が純粋に安楽死について測定できていないということである.

 

また医師に対し,「患者から命を絶つことを頼まれたことがあるか」と質問するとしよう.

 

致死的な注射を行うことによっても,または治療を中止することによっても生命を終わらせることはできるが,多くの識者はこの2つは異なるものと考えている.

 

これらを混同することにより.この質問は結果にバイアスを与えることになる.

 

数多くの調査が行われた後,「患者の命の終焉を意図して薬剤を処方したり注射をしたりしたことがあるか」という,慎重に言葉を選んだ質問が使われるようになった.

 

この表現であれば.安楽死の定義を誤解されることも少なく,バイアスにつながることはない.

 

多くの生命倫理の実証研究において,質問や尺度を作り出すのに役立つ方法論的技術がある.

 

例えば.調査の質問票の作り方,質問票の予備検査の仕方,質問票の妥当性評価のための研究計画といった技術である.

 

これらは骨が折れ,時間のかかる作業である.

 

実際, QOLの測定尺度やインフォームド・コンセントを与える能力を評価する尺度を開発するには,何年もの時間がかかる.

 

しかしそのような標準的尺度は厳格な実証研究を行うために必要不可欠である.

 

最後に,生命倫理実証研究に共通した問題は,数が少ないことと検出力が小さいことである.

 

多くの研究は,単施設の少人数の参加者による研究である.

 

もちろんこれは生命倫理に特有なことではなく,多くの臨床研究に共通してかかえる問題でもある.

 

1つの施設では真実であっても,それはその施設またはその施設の患者集団に特有な結果かもしれない.

 

また回答者が少数の場合,その結果を一般化するのは困難である.

 

幸運なことに,実証的な生命倫理研究は成熟しつつあり,多施設研究や,大規模な研究を行うことに注目が集まってきている.

 

一方,本来的に患者が少人数となる生命倫理研究もあり得る.

 

例えば,安楽死を希望する末期患者にインタビューを行いたい場合,末期患者を選別し,そのうち安楽死を望む患者集団を同定する必要がある.

 

そのような対象は非常に小さく全体の10%以下と思われるので, 100人の対象者を得るためには1,000人の末期患者をインタビューすることを意味するが,それでは費用も高くなり,また実行困難となる.このため,こうした研究は少人数の検討となりやすい.

 

 

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